第2617回 ボルドーの味覚
最近、よく検索されているキーワードに「高カロリー、菓子パン」というものがあると聞かされ、思わず自分でも検索してみる事にしました。何かの番組で話題とされた事がきっかけとなっているとの事なのですが、思ってもいなかったカロリーの高さに驚いたという書き込みが随所に見られます。
私の中では最もカロリーが高い菓子パンというと、「カヌレ」がすぐに思い浮かんできます。生地を扱う際の打ち粉の小麦粉の代わりにグラニュー糖を使うといわれるほど大量の砂糖を使い、焼き上がりは熱で溶けた飴状の砂糖にコートされたカヌレに勝る高カロリー菓子パンはないように思えます。
そんな事を考えながらランキングを見ていると意外にもカヌレの名前はなく、実際にカロリーを調べてみてもそれほど一個当たりのカロリーは高くない事に気付きます。
気になって更に詳しく調べてみると、私が教わったカヌレは正式なものではなく、しかもカヌレはパンではなくお菓子のカテゴリーに属する物である事が判ります。
カヌレは正式には「カヌレ・ド・ボルドー」と呼ばれ、フランスのボルドー女子修道院で古くから作られていました。カヌレ型と呼ばれる小さな特徴的な型を使って焼かれていて、カヌレという言葉には「溝が付いた」という形状に関する意味があるといわれます。
ボルドーというとワインの名産地であり、カヌレはワインの製造と深い関わりを持っています。ボルドーではワインの澱を取り除くために、日本で黒蜜のアクを除く時のように卵白を使っていました。その際に卵黄が余ってしまう事から、余った卵黄の利用法としてカヌレ作りが考案されたとされます。
鍋に牛乳を沸騰させて、そこへラム酒やバター、薄力粉、卵黄、全卵、バニラなどを加えて生地を作り、半日ほど寝かせてからカヌレ型に蜜蠟を塗って焼き上げます。カヌレ型の使用と蜜蠟が特徴となっているとの事で、私が教わった作り方はまるで違うものであった事が判ります。修道院で考案されたのであれば大量の砂糖を使うはずもなく、正式な作り方に納得してしまうのですが、そうなると間違った作り方の出処はと気になってしまいます。
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