FC2ブログ

第3102回 プラスティック問題



 2050年、少々遠い未来のようにも思えますが、多分、私は生きてその時を迎えるように思えます。そんな2050年、重量換算で海の中に棲息する魚よりも、海を漂うプラスティックごみの量が多くなるだろうと試算されています。

 喉が渇いていて、一気に飲み干したら数分、ゆっくり飲んでも一日程度で用なしになってしまうペットボトルは、自然環境に放出されると分解するのに450年もの時間を要するともいわれ、世界的なプラスティックごみの問題を解決する事の難しさを感じてしまいます。

 上海へと向かう飛行機の窓から眼下に広がる海の様子がよく見えていたのですが、青空の下に広がる海面に吹き溜まりようなプラスティックごみの塊りがあるのが確認され、ショッキングな光景と思えたその30年も前に最初のプラスティックごみの塊りが太平洋の真ん中に発見され、今ではその大きさはフランスの面積の3倍にも及んでいるとされ、問題は解決へ向かう事なく深刻さを増しているといえます。

 東京湾のカタクチイワシの8割がお腹にプラスティックを溜め込んでいる事が確認され、世界中の39のブランドの食卓塩の9割からマイクロプラスティックが検出されています。すでに人の体内にも蓄積されている事が予想され、世界規模でプラスティック製のストローやコーヒーカップ、レジ袋などの使用禁止が広がってきています。

 そんな中、インドネシアではプラスティックごみを燃やして燃料に戻すという技術が開発され、実際にその装置をバイクに積んで路上のごみを拾いながら燃やしてバイクの燃料を確保し、ジャカルタからバリ島までの1200kmの旅を成功させるという事が行われていました。一ヶ月を要した旅で使われたプラスティックごみの量は130kgとされ、プラスティックごみの有効利用に繋がる技術と思えます。

 開発者はプラスティックごみは単なる廃棄物ではなく、資源であるという事を伝えるために開発したとの事で、安易にこの技術を普及させてしまうと、無料でもらえるレジ袋は無料の燃料となってしまうことから、かえってプラスティックの消費量を拡大させてしまう可能性があるとして、慎重な姿勢を崩していないといいます。

 日本では年間に900万トンのプラスティックごみを排出していますが、その7割は中国が受け入れています。その中国が受け入れの拒否を表明したため、日本のプラスティックごみは新たな受け入れ先を探す事となりました。できる事なら新たな受け入れ先を探すのではなく、まずは使用量を削減する、利用を長期化して必要量を減らす、利用できなくなったものはリサイクルする、そうした流れに繋がっていってくれたらと思ってしまいます。


スポンサーサイト

第3101回 お茶の効用



 巷にマスクをしている人が増えたり、周りに急な発熱の話を聞かされたりすると、そろそろインフルエンザの流行が本格化してきた事を感じます。できる事なら辛い発熱や節々の痛み、激しい咳などには悩まされたくないので、良い予防法を講じなければと考えてしまいます。意外にも季節が冬へと移った事で水分補給を水から緑茶へ変えていた事が、インフルエンザの予防にも効果を上げてくれそうといわれています。

 緑茶に含まれる成分としてはカテキンの風邪予防効果は広く知られていて、外から帰宅したらお茶でうがい、水分補給にこまめにお茶を飲むという事はカテキンの効果を期待した冬場の健康管理として聞かされます。

 カテキン以外にもお茶に含まれる成分として、「テアニン」もカテキンと同じような抗ウィルス作用がある事が判ってきています。テアニンというとお茶の旨味にも関係した成分で、お茶の美味しさを決めるアミノ酸の半分以上を占めるとされ、お茶のほんのりとした苦味の中に感じる旨味と甘味はテアニンによるものとされます。

 最近では、テアニンは旨味、甘味を左右するだけでなく、お茶を飲んだ際に感じる安心感にも関与している事が知られるようになり、リラックス効果を生むアミノ酸としてサプリメント化も進められ、眠りの質を良くするものとしても知られるようになってきています。インフルエンザ予防にも効果があるとなると、ますますテアニンの人気は高まっていくと思えます。

 カテキンやテアニンだけでなく、お茶に含まれる成分でインフルエンザを予防してくれるものとしては「エピガロカテキンガレート」が広く知られていて、その働きは抗ウィルス薬の「アマンタジン」よりも高い効果を持つとされます。

 また、最近報告されたところでは、お茶に含まれる抗アレルギー成分である「ストリクチニン」にはエピガロカテキンガレートを上回る感染抑止力を持つ事が確認されたそうで、お茶のインフルエンザ予防効果をさらに高めてくれている事が判ります。

 緑茶と同じ「チャノキ」から収穫され、製法によって別物となってしまう紅茶にもインフルエンザ予防効果がある事が判ってきていて、その効果は緑茶にも引けを取らないともいわれます。

 茶葉が酸化発酵する過程で茶葉に多く含まれていたカテキン同士が結合し合い、新たなポリフェノールである「テアフラビン」となります。テアフラビンは強力な抗ウィルス作用を持つだけでなく、発酵の過程で分子構造が変化した事で、より強力な抗ウィルス作用を持つ事になるとされます。

 そうした一連の成分による抗ウィルス作用は、「スパイク」と呼ばれるウィルスが正常細胞に取り付く際に使う突起を捕らえて感染力を奪う事で作用している事から、免疫のように未知のウィルスには対抗できないという事がなく、新型にも対応できるようになっています。

 緑茶と紅茶、さまざまな働きがインフルエンザから守ってくれる事が考えられるのですが、紅茶にミルクを加えてしまうと、ミルクに含まれているタンパク質と抗ウィルス成分が反応して有効性が下がってしまうため、大好きなミルクティーはインフルエンザの季節には封印しなければと思えてきます。美味しいだけでなく、怖いインフルエンザからも守ってくれるというのは、お茶とは如何に良いものかと思えます。


第3097回 熟成の魚



 以前は実家の牛深で早朝に水揚げされた魚をさばいて刺身にし、その日の夕方に宅配便で送られてくるという事がありました。たくさん食べてもらおうという気持ちが溢れたような量が届くので、頑張って食べようと思うのですが食べきれず、次の日に持ち越すというのが毎回の事となっていました。

 次の日も刺身でいただくのですが、やはり食べてしまえず、三日目に持ち越す事となります。刺身で大丈夫だろうかと不安になりながらいただくのですが、新鮮だった初日よりも遥かに美味しく、こんな事ならもっと残しておけばよかったと思ってしまう事があり、やみくもに新鮮でも美味しくはない事に気付かされてしまいます。

 刺身に限らず肉や魚は時間の経過と共に含まれているタンパク質の分解が進み、アミノ酸へと変化してしまい、その中には旨味に関わるものが多く含まれる事から、鮮度と引き換えに旨味が増してくるという事があります。その事を裏付けるものとして肉に冷風を当てながら熟成させる「熟成肉」が人気となっていて、鮮度が美味しさにとって最重要課題ではない事が判ります。

 熟成によって旨味が増すのは肉に限った事ではなく、魚も熟成させる事で美味しさをさらに引き出す事ができるとされ、最近では「熟成魚」も見られるようになってきています。鮮度が良い魚を良い状態を保ちながら、一番美味しくなる状態まで寝かせる。一番美味しいタイミングで食べるには熟成しないと出てこない旨味があるともいわれ、肉よりもタンパク質の分解が進みやすい魚ならより旨味が引き出せそうな気がします。

 魚の熟成は素材ごとに最適な熟成方法が異なっていて、分解が進みやすいサバなどは冷凍してゆっくり熟成、サンマなどの冷蔵で熟成するものは体液と同じ塩分濃度の0.9%の塩水に漬けた状態で熟成されます。

 かつては新鮮ではない魚しか手に入らなかった事もあり、鮮度が良いという事は美味しさに直結する事でしたが、流通、保存が発達した現在では鮮度が良い状態で入手した魚をより美味しく食べるために熟成するという選択肢も得られたという事ができます。

 今のところ熟成魚は一部の料亭や寿司屋でしか出会う事はできませんが、先日、肉を熟成させるために使われるエイジングシートを魚にも使う事ができるという事が発表されていて、手軽に熟成魚を味わう事ができるようになる可能性が出てきています。

 エイジングシートは肉を熟成させて熟成肉を手軽に作り出せるように開発されたもので、熟成を促進する有用菌を付着させてあり、シートで肉を包んで冷蔵庫で保管するだけで熟成肉を得る事ができます。

 今回、その技術が魚にも応用できる事が明らかになったもので、保管場所が通常の冷蔵庫でも良い事から、家庭でも手軽に魚を熟成させる事ができるようになり、魚の熟成に必要とされていた特別なノウハウや設備が不要になるとされます。

 今後、さらに家庭での活用を視野に入れた研究が進められるそうで、いずれは新鮮な魚を買い求め、冷蔵庫で寝かせてから食べるという事が一般化する事にも期待してしまいます。三日目の刺身の美味しさに気付いて以降、漁船の上で釣り上げられた直後にその場で調理された魚を食べて、これ以上の美味しさはないというグルメレポーターのコメントを嘘臭く見ていたのですが、それが一般的にも認識される日が来る事が楽しみに思えてしまいます。


 

第3070回 美味しい作法



 最近では、納豆に関する東西の評価の違いはかなり差がなくなってきたように思えるのですが、かつては東日本では評価が高く、西日本では評価が低いとされていました。そんな中、熊本だけは西日本でも例外的に納豆好きな県民性とされ、子供の頃から普通に接していただけに、初めて納豆が嫌いという関西の方に出会った際はそれなりの衝撃を受けた事が思い出されます。

 馴染みのある食材というだけでなく、何かと納豆とは縁があり、納豆に含まれる酵素のナットウキナーゼの粉末や粘りの素となる成分、ポリグルタミン酸などに接する機会もあり、食べる以外の部分でも納豆に親近感を覚えてしまいます。中でも強力な生命力と繁殖力を持つ納豆菌を使い、生活排水によって汚染された池の水を浄化するというプロジェクトには驚かされながら、納豆菌に対し大きな興味を抱いてしまいました。

 食事で納豆が出されると最初に食べてしまうのですが、納豆菌は酸には弱い事から最初に食べてしまうと胃酸に直接触れてしまう事となり、活きたまま腸に届かないので良くないとされます。温かいご飯の上にのせるのもご飯の熱によって酵素のナットウキナーゼが失活してしまう事から、良くない事といわれます。

 納豆菌の強力な生命力と繁殖力を思うと、胃酸は強力な酸ではありますがポリグルタミン酸の粘りに守られている事もあり、食事の最初に食べたからといってすべての納豆菌が死滅してしまうとは思えず、わずかでも残った納豆菌は腸内に入って環境が整うと、増殖活動を再開して増えてくれる事と思えてきます。

 ナットウキナーゼはタンパク質である事から高温にさらされると変性して機能しなくなるのですが、50~60度で働きが弱まりはじめ、60度以上の温度で変性してしまうとされます。ご飯が炊きたてであればその温度に達している可能性はあるのですが、炊き上がってしばらく経ったものを茶碗によそう段階でかなり温度は下がってしまう事から、直接ご飯にのせたくらいではナットウキナーゼは失活しないという事ができ、あまり食べ方を意識する必要はないと思えてきます。

 混ぜ方に関しては、粘りが敬遠される事がある事から、あまり混ぜないという意見もあるのですが、混ぜる事によってポリグルタミン酸が発生したり、空気に触れたナットウキナーゼが活性化したりという事があるため、しっかりと混ぜた方が良いとされます。

 時計方向、反時計方向などの混ぜる方向や途中で逆回転させるといった事には意味がないとされ、一定の方向にしっかりと混ぜる事が大切となります。混ぜた方が良いからといって乱暴に混ぜたり、混ぜ過ぎてしまうと旨味成分のアミノ酸が崩れてしまうという意見もある事から、優しくしっかりというのが基本になるのかもしれません。あまり細かい事は気にせず、美味しくいただくというのが上手に付き合うコツとも思えてしまいます。


 

第3050回 雨の日の猫



 雨の日、坊ちゃんは睡眠時間が長くなり、どこか物憂げな感じがしてしまいます。好きな野鳥の観察ができないためか、それとも灰色の空に気分が沈んでしまうのかと考えてしまうのですが、坊ちゃんに限らず雨の日の猫は物憂げだといわれます。

 子供の頃、雨に濡れないように軒下で雨宿りをしていると、雨をものともせずに犬が濡れながら近付いてきて、横に来て体をブルブルと振るわせます。一瞬、「やめて!」と思いますが、瞬時に犬の体から弾き飛ばされた水滴で雨宿りしていた服が濡らされてしまいます。

 これまで幾度も坊ちゃんをお風呂に入れたのに、思い返してみると全身ずぶ濡れの坊ちゃんは犬のようなブルブルをしません。実はこのブルブルをしない事が雨の日の猫の物憂げな表情に繋がっているといわれます。

 犬も猫も二層になった毛を持っています。犬は固い毛と柔らかい毛の二層となっていて、外側の固い毛で雨を受け止めて内側の柔らかい毛が濡れないようにしています。固い毛で受け止めた雨をブルブルと体を震わせる振るわせる事で弾き飛ばし、皮膚が濡れて体温を奪われないようになっています。

 それに対し猫は二層の毛を持ってはいてもどちらも柔らかい毛で構成されていて、雨を受けると水分は両方の毛に伝わって皮膚に達してしまいます。体をブルブルと振るわせてもうまく水玉を飛ばす事ができず、皮膚を濡らした水分は体温を奪ってしまいます。

 猫の祖先となるリビアヤマネコが棲む砂漠は、昼間は乾いた高温の世界となっていますが夜は急激に気温が下がり、濡れた体では一気に体温を奪われてしまって低体温症となると命に関わる事になってしまいます。

 そんな事がDNAに刻み込まれているため、猫は雨の日はよく眠り、エネルギーをセーブしているのかもしれません。獲物が見つけにくくなり、濡れてしまうと命に関わる雨の日、リスクを冒すよりはエネルギーをセーブして雨が上がるのを待つ。「あーあ、今日は雨か。濡れるよりも空腹を我慢しなくちゃ」そんな祖先の嘆きが、現代の猫に物憂げな表情をさせてしまうのかもしれません。


 
プロフィール

kcolumnist

Author:kcolumnist
にんにく卵黄本舗の健康コラムです。
食と健康をキーワードに最新の医療情報から科学技術、食文化や献立まで毎日更新で幅広くお届けします。是非ご覧ください。

リンク
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR