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第3124回 レジ袋に思う



 レジ袋の有料義務化がスタートして二ヵ月以上が経過し、少し慣れた感じがしてきています。当初はスーパーやコンビニエンスストアのレジで有料の袋が必要かといった問いかけを受け、そういえばと思いながら購入品の量に合わせてそのまま持ち帰ったり、袋のサイズを指定して購入したりしながら、書店やホームセンターなどでも同じ質問を受けてしまって戸惑ったりもしていました。

 これまで無料で配布する事によって経費でしかなかったレジ袋が有料化にいよって売り上げに変わり、販売店では新たな売れ筋商品が加わった感じで良いのではと思う反面、以前のように突然、食べたい料理が思い浮かび、必要な食材を買いながらついでに別の商品を購入するという事が減り、一人当たりの購入単価が下がっているのではとも思えます。

 今回の有料義務化は「海洋プラスティックごみ問題や地球温暖化などの解決に向けた第一歩」と位置付けられ、「マイバッグ持参など、消費者のライフスタイルの変化を促す事が目的」とされています。2016年1月開催の世界経済フォーラム年次総会で発表された世界のプラスチックの生産量が1964年から2014年の間に20倍以上に急増し、海に流出したプラスチックは、2050年までに重量ベースで海のすべての魚の量を上回るといった試算からの流れを受けての事と思えるのですが、何故レジ袋からなのかは理解できないものを感じてしまいます。

 ほとんどのレジ袋はポリエチレンで作られていて、ポリエチレンは理論上、燃やしても二酸化炭素と水しか発生させず、有害物質を排出する事はありません。購入した商品を持ち帰った後はごみ袋などに再利用される事が多く、焼却場では水分が多くて燃焼に熱量が必要な生ごみなどを燃やす際の燃料として役立っていたともいわれます。

 有料化によってレジ袋が減り、ごみ袋として塩化ビニール製の袋が使われるようになると、燃焼した際にダイオキシンなどの有害物質が発生する危険性が増し、有害物質の発生を抑えるために高温で燃焼させるには余分な燃料が必要となります。

 石油を精製してガソリンや重油を生産すると、その残りとしてポリエチレンは発生します。レジ袋は、そうしたポリエチレンの有効な使い道だったともいえます。

 焼却場が燃料の重油を多く使用するようになると、その分、ポリエチレンも多く発生してしまいます。レジ袋という大きな使い道を失ったポリエチレンはどうなるのだろうと心配になったりもしながら、それでもごみの量が減らせるのは良い事とも思えます。

 しかし、レジ袋をはじめとするポリエチレン製の袋は、目に留まるごみの0.4%に過ぎず、海洋でもプラスチックごみの0.3%程度しかないとされ、レジ袋を全廃したとしても効果の程は知れたものという事ができます。

 そのためレジ袋有料化の意味が解らないと思いながら、海洋プラスチックごみの中でレジ袋よりも比率が高く、身近なものを探してみると、ペットボトルが全体の8分の1を占めている事が判ります。それならばペットボトルの取り扱いを考えなければと思ったのですが、そうした考えに至るというところにレジ袋有料化の意味があったのかと思ったりもします。


 
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第3115回 地球のために



 夏が来て、日常的に猛暑日という言葉を聞くようになると、地球が温暖化しているという事を意識させられます。夏休みの子供たちが学校のプールやラジオ体操へ向かう姿を見掛けると、自分が子供の頃に経験していた夏はこんなにも暑かっただろうかと思い返したりもします。

 暑すぎる気温に熱中症を心配したり、見慣れたコースを大きく外れてやってくる強烈な台風を見ていると、今すぐできる事から対策を始めなければと思えてきます。何から手を付ければとも思えてしまうのですが、とりあえず温暖化の原因ともいわれる温室効果ガスの排出が少なくなるような生活を心がけなければと考えてしまいます。

 温室効果ガスの排出抑制についてはさまざまな事がいわれているのですが、意外な事が地球温暖化の対策に繋がるという事がいわれています。その意外な対策法とは菜食主義の推奨で、肉を食べる人が少なくなれば温暖化の進行は抑えられるといいます。

 食と温暖化、関係がある事とは思えながら直接的な事としてはイメージしにくいのですが、世界中で食糧の生産から流通、消費までの流れをめぐるフードシステムは、世界で排出される温室効果ガスの4分の1を占めるともいわれ、食と温暖化が深い関りを持つ事が判ります。

 世界のフードシステムから排出される膨大な量の温室効果ガス、その中でも畜産業にまつわるものが半数以上とされ、特に牛の飼育に関わるものの比率が高いとされます。現在、牛の多くが穀物を中心とした配合飼料で育てられていますが、牛一頭が食材として賄える量を「1」とすれば、牛一頭が出荷されるまでに消費される穀物を直接食糧とした場合、その賄える量は「20」にものぼるとされ、牛肉を食糧とする事の効率の悪さが窺えます。

 また、畜産業は地球の気候に対し二重の脅威になっているともいわれ、ブラジルなどの亜熱帯地域における牛の放牧地や大豆を生産する畑を確保するために行われている森林の伐採は、二酸化炭素を吸収する場を奪っているとも指摘されています。

 そうした事情を受けてロンドン大学のゴールドスミス校では、新たに就任したコーナー学長が環境保護の取り組みの一環として構内での牛肉を使った食べ物の提供の禁止を発表しています。牛肉の完全な排除に併せペットボトル入りの水やプラスティック製のカップに10ペンスの追加料金を課すといった措置も行われている事から、かなり思い切った取り組みともいえます。

 それに対しイギリスの畜産業界は猛反発し、全英農業者組合のロバーツ副会長は、「イギリス産牛肉に対する明白な理解の欠如」として批判を展開し、イギリスの畜産業界では環境に配慮して生産効率を高めている事から、「地球を守りたかったらイギリス産の牛肉を買うべき」と主張しています。

 そんな中、IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)によって、今後の気候変動と土地利用に関する視点から、「食品ロスを減らす事」と「肉食を減らす事」がカギとなる事が発表され、地球温暖化の対策として食の在り方を見直す事は今後、重要視されてくるのかもしれません。


 

第3078回 ITとカカオ豆



 先日、いつも聞いているお気に入りのラジオ番組の毎回変わるテーマが仮想通貨で、それまで理解する事ができなかった「マイニング(発掘)」という行為が何に当たるのかを理解する事ができました。

 最近は下落して注目される機会が減った感じの仮想通貨ですが、一時期は投機的な扱いで高騰し、初期の頃に手に入れていた人が膨大な資産を形成して「億り人」と呼ばれるなど、大きな話題となっていました。

 仮想通貨は貨幣や紙幣といった実態を持たず、国や中央銀行が発行している訳でもなく、どこか掴みどころのない存在のように思えるのですが、不確かなはずの仮想通貨を確かなものとして存在させているのがブロックチェーンと呼ばれるシステムであるといわれます。

 ブロックチェーンは「分散型台帳」とも呼ばれる事もあり、文字通り分散型ネットワークを構成しているたくさんのコンピューターに公開鍵暗号などの暗号技術を組み合わせ、取引情報などのデータを同期させて記録する手法で、仮想通貨に用いられる基盤ともなる技術となっています。

 一部のコンピューターで取引データの改竄が行われても、他のコンピューターとの多数決によって正しいと思われる取引データが選ばれ、修正が行われる事から不正を行う事が困難となっていて、取引情報の履歴が鎖状に繋がれている事からブロックチェーンと呼ばれるようになっています。そんなブロックチェーンが意外な場所、ガーナで社会問題を解決するテクノロジーとして注目を集めています。

 ガーナの経済を支える産業というと農業で、重要な輸出品の一つにカカオ豆があります。生産量世界一のコートジボワールと合わせて、世界に流通するカカオの大半を占めてるガーナのカカオですが、両国合わせて210万人もの子供たちがカカオの生産に従事させられているとされ、児童労働として社会問題化しています。

 児童労働を無くすためのアプローチの一つとしてフェアトレードがあり、フェアトレードを確実に履行し、広めていく上でブロックチェーンの技術が役に立つといわれています。ブロックチェーンの技術を使えばカカオ豆の生産地や生産者、中間のバイヤー、支払金額などの多くの情報を記録、管理する事が可能になり、信頼できるトレーサビリティを確立する事ができます。

 生産から消費までの流通情報に誰でもアクセスできるようになれば、児童労働をはじめとする課題の解決に繋がり、名ばかりのフェアトレードも駆逐できる事も考えられます。将来的にはカカオ農園で働く人がチョコレートメーカーと直接取引できるようになる事も、分散型システムとして機能するブロックチェーンは可能にするともいわれます。

 カカオ豆、バニラビーンズ、コーヒー豆。一見、無縁なように見えるブロックチェーンは、多くの第一次産業の在り方を変えてくれる存在なのかもしれません。


 

第3071回 街の癒し



 子供の頃、どのくらいの頻度だったのかは憶えていないのですが、御用聞きの方が定期的に来られていて、一軒は家からそう遠くない所にある酒屋さん、もう一軒は店がどこにあるのか知らないしょうゆ屋さんで、今でもお二方の顔は懐かしく憶えています。

 今から思うと酒屋さんはともかく、しょうゆ屋さんはしょうゆだけに特化して各家庭を回り、販売されていたのですが、よくそれで商売が成り立っていたと、昔は良かった的な気分になってしまいます。最近ではしょうゆ専門店など見掛ける事はなく、酒屋さんでさえも激減してきていると聞かされます。

 街の情報に詳しかった印刷会社の営業の方に聞かされた話によると、「酒を扱うようになったコンビには栄えるが、コンビニになった酒屋は潰れる」との事で、同じ品揃えのコンビニエンスストアであっても、それまでの商品に加えて酒類を扱うようになった事で顧客層や利便性が広がり、売り上げが向上するコンビニエンスストアと売り上げの不振が続き、コンビニエンスストアのチェーンに加盟して打開策を模索する酒屋とでは雲泥の差があるとされます。

 立地的な事を考えても、集客に有利な場所に開設されたコンビニエンスストアと、たくさんのお客さんが車で買いに来るといった前提がなかった街の酒屋とでは、同じチェーン店ではあっても利便性という点では別物といえると思えてきます。

 大手スーパーやホームセンターでも酒類が安売りされるといった競合の存在や、重い商品を扱えなくなるといった高齢化もあり、街の酒屋が激減する中、新たな活路を求めて購入した酒をその場で飲む事ができる「角打ち」スタイルの酒屋も見られるようになってきているといわれます。中には肴として缶詰の販売もされている店もあるらしく、安価に本格的な酒を愉しめる場所ともなっていると伝えられています。

 以前、某駅の入り口に面した商店街の入り口で昔懐かしい雰囲気の「角打ち」の看板を見掛けた事があり、夕方には数名のお客さんが立ち飲みをしておられるのを見た事があります。角打ちというと、どこかレトロで昭和の香りが漂ってしまうのですが、昭和に栄えた町の酒屋の新たなスタイルとして、癒しが求められる昨今、町の酒屋さんが角打ちとなって癒しを与える場所となるというのも一つの良い流れのように思えてしまいます。


 

第3062回 筋トレの効用

 

実家に同窓会の案内が届いたと母親から連絡があり、これまでも幾度か届いているはずなのですが、今回に限って熱心に出席するように促された事もあり、卒業後、初めて出席してみる事にしました。

 ずいぶんと久々にお会いした恩師は、思っていたよりも年を取っておられず、その事に一安心しながら、一度体を傷められたらしく、「人はケガをしてから筋力トレーニングの大切さを知るが、筋力トレーニングは体が自由に動くうちにやっておかなければいけない」という一言に妙に納得させられてしまいました。

 筋力トレーニングは筋肉に負荷をかけ、筋繊維を太く成長させる必要がある事から、普段から心掛けて全身の筋力を鍛えておくと、万が一のケガなどの際も慌てて筋力不足を補うという事がなく安心できると思えます。

 そうして筋力トレーニングの必要性を考えていたのですが、それ以上に筋力トレーニングを行う事のメリットが最近の研究で判ってきています。筋力トレーニングを行っている人とそうでない人では、全ての死因において死亡リスクが23%低く、特にガンに関しては31%もリスクが低下するといいます。

 オーストラリア、シドニー大学の研究プロジェクトがイングランド健康調査及びスコットランド健康調査の1994年から2008年までのデータを用い、30歳以上の成人、約8万人を対象に筋力トレーニングと全死因における死亡、ガンによる死亡の関連性を分析したところ、週二回以上、筋力トレーニングを行っている人に関して明らかな死亡リスクの低下が確認されています。

 筋力トレーニングと死亡リスクとの因果関係については、完全には解明されていないとされますが、同様の結果はアメリカのペンシルバニア州立大学の研究でも示されていて、65歳以上の高齢者で筋力トレーニングを行っている人は、そうでない人と比べて全死因による死亡リスクが31.6%も低いとされていて、筋力トレーニングを行う価値の高さを窺わせてくれます。

 筋力トレーニングというとジムで行うウェイトトレーニングが思い浮かんでしまいますが、腹筋や腕立て伏せなどの日常的にできる簡単なものでもよく、仕事や勉強、家事などの合間を使って無理のないペースで行えば充分とされています。手軽で大きな効果を上げられる事から、行わないと損なようにも思えます。


 
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にんにく卵黄本舗の健康コラムです。
食と健康をキーワードに最新の医療情報から科学技術、食文化や献立まで毎日更新で幅広くお届けします。是非ご覧ください。

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