第2542回 健康の印
食に関してある程度の知識があると思われてしまうと、よく食べられる物がなくなってしまうでしょう、どのような判断基準で食品をえらんでいますかといった事をいわれてしまいます。食品を選ぶ際は裏面の成分表示を事細かく眺め、自分なりの独自基準で安全を判断したり、食品の組み合わせを考えて危険を回避しているといったイメージを持たれている事が感じられるのですが、案外、大雑把に賞味期限さえ気にせず食品を選んだりしています。
食に対する安全意識の高さは、食の安全確保に関する質問を受けてしまう事や食の危険性に警鐘を鳴らす本の売上を見ても相変わらず高い水準にある事が判ります。
そうした安全意識の高まりを受けて、新たに厚生労働省は来年の4月からコンビニエンスストアやスーパーの総菜売り場の弁当や持ち帰り総菜に対して「健康な食事」として認証マークを導入する事を発表しています。かねてより安全性を疑問視する声が多かったコンビニの弁当に対する健康の認証という事で、どのような動きに繋がっていくのかと気になっています。
コンビニの弁当に関しては、以前、健康志向の高まりを受けて食品添加物の使用を極力控えるという取り組みが行われた事があったのですが、合成着色料を使用していない弁当は美味しそうな色合いを出す事ができないために、それまでに比べて2割も売り上げを落としてしまい、やむなく元のように着色料を使用するようになったという事があり、一概に提供する側だけの問題ではなく、選ぶ側にも現状に関する責任があり、健康な食事の認定マークはそれをどのように変える事ができるのかと考えてしまいます。
健康な食事の認証機関である厚生労働省であれば対象となる弁当や総菜の中にどれだけの食品添加物が含まれ、どのような状況下で製造されているのかを把握できるはずです。その中からどのような基準が作られ、健康のために何が失われるのか、それとも売上のためにどれだけ健康へのリスクが残されるのか、それだけでもとても難しい問題に思えてきます。
実際に健康に繋がるように食品添加物を排したり、手間暇を惜しまず調理された場合、それなりの価格になってしまう事や色合いが美味しそうに見えない、味が薄味で物足りない、日持ちがしないといった事を消費者がどのように受け止めるのか、それが求められているようで、初めて認証シールを見掛けた時に複雑な心境になってしまいそうと、今のうちから考えてしまっています。
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