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第3115回 地球のために



 夏が来て、日常的に猛暑日という言葉を聞くようになると、地球が温暖化しているという事を意識させられます。夏休みの子供たちが学校のプールやラジオ体操へ向かう姿を見掛けると、自分が子供の頃に経験していた夏はこんなにも暑かっただろうかと思い返したりもします。

 暑すぎる気温に熱中症を心配したり、見慣れたコースを大きく外れてやってくる強烈な台風を見ていると、今すぐできる事から対策を始めなければと思えてきます。何から手を付ければとも思えてしまうのですが、とりあえず温暖化の原因ともいわれる温室効果ガスの排出が少なくなるような生活を心がけなければと考えてしまいます。

 温室効果ガスの排出抑制についてはさまざまな事がいわれているのですが、意外な事が地球温暖化の対策に繋がるという事がいわれています。その意外な対策法とは菜食主義の推奨で、肉を食べる人が少なくなれば温暖化の進行は抑えられるといいます。

 食と温暖化、関係がある事とは思えながら直接的な事としてはイメージしにくいのですが、世界中で食糧の生産から流通、消費までの流れをめぐるフードシステムは、世界で排出される温室効果ガスの4分の1を占めるともいわれ、食と温暖化が深い関りを持つ事が判ります。

 世界のフードシステムから排出される膨大な量の温室効果ガス、その中でも畜産業にまつわるものが半数以上とされ、特に牛の飼育に関わるものの比率が高いとされます。現在、牛の多くが穀物を中心とした配合飼料で育てられていますが、牛一頭が食材として賄える量を「1」とすれば、牛一頭が出荷されるまでに消費される穀物を直接食糧とした場合、その賄える量は「20」にものぼるとされ、牛肉を食糧とする事の効率の悪さが窺えます。

 また、畜産業は地球の気候に対し二重の脅威になっているともいわれ、ブラジルなどの亜熱帯地域における牛の放牧地や大豆を生産する畑を確保するために行われている森林の伐採は、二酸化炭素を吸収する場を奪っているとも指摘されています。

 そうした事情を受けてロンドン大学のゴールドスミス校では、新たに就任したコーナー学長が環境保護の取り組みの一環として構内での牛肉を使った食べ物の提供の禁止を発表しています。牛肉の完全な排除に併せペットボトル入りの水やプラスティック製のカップに10ペンスの追加料金を課すといった措置も行われている事から、かなり思い切った取り組みともいえます。

 それに対しイギリスの畜産業界は猛反発し、全英農業者組合のロバーツ副会長は、「イギリス産牛肉に対する明白な理解の欠如」として批判を展開し、イギリスの畜産業界では環境に配慮して生産効率を高めている事から、「地球を守りたかったらイギリス産の牛肉を買うべき」と主張しています。

 そんな中、IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)によって、今後の気候変動と土地利用に関する視点から、「食品ロスを減らす事」と「肉食を減らす事」がカギとなる事が発表され、地球温暖化の対策として食の在り方を見直す事は今後、重要視されてくるのかもしれません。


 
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第3114回 危惧種を食べる



 南阿蘇という環境に暮らしていると、車は欠かせない存在となってきます。近くのコンビニへ行くにも車を出す必要があり、熊本市内へ出掛けるという日常を繰り返していると、月に2000キロほどを走っている事が普通の事になります。

 そのため2000キロという距離はそれほどでもないように思えてしまうのですが、実際にはかなりの距離となっていて、日本からだとマリアナ諸島の西方あたりに相当します。そのマリアナ諸島西方を大切な場所としているのが、今や絶滅危惧種となってしまったウナギで、東アジア全体に分布する二ホンウナギは遠く離れたこの一ヶ所に集まって産卵を行っています。

 ウナギというと高価な天然ウナギと比較的安価な養殖ウナギを見掛ける事ができますが、どちらも自然界に由来していて、マリアナ諸島西方の産卵場で孵化した稚魚のシラスウナギが自然の環境下で成長すると天然ウナギ、人に捕らえられて養殖場で育てられると養殖ウナギとなるため、どちらも天然の資源には変わらないものとなっています。

 そんなウナギが絶滅危惧種に指定され、数を減らしながらやがては絶滅が危惧されるという危機的状況と、スーパーの安売りの目玉品としてチラシの日替わりコーナーを飾るという実情にはあまりにも乖離したものがあり、ウナギというものとどのように接していけばよいのかと難しいものを感じてしまいます。

 ウナギが絶滅へと向かう背景には、ウナギが自然に増えていく再生産速度と人がウナギを食べる消費速度のバランスが崩れてしまっている事が考えられ、ウナギを食べる量を減らす事と、ウナギが育ちやすい環境を整える事の必要性を感じます。

 天然資源であるウナギを守るため、東アジアの4か国ではシラスウナギの漁獲量の上限を78.8トンと定めています。しかし、毎年の漁獲高は40トンほどに留まっていて、そもそも78.8トンという上限値が実態にそぐわない過剰な設定となっていて、実質的には捕り放題という状態となる事がウナギを絶滅へと向かわせているともいえます。

 また、ウナギの保護を難しくしている理由の一つにウナギを取り巻く世界が高度にビジネス化されていて、密漁、密売、密輸が横行し、日本国内でも養殖ウナギの7割近くが違法に流通した可能性のあるシラスウナギに由来するともいわれます。

 安価に売られていたので、違法行為に由来したウナギである。老舗の高級専門店なので合法的なウナギであると断定できない事が、消費者の立場からウナギを保護する事の難しさに繋がっているようにも思えます。

 ウナギの仕入れに関しては、ウナギ料理を提供している料理店では供給業者が納入したものを使うしかなく、どれだけ権威のある高級専門店でもウナギを選ぶ事はできないとされます。そうした特殊な習慣もウナギを取り囲む世界を複雑化させているようにも思え、一通りの保護活動では減り続けるウナギを守る事はできないようにも思えてきます。

 子供の頃、釣りが趣味だった父親に連れられて、海に張り出した埋め立て地に張り巡らされた用水路にウナギを釣りに行った事があります。石組みの用水路の壁に無数に開いている石の隙間に、細い独特な形状の釣竿を差し込んでウナギを釣る父親の姿を眺めていたのですが、コンクリートの擁壁が当たり前となった昨今、久しくあのような景色を見ていないように思えてきて、その事もウナギが繁殖できる場所が少なくなった事の現れともいえます。

 危険なレベルといわれる暑さが続く夏、ウナギの需要は大いに高まり、スーパーには大量にパック詰めされたかば焼きが並べられますが、身近に思える存在のウナギが絶滅の危機に瀕している事、そして私たちは絶滅を回避するための手立てを確立できていない事を改めて考えなければと思ってしまいます。


 

第3113回 古き友、さらに古く



 朝、洗顔を終える頃になると坊ちゃんがやってきて、「僕も」という感じで足に擦り寄ってきます。それを合図に坊ちゃんの部屋へ行き、二人にとっての一日の始まりとなるブラッシングをします。それが私にとっての至福の時間となって久しく、欠かせない時間となっています。

 空前の猫ブームといわれながらその勢いは一向に衰えを見せず、相変わらず猫は人気者として人と猫との関りの深さを感じさせてくれます。人と猫との出会いは今から約1万年前、現在のイラク周辺にあたるメソポタミアの事と考えられています。

 メソポタミアでは農耕という文化が生まれ、土地を耕し、麦などの穀物を育てるようになりました。穀物を収穫して貯蔵庫に保管するようになると、それを狙ったネズミの被害が顕在化してきます。

 そんな悩みから人を救ってくれたのが現在の猫の祖先にあたるリビアヤマネコで、人が寝静まった真夜中に穀物の貯蔵庫に侵入してネズミを捕食していたと考えられます。

 人に危害を加える事もなく、人が寝静まった頃にやってきて、ネズミを退治してくれる猫はありがたい存在というだけでなく、その愛らしい姿から食事の残り物などを貯蔵庫の付近に置いて、徐々に人と猫の距離が縮まっていった事は容易に想像する事ができます。

 そうして人と共に生活するようになった猫が日本へやってきたのは奈良時代、仏教の経典をネズミから守るために中国から連れてこられたと考えられています。しかし、最近になって経典の守護者として渡来したという説は揺らいできていて、日本人と猫との付き合いは更に古いものであったという事が判ってきています。

 2007年に姫路市の見野古墳群で見付かった土器には、猫のものと思われる足跡が残されていて、人が猫と共に生活していた事が覗えます。年代測定の結果、1400年前のものと推定され、古墳時代の後期に作られた事になります。

 さらに2008年には長崎の壱岐島にあるカラカミ遺跡から動物や魚の骨に交じって猫の骨が見付かっており、年代測定の結果、約2100年前のものであるとされた事から、日本人と猫の関りは通説よりもかなり古いものである事になります。

 中国に猫が伝わったのは約2000年前とされる事から、中国と同時期、もしくはもっと早い時期に日本人は猫と暮らし始めた事になり、何処からきたのかが気になってしまいます。

 猫はメソポタミアからエジプトへ伝わり、その後、ヨーロッパや中国に伝わったとされます。それ以外にもインドや東南アジアを経由した別ルートが存在していた事が考えられ、今後、DNAの解析などで年代やルートが明らかになる事と思われます。

 古い時代、黒潮に乗って長い航海をした話を聞かされます。そんな航海の友として猫が乗船していて、そうして日本へとやってきたのではと考えつつ、穀物や仏典の守護といった実利がなくても猫とは一緒にいたいものだと思ってしまいます。


 

第3112回 不味い理由



 以前、「最高の人生とは、アメリカ人の給料をもらい、イギリス人の家に住み、日本人の嫁をもらい、中国人のコックを雇う事。最悪の人生とは中国人の給料をもらい、日本人の家に住み、アメリカ人の嫁をもらい、イギリス人のコックを雇う事」という言葉を聞かされ、イギリスの食事が美味しくないという事を意識させられた事があります。

 著名な作家によってイギリスの代表的な朝食メニューであるオートミールについて、「最も良い食べ方は、そのままトイレに流す事」という発言が聞かされたり、「朝食は忍耐を教えるためにある」といった言葉には、美味しさとは遥かに次元の違う世界観を感じたりもします。

 一説にはイギリス人はビーフイーターと呼ばれるほど牛肉を好み、倹約志向から一点豪華主義で主菜の牛肉以外を蔑ろにしてしまう事がイギリス料理の評価を下げてしまっているともいわれ、サラダやスープ、デザートの不在に味気無さに通じるものがあるのかとも思えます。

 イギリスの映像を見ていると、いつも雨や霧のためか路面が濡れている印象があり、あまり晴天に恵まれている感じがしません。そうした気候のためかイギリスでは手に入る野菜の種類が少ないともいわれます。流通が発達した現代では解消されていますが、野菜不足の伝統が料理の発展を阻害していたとも考えられます。

 かつて世界中に植民地を有していたイギリスでは、特に有名な東インド会社と西インド会社から大量のお茶と砂糖がもたらされており、その二つが合わさって砂糖を大量消費していたとされます。その量は当時のフランス人の7倍以上ともいわれ、甘味への傾倒が味覚の発達を妨げたとも思えます。

 16世紀に起こった宗教改革による修道院の解体とクロムウェルによるピューリタン革命によって新興貴族が社会を支配するようになると、服装やマナー、住居、飲食などのライフスタイルがジェントルマンのものとして定義されるようになり、特に飲食に関しては「ジェントルマンは暴飲暴食はせず、常に質素な食事をするべき」と考えられた事が後のイギリス料理に大いに影響したともいわれます。

 海を越えた隣国となるフランスでは料理が発展していた事から、独自の料理を発展させる必要性が低かった事や、ナポレオン戦争などによってライバル関係となるとフランスの文化が駆逐される事となり、食事と会話を愉しむフランスのマナーの正反対が採られ、食事中の会話は少なければ少ない方が良いと考えられた事も食事の味気無さを助長しています。

 イギリスでは伝統的に若者が住み込みで働く「サーヴァント」と呼ばれる制度があり、多くの若者が14歳前後で親許を離れて他の家庭に住み込み、各種の労働に携わっていました。

 サーヴァントを通して社会人となるさまざまな訓練を受け、サーヴァントを卒業して一人前と認められていくのですが、人生経験が少ない若者が料理に携わる事から必然的に料理の質が低下してしまう事や、14歳前後で親許を離れてしまう事から母親の味の継承が妨げられてしまい、「おふくろの味」といった食文化の断絶が料理の発展を妨げたともいえます。

 18世紀から始まった産業革命もイギリス料理の不味さを決定的にしたともいわれ、産業革命以降、人口が都市部に集中する事になってしまい、多くの人が農村を離れた事で食材の自給自足が困難となり、野菜や乳製品が手に入りにくくなったために、普段食べるものといえばパンとオートミール、たまにハムやベーコン、チーズというライフスタイルが定着し、手っ取り早くエネルギーを摂るために砂糖をたっぷりと入れた紅茶が頻繁に飲まれるようになっています。

 さまざまな要因が絡み合って結果に結び付いているように思いながら、最大の要因は食事の捉え方にあったように思え、食事は活動に必要となるエネルギーを摂取するためだけのものと考えられた事が味気無さに繋がったように思えますが、その合理性の高い気質が産業革命を成功させたのかとも思えてきて、一つの生き方のようにも思えてしまいます。


 

第3111回 衝撃の吸収



 ひどい乾燥体質で、洗顔後は水気が乾かないうちに慌てて保湿剤で保護しないと、すぐに皮膚が突っ張った感じになってしまいます。最近はそうしたニーズが多いのか、保湿剤にも紫外線をカットする機能が備えられていて、ある程度の紫外線は防いでくれるのですが、保湿剤の後は日焼け止めを塗って、つい当たってしまう生活紫外線を防ぐようにしています。

 聞くところでは日焼け止めを塗らない、塗り忘れてしまう事が多いとされる瞼に皮膚ガンが増えているとの事で、オゾン層の破壊がいわれるようになって久しい昨今、日焼け止めは欠かす事のできないものとなったようにも思えます。

 そんな日常に溶け込んでいるようにも思える日焼け止めに関し、気になる臨床試験の結果がFDA(米国食品医薬品局)より発表されていました。日焼け止めに配合されている紫外線防御剤が皮膚から体内へ吸収され、血液を介して全身を巡っているという事が判ったとされます。

 かつて日焼け止めは海水浴へ行った際などの限られた場面でのみ使われていました。紫外線がガンをはじめとする多くの健康リスクを引き起こす事や、オゾン層が破壊されてオゾンホールができた事で昔よりも多くの紫外線が地上に降り注いでいる事が広く認識されるようになると日焼け止めは日常的に使われるようになり、日焼け止めに配合される紫外線防御剤が皮膚から吸収されているのではないかという疑いが持たれるようになっていました。

 紫外線防御剤の多くは、何十年も前にFDAの許認可を得て使用されています。しかし、それは皮膚の表面で使用される事のみを想定しており、体内を巡る事は考慮されていません。今回の研究では、日焼け止めが皮膚の表面に塗られてからわずかな時間で、配合されている成分が血液中に取り込まれる事が発見されています。

 現時点では紫外線防御剤が体内へと取り込まれた事による影響は判っておらず、今後の研究が必要とされています。発ガン性の有無や内分泌系への影響など懸念点は多く、FDAは紫外線防御剤の16種に関し、再審査を行う事を明らかにしています。

 すでにFDAは紫外線防御剤の安全性と有効性を証明するために、血液への吸収に関するデータの提出を義務付けています。日焼け止めを使用しない事は皮膚ガンのリスクを高めてしまう事が知られているので、吸収された成分が引き起こす健康リスクと、どちらが高いリスクとなるのか、そんな事を考えなくてはいけなくなるのかと、今後の展開を気にしてしまいます。


 
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にんにく卵黄本舗の健康コラムです。
食と健康をキーワードに最新の医療情報から科学技術、食文化や献立まで毎日更新で幅広くお届けします。是非ご覧ください。

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