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第3119回 違和感の正体



 ラーメンといわれると好きな食べ物の一つであり、いろんな店を食べ歩きしてみたい料理でもあります。同じように思う人も多いらしく、インターネット上ではさまざまな情報を掲載したサイトを見付ける事ができます。

 個人のブログやグルメランキングサイトのレビュー記事など、実際には現地へ行かなくてもある程度の情報を得る事ができるのですが、中には個人的な主観が入り込み過ぎていたり、悪意を感じたりするものもあり、信憑性に疑問を感じる書き込みを見てしまう事もあります。

 そうした疑念を完全払拭したランキングという事で、東大の現役大学院生が経営するIT企業「TDAI Lab」が「WISE RAMEN AIが選んだ本当に美味しいラーメン百名店 IN 東京 2019」が発表され、独自開発した人工知能による格付けとされています。

 近年、AIの技術は急速に進歩し、さまざまなところで応用が進められていて、ついに料理の評価と格付けまでするようになったのかと驚かされるのですが、ランキングの結果にラーメンの評論家は違和感を覚えたといわれます。

 通常、ランキングには開店から2~3年ほどの新規店が上位に入る事が多く、老舗は外れていく傾向にあるといいます。AIが出したランキングでは新規店がほとんどなく、長く続いている老舗が上位に多く含まれていたり、八王子市内の店舗が6軒もランクされるなど、地域的な偏りも見られています。

 「TDAI Lab」の福馬社長によると今回のランキングは、最新のネットワーク分析や自然言語処理技術を用いたもので、レビューから星の数や文章を解析し、「アンチ」と呼ばれる不当に料理を貶める書き込みや逆に購買意欲を煽る「サクラ」や「やらせ」をフィルターにかけて、店舗ごとのレビューの信頼度を数値化してランキングしたためにそのような結果になったといいます。

 そのため厳密にはランキングには味は関係なく、書き込まれたレビューの良し悪しが影響していた事になります。しかし、見方を変えるとランキングの順位が高い店ほど信用に足りる良いレビューを書いてくれるファンを多く抱えている事になり、愛されている店という事ができます。

 新興の高い情熱を持つ店にはコアなファンが付き、長く愛されている老舗には多くの常連客がいて、彼らによる強い思い入れの書き込みが店のランキングを上げていきます。かつて江戸のすし屋では、客が帰り際に店頭の暖簾で手を拭いていった事から暖簾が汚い店ほど美味しい店と見られていました。AIが示してくれたランキングは、そうしたものなのかもしれないと思えてきて、店選びの一つになると考えてしまいます。


 
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第3116回 脂肪のススメ



 ダイエットの敵が脂肪分やカロリーから糖質の摂取による血糖値の急激な上昇に移ってから久しい感じがするのですが、相変わらず脂肪分とカロリーは敵対視されていて、そこへ新たな敵である糖質の摂取が加わったような印象があります。

 最近になって脂肪の摂取と肥満を結び付ける誤解は、米国の製糖業界と名門ハーバード大学を巻き込んだ陰謀であった事がいわれるようになってきたのですが、あまり認知は広がっていないのか脂肪は変わらず悪者のままのように思えます。

 高タンパク、低脂肪が健康的な食材の条件のようにいわれている事から、肉類に含まれている脂肪分は可能な限り取り除いた方が良いと考えられているのですが、脂身は積極的に摂った方が良いという意見もあります。

 米国で心臓病やその原因となる肥満が問題視されるようになってきていた1960年代、製糖業界はハーバード大学の研究者へ資金を提供し、「砂糖と脂肪の心臓病への影響」についての調査を依頼しています。その際、意図的にデータを操作し、脂肪だけが肥満の原因のように結論を導き出したといいます。

 以降、60年にもわたって脂肪は肥満、ひいては心臓病の原因と考えられてきたのですが、脂肪を摂れば脂肪が増えるという単純明快さも脂肪のイメージを悪くしていたと思えます。そうした悪いイメージのために脂肪の必要性に関する認知は広まっておらず、思わぬ脂肪不足も引き起こしているともいわれます。

 脂肪は体内ではリンと結合し、リン脂質として細胞膜の材料となります。約37兆個ともいわれる体細胞のすべてでリン脂質が使われ、絶えず作り替えられている事から体内では常に脂肪が必要とされています。

 また、各種のホルモンやプロスタグランジンなどの情報伝達物質も脂肪から作られていて、細胞やホルモンの材料として使用するには日本人の平均的摂取量である男性の74g、女性の56g程度では充分にか賄いきれないともいわれ、余剰となって体に溜まるなどありえないともいわれます。

 脂肪と並んで三大栄養素とされる炭水化物やタンパク質は、体内に取り込まれるとブドウ糖やアミノ酸に分解されてほぼ100%が吸収される事に対し、脂肪は水に溶けにくい事から腸から吸収する事が難しく、多くの脂肪が取り込み損なって体外へ排出されています。

 脂肪の中でも健康に悪いイメージが強い飽和脂肪酸は特に吸収効率が悪いとされ、大量に摂取しても体内に過剰に取り込む事は難しいとされます。最近になって食事による摂取と血中濃度の関連が低いといわれるようになってきたコレステロールも吸収効率が悪く、取り込みにくい栄養素となっていて、肝臓で作り出す事によって不足から免れています。

 脂肪は、体内では脂肪酸とグリセリンに分解されて利用されます。グリセリンはエネルギーの素となり、脂肪酸はアミノ酸と同じように体内でビタミンのような働きをする事も知られるようになってきています。体脂肪を増やしているのは脂肪ではなく、脂肪細胞内に取り込まれる糖である事を意識し、もう少し脂肪との関りを考えてみなければと思います。


 

第3102回 プラスティック問題



 2050年、少々遠い未来のようにも思えますが、多分、私は生きてその時を迎えるように思えます。そんな2050年、重量換算で海の中に棲息する魚よりも、海を漂うプラスティックごみの量が多くなるだろうと試算されています。

 喉が渇いていて、一気に飲み干したら数分、ゆっくり飲んでも一日程度で用なしになってしまうペットボトルは、自然環境に放出されると分解するのに450年もの時間を要するともいわれ、世界的なプラスティックごみの問題を解決する事の難しさを感じてしまいます。

 上海へと向かう飛行機の窓から眼下に広がる海の様子がよく見えていたのですが、青空の下に広がる海面に吹き溜まりようなプラスティックごみの塊りがあるのが確認され、ショッキングな光景と思えたその30年も前に最初のプラスティックごみの塊りが太平洋の真ん中に発見され、今ではその大きさはフランスの面積の3倍にも及んでいるとされ、問題は解決へ向かう事なく深刻さを増しているといえます。

 東京湾のカタクチイワシの8割がお腹にプラスティックを溜め込んでいる事が確認され、世界中の39のブランドの食卓塩の9割からマイクロプラスティックが検出されています。すでに人の体内にも蓄積されている事が予想され、世界規模でプラスティック製のストローやコーヒーカップ、レジ袋などの使用禁止が広がってきています。

 そんな中、インドネシアではプラスティックごみを燃やして燃料に戻すという技術が開発され、実際にその装置をバイクに積んで路上のごみを拾いながら燃やしてバイクの燃料を確保し、ジャカルタからバリ島までの1200kmの旅を成功させるという事が行われていました。一ヶ月を要した旅で使われたプラスティックごみの量は130kgとされ、プラスティックごみの有効利用に繋がる技術と思えます。

 開発者はプラスティックごみは単なる廃棄物ではなく、資源であるという事を伝えるために開発したとの事で、安易にこの技術を普及させてしまうと、無料でもらえるレジ袋は無料の燃料となってしまうことから、かえってプラスティックの消費量を拡大させてしまう可能性があるとして、慎重な姿勢を崩していないといいます。

 日本では年間に900万トンのプラスティックごみを排出していますが、その7割は中国が受け入れています。その中国が受け入れの拒否を表明したため、日本のプラスティックごみは新たな受け入れ先を探す事となりました。できる事なら新たな受け入れ先を探すのではなく、まずは使用量を削減する、利用を長期化して必要量を減らす、利用できなくなったものはリサイクルする、そうした流れに繋がっていってくれたらと思ってしまいます。


第3101回 お茶の効用



 巷にマスクをしている人が増えたり、周りに急な発熱の話を聞かされたりすると、そろそろインフルエンザの流行が本格化してきた事を感じます。できる事なら辛い発熱や節々の痛み、激しい咳などには悩まされたくないので、良い予防法を講じなければと考えてしまいます。意外にも季節が冬へと移った事で水分補給を水から緑茶へ変えていた事が、インフルエンザの予防にも効果を上げてくれそうといわれています。

 緑茶に含まれる成分としてはカテキンの風邪予防効果は広く知られていて、外から帰宅したらお茶でうがい、水分補給にこまめにお茶を飲むという事はカテキンの効果を期待した冬場の健康管理として聞かされます。

 カテキン以外にもお茶に含まれる成分として、「テアニン」もカテキンと同じような抗ウィルス作用がある事が判ってきています。テアニンというとお茶の旨味にも関係した成分で、お茶の美味しさを決めるアミノ酸の半分以上を占めるとされ、お茶のほんのりとした苦味の中に感じる旨味と甘味はテアニンによるものとされます。

 最近では、テアニンは旨味、甘味を左右するだけでなく、お茶を飲んだ際に感じる安心感にも関与している事が知られるようになり、リラックス効果を生むアミノ酸としてサプリメント化も進められ、眠りの質を良くするものとしても知られるようになってきています。インフルエンザ予防にも効果があるとなると、ますますテアニンの人気は高まっていくと思えます。

 カテキンやテアニンだけでなく、お茶に含まれる成分でインフルエンザを予防してくれるものとしては「エピガロカテキンガレート」が広く知られていて、その働きは抗ウィルス薬の「アマンタジン」よりも高い効果を持つとされます。

 また、最近報告されたところでは、お茶に含まれる抗アレルギー成分である「ストリクチニン」にはエピガロカテキンガレートを上回る感染抑止力を持つ事が確認されたそうで、お茶のインフルエンザ予防効果をさらに高めてくれている事が判ります。

 緑茶と同じ「チャノキ」から収穫され、製法によって別物となってしまう紅茶にもインフルエンザ予防効果がある事が判ってきていて、その効果は緑茶にも引けを取らないともいわれます。

 茶葉が酸化発酵する過程で茶葉に多く含まれていたカテキン同士が結合し合い、新たなポリフェノールである「テアフラビン」となります。テアフラビンは強力な抗ウィルス作用を持つだけでなく、発酵の過程で分子構造が変化した事で、より強力な抗ウィルス作用を持つ事になるとされます。

 そうした一連の成分による抗ウィルス作用は、「スパイク」と呼ばれるウィルスが正常細胞に取り付く際に使う突起を捕らえて感染力を奪う事で作用している事から、免疫のように未知のウィルスには対抗できないという事がなく、新型にも対応できるようになっています。

 緑茶と紅茶、さまざまな働きがインフルエンザから守ってくれる事が考えられるのですが、紅茶にミルクを加えてしまうと、ミルクに含まれているタンパク質と抗ウィルス成分が反応して有効性が下がってしまうため、大好きなミルクティーはインフルエンザの季節には封印しなければと思えてきます。美味しいだけでなく、怖いインフルエンザからも守ってくれるというのは、お茶とは如何に良いものかと思えます。


第3097回 熟成の魚



 以前は実家の牛深で早朝に水揚げされた魚をさばいて刺身にし、その日の夕方に宅配便で送られてくるという事がありました。たくさん食べてもらおうという気持ちが溢れたような量が届くので、頑張って食べようと思うのですが食べきれず、次の日に持ち越すというのが毎回の事となっていました。

 次の日も刺身でいただくのですが、やはり食べてしまえず、三日目に持ち越す事となります。刺身で大丈夫だろうかと不安になりながらいただくのですが、新鮮だった初日よりも遥かに美味しく、こんな事ならもっと残しておけばよかったと思ってしまう事があり、やみくもに新鮮でも美味しくはない事に気付かされてしまいます。

 刺身に限らず肉や魚は時間の経過と共に含まれているタンパク質の分解が進み、アミノ酸へと変化してしまい、その中には旨味に関わるものが多く含まれる事から、鮮度と引き換えに旨味が増してくるという事があります。その事を裏付けるものとして肉に冷風を当てながら熟成させる「熟成肉」が人気となっていて、鮮度が美味しさにとって最重要課題ではない事が判ります。

 熟成によって旨味が増すのは肉に限った事ではなく、魚も熟成させる事で美味しさをさらに引き出す事ができるとされ、最近では「熟成魚」も見られるようになってきています。鮮度が良い魚を良い状態を保ちながら、一番美味しくなる状態まで寝かせる。一番美味しいタイミングで食べるには熟成しないと出てこない旨味があるともいわれ、肉よりもタンパク質の分解が進みやすい魚ならより旨味が引き出せそうな気がします。

 魚の熟成は素材ごとに最適な熟成方法が異なっていて、分解が進みやすいサバなどは冷凍してゆっくり熟成、サンマなどの冷蔵で熟成するものは体液と同じ塩分濃度の0.9%の塩水に漬けた状態で熟成されます。

 かつては新鮮ではない魚しか手に入らなかった事もあり、鮮度が良いという事は美味しさに直結する事でしたが、流通、保存が発達した現在では鮮度が良い状態で入手した魚をより美味しく食べるために熟成するという選択肢も得られたという事ができます。

 今のところ熟成魚は一部の料亭や寿司屋でしか出会う事はできませんが、先日、肉を熟成させるために使われるエイジングシートを魚にも使う事ができるという事が発表されていて、手軽に熟成魚を味わう事ができるようになる可能性が出てきています。

 エイジングシートは肉を熟成させて熟成肉を手軽に作り出せるように開発されたもので、熟成を促進する有用菌を付着させてあり、シートで肉を包んで冷蔵庫で保管するだけで熟成肉を得る事ができます。

 今回、その技術が魚にも応用できる事が明らかになったもので、保管場所が通常の冷蔵庫でも良い事から、家庭でも手軽に魚を熟成させる事ができるようになり、魚の熟成に必要とされていた特別なノウハウや設備が不要になるとされます。

 今後、さらに家庭での活用を視野に入れた研究が進められるそうで、いずれは新鮮な魚を買い求め、冷蔵庫で寝かせてから食べるという事が一般化する事にも期待してしまいます。三日目の刺身の美味しさに気付いて以降、漁船の上で釣り上げられた直後にその場で調理された魚を食べて、これ以上の美味しさはないというグルメレポーターのコメントを嘘臭く見ていたのですが、それが一般的にも認識される日が来る事が楽しみに思えてしまいます。


 
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にんにく卵黄本舗の健康コラムです。
食と健康をキーワードに最新の医療情報から科学技術、食文化や献立まで毎日更新で幅広くお届けします。是非ご覧ください。

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