第2696回 けんちんへの想い(2)



 具沢山の汁物が好きで、中でもけんちん汁は冬場の幸せな思い出とリンクしている事もあり、大好きな料理となっています。すでに全国的に知られた存在となっていて、レシピも広まっている事からほぼ統一された料理となってきていますが、しょうゆ仕立てか味噌仕立てかといった味付けの違いや、豆腐が入るか入らないかといった違いが地域別に見られていたりして、興味深いものを感じる事ができます。

 大元となったものが福建省から仏教と共に伝えられた普茶料理の「巻繊(けんちん)」にあると考えた場合、精進料理である事が正しいように思えて、出汁もかつお節は使わない事に納得してしまうのですが、当地、熊本の一部に伝わるけんちん汁はタヌキ汁であるという事は、かなり異端のようにも思えます。

 普茶料理の巻繊は根菜類やシイタケ、麩などを細切りにして炒めてしょうゆで味を着け、栗や青菜などと共に油揚げで巻いて揚げた料理ですが、長崎では同じ巻繊でも野菜と豆腐を炒めてあんかけにした料理。鹿児島県の屋久島や山口県では豆腐と野菜を炒り付けた物、愛知県の知多郡では法事の際に根菜類の皮を使って作るきんぴらに似た料理、静岡県の庵原郡では根菜類の雑煮、愛媛県では煮込み料理を指しています。

 巻繊がアレンジされたと考えられる巻蒸は、長崎の卓袱料理ではもやしや煮込んだ野菜を小麦粉の生地か湯葉で巻いて蒸し上げた料理、もしくは伊勢海老と野菜を薄焼き卵で巻いて油で揚げた料理となり、大分県の中津市ではキクラゲを使う蒸し菓子、中国江蘇省では蒸しパンの一種となります。

 けんちんという言葉は野菜を指すものとして独り歩きしたような例もあり、野菜のなますとして「けんちんなます」と呼ばれ、千葉県や鹿児島県では大根やニンジンを油で炒めたきんぴらのような料理、青森県では豆腐を炒めて大根おろしで煮込み、細切りのニンジンやネギ、酢を加えた料理、三重県の志摩郡では三杯酢を使った野菜料理を指すようになっています。

 他にも長野県の北部で作られる豆腐をひじきや千切りのニンジン、昆布などと混ぜて砂糖やしょうゆで味を付けて湯葉で巻いた「けんちん巻」などもあり、日本国中に存在するけんちんの多種多様さに驚かされてしまいます。

 一つのスタイルのけんちん汁が全国的に根付いていく中、各地に伝わるけんちんも失われない事を願ってしまいます。


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第2695回 けんちんへの想い(1)



 キクラゲをたくさんいただき、どのようにして食べようかと調べているうちに不思議な和菓子を発見しました。から揚げ普及協会公認のから揚げニストとしては聖地ともいえる大分県中津市に伝わるその和菓子は、「巻蒸(けんちん)」という不思議な名前で、細切りのキクラゲが入ったういろうのようにも見えます。

 けんちんというと豆腐や野菜を煎り付けて煮込んだ具沢山の汁物、けんちん汁が思い浮かんでくるのですが、巻蒸はけんちん汁とは大きく異なる存在となっています。

 けんちんの語源は普茶料理の「巻繊(けんちゃん)」にあるといわれます。巻繊は刻んだ野菜に豆腐を混ぜて炒め、油揚げか湯葉で巻いて油で揚げる料理で、油で揚げる部分がアレンジされて汁物になったとされます。

 巻蒸は江戸時代、中津藩の医師であった田中信平が蘭学を学ぶために長崎を訪れた際、現地に伝えられた清国の料理を元に地元の菓子職人と共に作り上げたといわれ、田中信平が天明4年(1784年)に著した料理書「卓子式」の中に、長崎時代に目にした普茶料理に関する記述があり、「巻繊(けんちん)」として細切りにした野菜やキノコを煮てあんかけにする料理が登場し、あんかけにする際の葛粉の量を増やす事で巻蒸となった事が伺えます。

 長崎の卓袱料理の中にも「巻蒸(けんちん)」という料理がありますが、こちらは伊勢海老を茹でて身を解し、キクラゲやゴボウ、銀杏などと共に薄焼き卵で巻いて油で揚げる料理で、普茶料理の巻繊のアレンジ版のように思えます。

 葛粉特有の透明感の中に黒いキクラゲが浮いて見え、控えめな甘さとキクラゲのコリコリした食感が特徴といわれ、中津市では慶長時に広く食べられているそうですが、日本中に伝わる「けんちん」と名の付く食べ物の中では、かなり変わった部類に入るのではないかと思えてきます。


第2694回 プリン体と乳酸菌



 プリン体ゼロといわれると、CMの効果もあってビールが思い浮かんできます。プリン体は核酸の中に含まれる事から、細胞数が多い食品や細胞分裂が盛んな組織に多く含まれているのですが、ビールを発酵させるビール酵母も盛んに細胞分裂を行う事からプリン体が多いと考えられ、ビールはプリン体が多い飲料というイメージが定着してしまっています。

 ビールを製造する際、発酵を終えた後はビール酵母を濾過してしまうので、酒類の中ではプリン体が多い部類には入りますが、他の食品と比較してもビールはそれほどプリン体が多いとはいえない含有量となっています。

 元々含有量が多くない上に、完璧にビール酵母を濾過するようにするとプリン体ゼロのビールができあがるのですが、意外な盲点があり、アルコール飲料は全般的にプリン体を含んでいなくても血液中の尿酸値を上げてしまう事から、結果的にプリン体を多く摂取したような状態になってしまい、プリン体ゼロであっても安心できないものとなっています。

 そんなプリン体に対して一部の乳酸菌がプリン体を分解し、自らの栄養として消費する事でプリン体を減少させて血中尿酸値の抑制を行う事が知られるようになってきています。

 すでに幾つかの対照実験でも効果が確認されており、「PA-3」と呼ばれる菌株を含むヨーグルトを日常的に摂取する事で血液中の尿酸値の低下が見られています。

 プリン体は旨味成分でもあり、美味しい物に多く含まれるともいわれます。また、世界的にヘルシーと評価される和食の素材にも多い事や、一部の健康食品にも多量に含まれる事から、摂らない努力よりも分解する工夫の方が適しているのかもしれないと、乳酸菌の力を改めて見直してしまいます。


第2693回 笑う犬



 これまで撮影してきた坊ちゃんの画像の中で、最も可愛いと思えるものの一つに片手(前足)を口元に添える形で「ムフフ...」と微笑んでいるように見えるものがあります。お気に入りの一枚なので、プリントアウトして部屋に飾ったりしているのですが、実は撮影しようとした際は全く逆のものだったりします。

 先端を整えるために爪を噛んでいたのですが、真剣な表情なのか眉間にしわを寄せ、目は半開きの三角形だったので、あまりの険しさに「この爪で全てを切り裂いてやる」と考えているようで、あまりの凶悪さに思わずカメラを構えてしまい、その気配に気付いた坊ちゃんが表情を和らげてしまったため、凶悪な顔が一転してしまっていました。

 表情に乏しいイメージがある犬や猫ですが、日常的に接していると意外なほど表情が豊かで、細かな感情を感じ取る事ができます。先日読んだレポートでは、「犬が笑う」というものがあり、坊ちゃんでも同じような事を確認しています。

 笑いは人をはじめとする一部の霊長類に限られた事とされますが、先天的に笑うという行動を備えているのが一部の霊長類のみで、後天的となると事情は大きく変わってきます。

 犬は嬉しいという感情を尻尾を振ったりして表現します。同じような感情を飼い主が抱いた時、飼い主は笑顔を見せるという事を経験の中から学び、飼い主と嬉しさを共有するために笑顔を作るという事をするようになります。

 それが犬の笑いで、多くの場合、唇を持ち上げて歯を見せるという事をするのですが、犬も笑うという事が認識されていない事も手伝って、笑っているとは思われずに済まされてしまいます。

 私も坊ちゃんと接していて何かにつけ笑顔を見せ、目が合った際も名前を呼んで微笑み掛けるようにしています。そのせいか私の機嫌が良い時は笑顔になるという事を認識しているらしく、自分も同じような気持ちを伝えようとして目を細めて笑顔に似た表情を作ってくれる事があります。

 笑いにはストレスを軽減させたり、免疫力を高めたり、自己治癒力を高めるなど健康面での優れた効果が確認されており、笑いを真似るだけでも近い効果を得られる事が知られています。犬や猫たちの笑いがそうした効果を生じている事を、密かに願ってしまいます。


第2692回 大王の不食



 行き付けのスーパーのいつもは使わない側の入口から入ると、通路に沿ってコインを入れてハンドルを回し、カプセルに入ったおもちゃなどを販売するガシャポンの機械が並んでいます。その中に一際異彩を放つものがあり、近付いてみるとダイオウグソクムシのフィギュアを販売していました。

 買ってみようかと少々心が揺れたのですが、ダイオウグソクムシ以外の生物のフィギュアも入っていて、ガシャポンにしては一回400円と高額であった事から、気に沿わぬ物が出てしまう事を怖れて素通りしてしまいました。

 ダイオウグソクムシは「具足」の名前が示すように背中が甲羅で覆われたダンゴムシの仲間で、とても虫とは思えない巨大な姿が話題になる事があります。大西洋やインド洋の深海底に棲んでいて、生物の死骸などを食べる事から「深海の掃除屋」などと呼ばれて巨体に似合わない穏やかな生活を送っています。

 そんなダイオウグソクムシが巨体やいかつい姿以外で話題となったのが、鳥羽水族館で飼育されていた「No.1」と名付けられた個体が5年を超える長きに渡って絶食を続けた事によります。飼育日数は6年と158日に上り、平成21年の1月2日に50gのアジを食べて以降、5年と43日もの間、何も食べずに生きていた事になります。

 残念な事に平成26年2月14日の午後5時半頃に死亡が確認されましたが、生前は飢餓の様子は確認されず、死亡した際も甲羅の内側の肉に痩せなどが見られず、色艶も良い事から死因は餓死ではないと見られています。

 5年を超える長きに渡り、何も食べずに生きられた事について死後解剖が行われ、その際、胃の中から謎の液体が見付かっています。褐色の液体はほぼ胃全体を満たすほどの量で、中からは酵母のような微生物が検出されました。

 過去に死亡したダイオウグソクムシを解剖しても、胃の中からは未消化の固形物か空っぽの状態しか見られず、今回のような液体が出てきたのは初めての事で、顕微鏡で液体を観察すると微生物は増殖しており、出芽や分裂で増える単細胞の酵母に近い存在である事が推定されました。

 現在のところ酵母に似た微生物の研究が進められ、ダイオウグソクムシの絶食との関連が調べられています。微生物はダイオウグソクムシと共生していた事も考えられ、共生関係を確立できたために何も食べる必要がなくなったのか、寄生されてしまったために食べる事ができなくなったのか。さまざまな謎を残しながらダイオウグソクムシは驚異的な絶食記録を確立し、静かな眠りに就いた事になります。

 人でもジャングルで暮らす部族にほとんどタンパク質を摂取せず、不足するはずのタンパク質を腸内細菌を消化する事で賄っているという例がありますが、完全な不食という事は過去に例がないと思えます。

 微生物との共生による不食の生活。どのようなものなのか想像が膨らんでしまい、深海のダイオウグソクムシに思いを巡らせてしまいます。


第2691回 森の老化



 樹木を移動させるには3月頃が良いと聞かされた事があるので、近くの沢を登って沢沿いの土手が崩れ、上に自生していた樹木が倒れているのを見付けて、運べる大きさの物を庭に移植するという事をしていました。最近は途絶えていたのですが、久々に行ってみると私が運べる程度の樹木どころか大きなスギが何本も沢に倒れ込んできていて、あまりの迫力に恐怖を感じてそのまま帰ってしまう事となりました。

 日本が高度成長期を迎えた頃、これからはマイホームを持つ時代が到来するので木材が必要になるとスギやヒノキが盛んに植樹されました。しかし、植えられた木々が充分に育ち、伐採されて建築用の木材となる頃には安価な輸入資材が普及する事となり、山から切り出しても利益が上がらない状態となっていました。

 自然林を切り開いて大量に植樹されたスギは毎年花粉を飛ばしてスギ花粉症という社会問題を起こし、伐採しても利益が上がらない木材価格は林のメンテナンスの放棄、間伐されず荒れた林は大雨による土砂崩れなどの新たな問題を生じるようになってきました。

 切り出される事なく年を重ねた木々は老木化し、盛んに成長していた頃のように栄養を必要しなくなって、老木の林では植物の栄養である窒素が余る自体が発生しているといいます。

 そうした余剰窒素は雨によって流されて河川へと入り、最終的には海に辿り着く事となります。窒素が多くなった海水は富栄養化した状態になり、藻類の異常繁殖を引き起こして溶存酸素の低下による水産資源の損失に繋がる事が確認されています。

 日本では森林面積の約30%が植林されたスギやヒノキの林とされ、今後、老化が進む事で弊害の顕著化が懸念されます。老木を伐採して自然林に戻す事で回避する事が可能ではありますが、膨大なコストと下落した木材価格という森林問題の根底に行きついてしまいます。林業の現状が漁業の未来にリンクしてしまっているので、何か良い対策はないものかと考えてしまいます。


第2690回 ゴロゴロの効能



 スポーツというものに全く興味がなく、自分で何かをするという事も観戦するという事もないのですが、バイクのレースの最高峰クラスだけは応援する選手がいて、毎回、その選手を応援するためだけにレースを眺めたりしています。

 以前、その選手が転倒し、重大な怪我を負ってしまって、最悪の場合、そのシーズンは復帰できないのではといわれた事があったのですが、意外にも一月ほどで復帰して、その際、音波を使った最新の骨折の治療を受けたという情報を聞かされました。

 治療に関する詳細な情報は述べられなかったのですが、一定の波長の音波を骨折した患部に当てる事で治りが早まるとの事で、その音波は猫が機嫌が良い際に出すゴロゴロといった音に近いという事でした。

 猫のゴロゴロ音は何を意味しているのかは謎といわれ、子猫が母猫に存在を知らせるための音、すぐそばにいるものだけに伝わるように工夫したコミュニケーション方法ともいわれる中、最近では天性のハンターでもある猫が傷の治りを早めるためや骨格の発達を促すためのものともいわれています。

 ゴロゴロ音の意味だけでなく音自体も謎を多く持っていて、気管と横隔膜の筋肉の共鳴による咽頭の振動や喉頭質皺壁(こうとうしつしゅうへき)と呼ばれる仮の声帯の振動、気管や静脈洞へ流れ込む血液の乱れから生じる音といった仮説が立てられてはいますが、正体は定かにはなっていません。

 謎に包まれたゴロゴロ音ですが、骨折を早く治すだけでなく骨密度を向上させたり、血圧を下げたり、ストレスを軽減するといった効果がある事が確認されていて、これから医療の現場で活躍しそうな感じがしています。免疫力を高める働きもあるといわれ、副作用のない薬という意見もあるといいます。

 いつも坊ちゃんのゴロゴロ音を聞いて幸せな気分になっているのですが、猫好き限定の効果ではない事に改めてすごいものだと思わされます。


 

第2689回 翻弄の魚肉



 久しぶりに魚肉ソーセージを食べようと思って外袋から取り出すと、ケーシングの端の方に四角い小さなビニールが貼られ、そこからケーシングを切り開く事ができるようになっていて、ケーシングも楽に綺麗に剥がれて中身を取り出す事ができ、ずいぶんと進歩したものだと思いながらゴミの分別が楽なようにケーシングの端を止めている部分が金属からプラスティックに変わっているのを眺めます。

 かつては刃物を持っていなければ端の部分を上手に切り開く事が難しく、切り開いてもケーシングの合せ目を使って上手に縦方向の切り目を全体に入れる途中で切れてしまったりすると、絶望的に取り出すのが難しくなっていました。

 全体に縦方向の切り目を入れる事ができてもケーシングが剥がれにくい事から、中身のソーセージが曲がって折れてしまったり、ケーシング側に大量に付着して剥がれたりとあまり良いイメージがありません。そうした消費者の声を受けて工夫が行われた事が今の使いやすさに繋がっているのだと思いながら、翻弄され続けた魚肉ソーセージの歴史に思いを巡らせてしまいます。

 魚肉ソーセージの開発は洋食の普及が進み始めた大正時代にはすでに着手されており、日本各地の水産試験場などで魚肉を使ったハムやソーセージの開発が行われていました。ハムについてはマグロを使った「ツナハム」がすぐに実用化されていますが、魚肉ソーセージの試作が成功するのは昭和24年(1949年)の事で、愛媛県八幡浜市の西南開発工業協同組合によって最初の魚肉ソーセージが作られています。

 2年後の昭和26年には西南開発株式会社が創立され、魚肉ソーセージは「スモークミート」の名前で商品化されています。全国的に広がるきっかけとなったのは商品化から一年後の昭和27年、明治屋と販売契約を結んだ事で、認知度の向上に合せて後発のメーカーの参入も行われました。

 昭和29年にビキニ環礁で行われた水爆実験によって日本の第五福竜丸をはじめとする多くのマグロ漁船が被ばくするという事故が起こり、処理のために大量の放射能汚染マグロが水揚げされると風評被害からマグロの大暴落が起こり、余剰となったマグロを原料とした魚肉ソーセージの生産量が一気に増大する事となります。

 安価な魚肉ソーセージは学校給食でも採用されて普及が進み、昭和37年にはJAS(日本農林規格)が制定され、その後も生産量は増え続け、昭和47年には18万トンを超えるという最大のピークを迎えます。

 安定的に推移すると見られていた生産量ですが、ピークを迎えた2年後の昭和49年、保存料として使用されていた食品添加物のフリルフラマイドに発ガン性、催奇性がある事が指摘され、生産量は12万トンへと急落する事になります。

 業界では魚肉ソーセージへの保存料の使用をすぐに中止し、保存料を使う代わりに高温高圧で殺菌するか、pHや水分活性を調整して過熱殺菌を行う、10度以下の温度管理をして流通させるという方法が検討され、多くのメーカーで高温高圧殺菌が採用されています。

 昭和51年にはアメリカとソ連が排他的経済水域の設定を宣言したために、主原料となっていたスケソウダラの価格が高騰するといった問題に直面し、流通の発達や一般家庭への冷蔵庫の普及によって食肉加工品が広く食べられるようになって存在価値が減少した事も生産量の減少に繋がってしまいます。

 メーカー側の努力も続けられ、アニメなどのキャラクターとのコラボや原料が魚由来である事、高タンパク低脂肪な食品である事を活かしたヘルシー志向の取り込みなども行われ、カルシウムやDHA(ドコサヘキサエン酸)、ビタミン類、コラーゲンなどの成分の強化も行われ、魚肉ソーセージは見直されつつあるともいわれます。

 BSEや鳥インフルエンザ、口蹄疫などの食肉をめぐる問題の発生によって急激に需要が高まり、メーカー側でも当惑するといった事も起こってはいますが、生産量は5万~8万トンの間で推移するに留まっていて、一時に栄光を取り戻すには至っていません。使い勝手が圧倒的に良くなっている事にメーカーの頑張りを感じながら、これからも応援してあげなければと日本ならではの食文化を眺めています。


第2688回 新たな認証



 かなりの面倒臭がりなので実際に書くという事はほとんどないのですが、小説のストーリーや細かな設定を考えるのは好きな事の一つとなっています。以前、考えていたものにDNAの塩基配列のパターンが限界に近付き、新たな子供が生まれなくなった遠い未来を舞台にしたものがありました。

 DNAの塩基配列のパターンはほぼ無限ともいえる組み合わせが可能なのですが、厳密には無限ではなく、長い人類の歴史において無限に近い人が存在してしまったために、新たなパターンを用意できなくなり、人類は緩やかな絶滅へと向かうという無力感に包まれた世界という設定なのですが、DNAが重複しないようにされている理由を、同じDNAを持つ人が存在すると脳共鳴が起こり、精神崩壊に繋がる可能性があるためとしていました。

 実際に脳共鳴という事が起こるのかは、全く同じ遺伝子を持つクローンの生成が行われていないので確認しようがありませんが、関連がありそうな興味深い新たな技術が開発されつつありました。

 WHO(世界保健機構)、FBI(連邦捜査局)などのような頭文字を組み合わせた略語をいわれた際、その言葉が意味するものを考える脳波に個人差があり、パターンを解析すると個人を特定できるといいます。45人の被験者に75個の略語を読ませ、その際に現れる脳波を測定したところ、94%の精度で個人を特定する事に成功し、脳波のパターンが指紋や声紋、虹彩や網膜のように個人の独自のものである事が判ってきています。

 この脳波パターンによる個人特定の技術を応用すると、これまで使われてきた指紋や網膜などの生体認証に代わる新たな個人認証技術が確立される事になります。

 何より脳波認証の優れている点は、指紋や声紋、虹彩や網膜などのパターンが解析されてしまい、悪意のある人の手に渡ってしまった場合、それらを変える事ができないためにその後、パスワードとして使用する事ができなくなりますが、脳波のパターンは略語ごとに異なるため、解析されたら略語を変更する事でパスワードとなるものを変更する事ができます。

 脆弱性を排除するためにパスワードが複雑になりすぎたり、頻繁な変更を行ったりしているうちに判らなくなるという事が起こりえる昨今、この技術が普及すれば楽にセキュリティが確保できると思えるのですが、手軽に脳波を測定するというのも変な感じがしてしまいます。


第2687回 ブルボンの世界



 バーボン・ウィスキーというと如何にもアメリカの酒という感じがします。ウィスキー自体はイギリスの酒と思えるのですが、略してバーボンといわれると西部開拓時代のショットグラスで供される姿がすぐに浮かんできます。そんなバーボンがフランスと縁が深いといわれると、ワインやコニャックとは関連が無さそうなだけに、気になって調べてみた事があります。

 バーボンはケンタッキー州のバーボン郡で作られていた地酒が広く普及したもので、バーボン郡の名前を採ってバーボン・ウィスキーと呼ばれるようになっています。バーボン郡の名前の由来はフランス語読みの「ブルボン」が元になっていて、ブルボンというとフランスの王朝名を指しています。

 アメリカがイギリスからの独立戦争を戦った際、フランスはアメリカを支援するためにイギリスに対し宣戦布告し、アメリカの独立を援助しました。後に合衆国大統領となるトーマス・ジェファーソンはそんなフランスに感謝し、ケンタッキー州の郡の一つにブルボン王朝の名前を付け、それがアメリカ訛りの「バーボン」となっています。

 バーボンはトウモロコシから作られる酒として知られていますが、厳密にはトウモロコシの使用は80%以下(51%以上、80%未満)で、80%以上トウモロコシを使用すると「コーン・ウィスキー」となってしまいます。

 トウモロコシにライ麦、小麦、大麦などの原料を加え、麦芽を配合します。麦芽にはデンプンを糖に変える酵素が豊富に含まれているので、トウモロコシや麦の豊富なデンプンは糖化され、酵母を加えるとアルコール発酵が起こります。

 アルコール度数が80%以下になるように連続式蒸留機で蒸留された原酒は、アルコール度数が62.5%程度になるように水を加えて調整され、バーボンの特徴の一つとなっている内側を焼いて焦がしたホワイトオーク製の樽に詰めて熟成されます。

 樽を焦がす事によって独特な風味が加わるのですが、樽を焦がすようになった経緯については不明なままとなっています。考案者とされるエライジャ・クレイグ牧師が樽を置いていた鶏小屋が火事になり、偶然に焦げてしまった樽を使ったとする説や、樽は別な用途に使われていたために最初から焦げていたとする説、魚を詰めていた樽しかなく、仕方なく内側を焦がして生臭さを消したとする説などがいわれていて、どれも確たるものとはなっていません。

 2年以上熟成させたストレートバーボンや樽同士のブレンドをしていないシングルバレルバーボン、複数の樽をブレンドしたスモールバッチバーボンなど、奥深い世界がありそうなのですが、酒が弱い事を自覚している身としてはあまり深くは掘り下げられない世界となっています。


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にんにく卵黄本舗の健康コラムです。
食と健康をキーワードに最新の医療情報から科学技術、食文化や献立まで毎日更新で幅広くお届けします。是非ご覧ください。

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