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第3130回 便利甘味料



 以前、パンやお菓子の材料を見ていた際、いかにも砂糖の袋という感じのビニール袋に入れられた果糖を発見し、袋に書かれた「果糖」の下に英語表記でフルーツシュガーと記載されているのに気付き、英語でも同じ名前なのだと感心した事がありました。

 食材の専門店ならともかく一般的なスーパーの調味料売場で果糖が売られているのを見掛ける事は、かなり稀な事ではないかと思います。しかし、果糖が含まれている食品となると、多岐に渡ってその多さに驚かされてしまいます。

 食品における果糖は、果糖そのものとしてよりも「異性化糖」というかたちで使われる事が多く、原材料表示には果糖の含有率が50%未満のものは「ぶどう糖果糖液糖」、50%以上、90%未満のものは「果糖ぶどう糖液糖」、90%以上のものを「高果糖液糖」と表示されています。

 中にはぶどう糖果糖液糖や果糖ぶどう糖液糖に10%以上の砂糖を加えた「砂糖混合異性化糖」も使われていて、そうした中で最も多く使われているのは55%の果糖を含んだ果糖ぶどう糖液糖だといわれています。

 果糖は甘味が強く、砂糖の甘味を100%とした場合、温度によって甘味の感じ方が変化する傾向がありますが、果糖の甘味は120%~170%とされ、強い甘味を持っています。しかし、一緒になっているぶどう糖の甘味は70%と弱く、55%の比率で果糖が含まれる果糖ぶどう糖液糖の甘さは砂糖とほぼ同じとされます。

 しかし、果糖は砂糖と比べてコスト面で優れている事や、結晶化しにくい事から食感に影響を与えにくい事、甘さがすっきりとしてキレのある爽やかさとされている事などから砂糖よりも多く使われる事となり、清涼飲料水をはじめとする多くの食品に使われる事となっています。

 果糖というとその名の通り果物にも含まれており、砂糖よりもカロリーが低い事や血糖値を上げにくいと聞かされると健康に良いようにも思えてくるのですが、その反面、中性脂肪の合成に使われやすい事から血液中の中性脂肪を増やしてしまうのではという懸念を持たれたりもしています。血糖値を上げにくいという事は、満腹感を得られにくい事にも繋がり、つい多くを摂取してしまいがちになる事もデメリットとしていわれる事もあります。

 そのため健康に良い、悪いといった両面の情報が散在している果糖ですが、最近の研究によってガン細胞のエネルギー源となっている事が判ってきていて、健康に悪い方に傾きつつあるように思えます。これまでガン細胞のエネルギー源としてはぶどう糖が知られていましたが、果糖もエネルギー源として使用されており、ガン細胞が増える際には盛んに使われているともいわれます。

 そういわれると急に果糖は避けるべき食材と思えてくるのですが、果糖を含んでいない食品を見付ける事の方が難しく、安さ、便利さに慣れ過ぎてしまった事を反省しなければとも思えてきます。


 

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第3129回 プラスティックのパン



 リアルタイムでは見れなかったというか、放映後、かなりの時間が経過してから存在を知ったのですが、知り合いから「とにかく面白いので観るべきだ」と薦められて観たアニメに「未来少年コナン」があります。その中で未来の大都市に住む人々が発掘されたプラスティックを分解して作られたパンを食べているという設定が衝撃的で、廃プラスティックの問題や持続可能な食料生産など、未来の問題を先取りしていた作品だと思えました。


 プラスティックごみは「サーマルリサイクル」と呼ばれる燃焼させて熱を利用するという再利用法があるとされますが、多くは埋め立て処分が行われています。海洋を漂っているものと比べると、埋設した場所や量が把握できている事から少しはましだと思えるのですが、遠い未来、誰かが発掘してパンの原料にするのかと想像してみると、プラスティックごみの削減は大切な課題のようにも感じられます。


 世界的にプラスティック製品を減らすという取り組みが浸透していっていますが、プラスティックごみはこれからも増え続けるとされ、プラスティック製品の生産量は2030年までには2倍、2050年には5倍になるとも予想され、それらはいずれごみとなって何らかの処分が行われる事になります。


 使用済となったプラスティックをごみとはせずに、確実にリサイクルに回るような仕組み作りが重要とも思えてきますが、汚染されたプラスティックはリサイクルが難しく、コスト高となる上にリサイクルできる回数にも限りがあるとされます。


 最近、開発されたDMG(分散モジュラー生成)と呼ばれる技術では、プラスティックごみから水素を取り出し、燃料とする事が可能とされます。DMGでは廃棄物を酸素のない状態で高い熱にさらし、ガス化する事で熱分解を行うとの事なのですが、廃棄物となったプラスティックを約1000度に加熱した炉に投入し、瞬時に溶かす事でガス化して酸化剤と反応させると一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、水素を含んだ合成ガスを得る事ができます。


 メタンや合成ガスは炉の稼働を維持するために使う事もでき、ガスエンジンを動かす燃料としても使用可能とされますが、精製する事で純粋な水素を得る事が可能で、そうして得られた水素は燃料電池として利用する事ができると考えられています。40トンの廃プラスティックから2.7トンの純粋な水素を得る事が可能とされ、未来の動力源とされながら水素の確保が疑問視されていた燃料電池の未来を開く技術の登場のようにも思えます。


 現在主流となっている埋設処分は、分解しにくいというプラスティックの性質を考えると問題の先送りのようにも思えます。積極的に分解して必要なものを取り出し、量を減らしていくという事が何より大切なように思えます。



 

第3128回 排水に思う



 何も予定がない休日の昼下がり、普段は家の中から眺めるだけの庭に出て目の届かない場所の様子を見に行きます。辺りがとにかく静かという事もあり、風があれば庭の内と外を隔てる笹の葉の音が聞こえ、風がなければ家の前の長いコンクリートの坂を登り切った先にある県道のバイパスを、時折通る車やバイクの音くらいしか聞こえません。


 そんな中、よく耳を澄ますと聞こえてくるのが浄化槽に空気を送り込むポンプの音で、浄化槽内のバクテリアを活性化するために休む事なく空気を送り続けてくれています。我家では、地下深くから汲み上げた清浄な水を生活排水として流してしまう事になるので、浄化槽のバクテリアにはしっかり頑張ってもらわなければと、稼働し続けるポンプを見るたびに思ってしまいます。


 これまではポンプで空気を送り続けて排水をきれいにする事だけを考えてきたのですが、最近の考え方ではポンプを稼働させ続けるための電力を作り出すために、二酸化炭素を発生させているという事も意識しなければとも思えてきます。


 最近、耳にしたところでは、排水に含まれる有機物を微生物が分解する際に発生する電気をエネルギーとして取り出す「微生物燃料電池」というシステムがあるらしく、これまで排水処理の効率、発電効率、性能の長期安定維持や規模的な問題から実用化ができていなかったのですが、先月には実規模サイズへのスケールアップに成功したと発表されていました。


 微生物燃料電池では、発電菌と呼ばれる微生物が排水中の有機物を分解処理すると同時に、これまでの浄化槽では汚泥となっていた有機物を電気に変換できるそうで、発電した電気を使って浄化槽に空気を送り込むポンプを稼働させる事も可能な事から、二酸化炭素の排出量を削減する事ができるといいます。


 数年以内には二酸化炭素の排出が実質ゼロの排水処理技術として登場するともいわれていて、阿蘇の大自然から借りた水を汚して排出している身としては、一刻も早く我家にも取り入れたいと思ってしまいます。



 


第3127回 起源をめぐる謎(2)



 バターで炒めたトウモロコシにしょうゆで味を付け、ご飯に混ぜ込んでおにぎりにします。夏の朝、ゆっくりと食事ができる週末の楽しみの一つとなっていて、それだけで良い一日が始まるような気になります。

 正確な起源が不明なまま、どことなく謎めいた雰囲気を持つトウモロコシですが、起源があると考えられる地域に存在したアステカ文明やマヤ文明が多くの謎を残している事もトウモロコシの謎を深めているようにも思えます。

 マヤ文明の伝説では、人間は神々によってトウモロコシから作られたとされていて、それによるとトウモロコシは人類の発祥以前から存在していた事になります。神々がトウモロコシを練って人の形にして人間を作ったとされ、トウモロコシには白や黄色、紫や黒、オレンジなどの粒もある事から、世界中にさまざまな肌の色を持つ人種が誕生したと考えられていました。

 しかし、当時の中南米の人々が肌の色が異なる異民族を知るはずはなく、白人を知る事になった15世紀のコロンブスによる新大陸発見、アフリカから黒人がアメリカ大陸に連れてこられる17世紀以前に何故そのような発想がとも思えてきて、トウモロコシに関連した謎の一つと考えてしまいます。

 コロンブスの最初の航海によってヨーロッパに持ち込まれたトウモロコシですが、当初はヨーロッパの人々に受け入れられず、珍しい観賞用の植物という扱いをされ、食用にされる事はありませんでした。その一方でアフリカや中近東、アジアの諸国へは急速に広まっていき、日本へはポルトガル船によって1579年に伝えられたとされ、コロンブスの新大陸発見から100年も経たないうちに東の外れにまで広まった事になります。

 今日、世界で最も多く作られている農作物はいわれると、パンや麺の材料となり、食されている地域が最も多いイメージのある小麦やアジアを中心に主食として欠かせないコメを連想してしまうのですが、実はトウモロコシで、それほど食べてはいないと思えてくるのですが、食用として人に食べられているトウモロコシは全体の中のわずかな比率となっています。

 栄養価が高いトウモロコシの多くは家畜の餌として使われていて、それほど食べていないつもりでも牛肉や豚肉、牛乳などを食す事によって間接的にトウモロコシを消費している事になります。

 加工食品にも幅広くトウモロコシ由来のものが使われていて、コーン油やコーンスターチは多くの原料となり、トウモロコシのデンプンから作られる果糖ブドウ糖液糖は、お菓子屋や清涼飲料、ドリンク剤などのほとんどで原材料の記載欄に見掛ける事ができます。

 人は食べた物で作られるという考えに基づくと、人はトウモロコシから作られているという事ができ、マヤ文明の伝説は本当の事だったと考える事もできます。

 石油に代替する燃料としてバイオエタノールに注目が集まり、その原料としてトウモロコシの価格が高騰した際、ダンボールの値段が上がったというニュースを聞いて、あまり関連のない事のように思えた事があるのですが、ダンボールを製造するために欠かせない糊もトウモロコシから作られていて、トウモロコシがいかに欠かせない農産物であるのかを感じさせられました。

 植物は子孫を残し、分布を広げるためにさまざまな方法を用いて種子を散布しています。皮に覆われてトウモロコシにはその機能がないように思えて、それが謎の一つとなっていますが、トウモロコシほど世界中に分布を広げ、多くの子孫を残すという目的を成功させている植物はなく、人の手による事を前提としているのであれば、起源の謎をぜひとも知りたいと思ってしまいます。


 

第3126回 起源をめぐる謎(1)



 南阿蘇と阿蘇市を繋ぐ道の途中、波野駅へと通じる山道を抜けると国道57号線へと出る事ができ、57号線沿いに県境を越えると大分県の菅生町へ片道30分程で到着する事ができます。久住山に近い菅生町は昼と夜の寒暖の差が大きい地域とされ、そうした気候は甘みの強いトウモロコシを育ててくれます。

 トウモロコシが旬を迎えるとドライブがてら菅生町の道の駅へと出掛ける事にしていて、多めに買って帰って食べきれない分は冷凍して後々愉しむ事にしています。夏の訪れを感じさせてくれる大好きなトウモロコシですが、起源については判らない点が多いとされ、遺伝子解析からテオシントが起源となるという説が有力視されていますが、どことなく納得できないものを感じています。

 トウモロコシの起源について興味を持つきっかけとなったのは、子供の頃、理科の先生にトウモロコシは皮に包まれていて、そのままでは自生する事ができず、人の手によらなければ増える事ができない不自然な存在だと聞かされた事にあります。

 その後、野生種が見つかっておらず、起源が明確ではない事。そのために遺伝子操作などの手法で人為的に作り出された作物であるといった都市伝説を聞かされた事などもあり、トウモロコシの起源はとても気になる事の一つとなっています。

 遺伝的にトウモロコシに近いとされるテオシントですが、その姿はあまりトウモロコシには似ておらず、トウモロコシとの交雑は可能ではありますが両者が繁茂している状況でも交雑が起こる事は少ないとされていて、どこか遠い存在のようにも思えます。

 テオシントも10粒程度の小さな実を付けますが明らかにトウモロコシには似ておらず、しかも食用にはならない点がテオシント起源説を疑問視する最大の理由といえます。食用にする事が可能であれば可食部をより大きく栽培する工夫が行われ、結果として今日のトウモロコシができたと思えるのですが、食用にならない植物を栽培したり、品種改良を行うという事はありえないと考えてしまいます。

 テオシントとトウモロコシが分岐したのは約9200年前とされ、その2000年後には大規模に栽培されるようになっています。長い栽培の歴史の中、どこかの時点で野生種のトウモロコシが人知れず絶滅してしまい起源が特定できない。地球外生命体がもたらしたと、極端な説が唱えられたりもしますが、できれば納得のいく起源説を知りたいと思ってしまいます。


 
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にんにく卵黄本舗の健康コラムです。
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