第2242回 アイスダイエット?
最近、ダイエットに関する考え方が変わってきて、これまでのカロリーの数値や糖分、脂質の量を意識していたものから、食後の血糖値の上がり方を重要視するようになってきており、血糖値の急激な上昇をさせないようにする事がダイエットには有効とされるようになってきています。
血液中の糖質の量が多い状態、血糖値が高い状態になると体は血糖値を下げるホルモン、インシュリンを分泌して血糖値を本来の数値にまで下げようとします。
インシュリンが分泌された事で、血液中の糖質は脂肪細胞内に押し込まれて血液中の糖質の量は血糖値が上がる前の状態へと戻されます。糖質の保管場所となった脂肪細胞は糖質によって成長するため、肥満の原因となると考えられています。
そのため同じ量の糖質を含んでいても、糖質自体の性質や一緒に含まれている成分によって血糖値が上昇しにくい食品の方が、より肥りにくい食品であると評価する事ができます。
そうした観点から、意外な食品がダイエットに有効と再評価されるようになってきています。その食品とはアイスクリームで、乳脂肪分の塊であり糖分も含んでいる事から、かつてはダイエットの大敵とも思われていました。
アイスクリームは生クリームに卵、砂糖に香料、レシピによっては牛乳などを加えて攪拌しながら冷凍する事で作られていて、見るからにカロリーが高そうな素材を使い、脂肪や糖分を含んでいる事、体を冷やしてしまうので燃焼の妨げとなるなどさまざまな要因がいわれ、誘惑に負けない事がダイエットには必要とされていました。
しかし、血糖値の動きを中心に考えた場合、同じおやつでもクッキーやケーキといった小麦粉という炭水化物を多く含むお菓子に比べてアイスクリームは乳脂肪と糖分だけなので血糖値が緩やかにしか上がらず、その分、肥りにくい食べ物となっているという事ができます。
乳脂肪にしてもアイスクリームに含まれる脂肪分はエネルギーに変わりやすく、脂肪として蓄えられにくい性質がある事や、香料としてよく使われるバニラに含まれるバニリンには肥満を抑制する働きや、乳糖には皮下脂肪や内臓脂肪の蓄積を防ぐ働きがある事が知られてきています。
冷たいアイスクリームを食べる事で体温が下がってしまう事についても、体には一定の状態を保とうとする働きがある事から、代謝機能を高めて体温を上げようとして脂肪を燃焼する事から、脂肪が消費されやすい状態を作り出していると考える事もできます。
いろいろと細かく見ていくとダイエットに向いているようにも思えてくるアイスクリームですが、よく見られるダイエット方法のように食事と置き換えてしまうのは、栄養の偏りが生じる事からお薦めができないといえます。
脂肪分に関しても植物性油脂を代わりに使っている物も見られるので、選び方や接し方を充分考えながらダイエットに役立てる、またはダイエットの大敵という見方を改める程度で良いのかもしれないと思えてきます。
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