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第2757回 お馴染みの緑色



 スーパーフードの人気が世界的に高まる中、ヘルシーな事で知られた日本の食の中にも優れたスーパーフードが存在したとして、最近、話題になっている食材があります。日本へも逆輸入という形で人気が沸騰するのではともいわれますが、私的には懐疑的な目で見てしまいます。

 その食品とは日本人には非常に馴染み深い「枝豆」で、いわれてみるとタンパク質をはじめとする栄養価が高く、健康成分を多く含んでいてスーパーフードとなりえると納得できるのですが、あまりに身近過ぎる事がかえってブームとならないように思えます。

 昨今のスーパーフードの説明文を見ていると、アマゾンの奥地で現地の人からは昔から貴重な食材として扱われてきた。アンデスの高地の過酷な環境で育ち、収穫した後の畑では数年に渡って植物が生えないほど大地の栄養素を吸収してしまうといった稀少性を謳うものが目立ち、そうした付加価値的な部分で枝豆は非常に弱いように感じられます。

 枝豆自体は栄養価が高く、食物繊維をはじめとする現代人に不足しがちな栄養素が豊富で、しかも美味しく、安価で入手しやすい、スーパーフードと呼ぶに相応しい食品だと思え、また、日本の固有の食文化という事で世界に誇れるものだと思っています。

 大豆を若採りして塩茹でにする枝豆の歴史は非常に古いとされ、奈良時代、もしくは平安時代にはすでに現在の形で食べられていたと考えられています。鎌倉時代の僧侶、日蓮が信徒に宛てて記した「松野殿女房御返事」の中に「枝大豆」として書かれていて、枝豆がすでに一般的な食べ物であった事を覗う事ができます。

 江戸時代には夏の風物詩として路上で枝豆を売る「枝豆売り」の姿が見られるようになり、枝豆はその名の通り枝付きのまま茹でて売られていて、「枝付き豆」「枝成り豆」と呼ばれてファストフード的存在であった事が伝えられています。

 海外では日本食ブームの影響から2000年頃には調理法も伝えられて欧米でも食べられるようになり、「エダマメ」の呼び名も定着してきています。

 日本風の居酒屋のメニューとして定着してきただけでなく、アメリカンフットボールや野球を観戦する際の食べ物として、スタジアムの売店などでも購入できるようになってきているともいわれ、海外のインターネットでは「スシ」「ラーメン」の間に割って入る形で「エダマメ」が日本食の検索キーワードランキングの2位に入っているほどの人気ともいわれます。

 食育の場でも活躍していて、野菜嫌いの子供が莢の形状やその中から豆が飛び出してくるという事に興味を持ちやすく、親しみやすい味や食感、口に入れやすい大きさなど、食材に親しみながら野菜嫌いを克服できるとして重宝しているそうで、やがて世界の食べ物となっていく事が容易に想像できます。

 スーパーフードとしての盛り上がりには疑問を持ってしまいますが、確実に世界的な食べ物となる枝豆の明るい未来は確信しています。


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第2756回 スーパーフード



 最近、「スーパーフード」という言葉をよく耳にするようになってきました。多くの場合、完全栄養食で何らかの効能に優れた物のようですが、やはり人気の高い分野との連動が図られるためか、ダイエットに有効な食という扱いが多いようにも感じられてしまいます。

 スーパーフードという言葉自体はそれほど新しいものではなく、1980年代にはアメリカやカナダで食事療法を研究する医師や専門家の間で使われはじめ、当初は何らかの有効成分を顕著に多く含む食品にをそう呼んでいました。

 その後、2004年にアメリカの医師、スティーブン・ブラッドが著書、「スーパーフード処方箋 あなたの人生を変える14の食品」を発表すると一気に話題となり、スーパーフードという言葉が一般化するのですが、本の中ではスーパーフードを「健康に良い栄養成分を豊富に含みながら、多くは低カロリーである食品」と定義していて、どちらかというと健康食品に近い色合いを持っているように感じられます。

 著書の中ではリンゴの皮やニンジンの葉といった食材を丸ごと食べるマクロビオテック的な考え方や、食品に含まれる複数の栄養素の組み合わせが薬効を発揮するといった薬膳に通じる発想も採り入れられていて、食品を活用するライフスタイルの提案のような意味合いもあるように思えます。

 2009年にになるとデビッド・ウォルコフによってスーパーフードのバイブル的存在となる「スーパーフード」が発行され、一般的な野菜とは異なるカカオやスピルリナ、クコの実といった薬効に優れた食材が採り上げられるようになり、スーパーフードは「特定の有効成分が飛び抜けて多く含有するもの、ごく少量でも栄養成分を効率的に摂取できるもの」と定義されています。

 今日でもスーパーフードに関する明確な定義は定められていないとされますが、概念的には「栄養のバランスに優れ、一般的な食品よりも栄養価が高い、もしくは一部の栄養・健康成分が突出して多く含まれている物で、メディカルハーブのような効能を持つ物」という見方が適切なように思えます。

 無意識のうちの食の偏りによる栄養不足が思わぬ不調を生んでいるといわれる事がある昨今、少量でも栄養の摂取に有効なスーパーフードの必要性が高まったとも考えられるのですが、一過性のブームで終わらない事を願ってしまいます。


 

第2755回 裸で出歯の特権



 ハダカデバネズミの名前を知った際は、あまりなネーミングと思いながらそれ以外はなさそうな変に納得させられるものを感じてしまいました。その名の通りげっ歯類特有の二本の前歯が大きく飛び出していて、体には感覚器官となる僅かな毛以外は生えておらず、お世辞にも可愛いとはいえない姿をしています。

 幸いにも地下に巣穴を掘って、ほとんどの生涯を巣穴の中で暮らすので、ほとんど人の目に触れる事はないのですが、もし、地上で生活していて、犬くらいの大きさがあったら有らぬ疑いを掛けられて駆除されていたような気がしてしまいます。

 そんな醜いハダカデバネズミですが、非常に興味深い生態をしていて、ゲノムの解析をはじめ、多くの研究の対象となっています。温度が安定した地下で暮らすためか、体温を調節する機能を持たず、ネズミのくせに変温動物である事や、蟻や蜂のような女王を中心とした社会構造を作って生活する事、他のネズミの寿命が2、3年程度となっている中、ハダカデバネズミの寿命は30年近くと桁外れに長い事など、多くの点で規格外の存在のように思えます。

 中でもガンに対する耐性は強力とされ、いまだにガンを発症している個体は見付かっていないとされます。一定のサイズに達した細胞群に新たな細胞を増殖させない「p16」と呼ばれる遺伝子がガンの増殖を防いでいるためと考えられ、p16よりも遅れて発動し、細胞の再生を阻害するp27遺伝子も二重の防壁としてハダカデバネズミをガンから守っているとされます。

 ガンを患う事がなく長寿というだけでも羨ましい感じがするのですが、最近の研究でハダカデバネズミは高齢になっても運動能力の衰えや血管機能の低下といった老化の兆候が見られず、老いる事なく天寿を全うする事が判ってきています。

 老化の原因の一つに細胞分裂の際、遺伝子の端の部分のテロメアが少しずつ切れて、やがて一定以下の長さになると細胞分裂が行われなくなり、新たな細胞が供給されなくなるというものがあります。ハダカデバネズミはこのテロメアを交換する能力を持ち合わせている事が、いつまでも老化しない理由と考えられています。

 人でもテロメアを再生する酵素、テロメラーゼが発見された際は不老不死が実現するのではと話題になった事があるのですが、テロメラーゼは損傷した本来であれば機能するべきではない遺伝子にまでテロメアを持たせて、細胞分裂に関わる能力を持たせてしまう事から、ガンを誘発するとして不老不死は夢のままとなっています。

 ハダカデバネズミはそのガンに対して強力な耐性を持つ事から、テロメアを再生しながら老化を防いでいると考える事ができ、自然の中の例外的存在と思えてきます。不老長寿という事はありがたいものですが、悲しいほどに可愛くない姿を見ると、天は二物を与えずという言葉を思い出してしまいます。


 

第2754回 赤の吉凶



 正月を中心に冬の間は餅を食べる事はあるのですが、年間を通してもち米を扱ういう事はほとんどなく、おそらく他の家庭でももち米を常備していて、ハレの日にもち米と小豆で赤飯を炊くという事は稀なのではないかと想像しています。

 日本の家庭ではめでたい事があると赤飯を炊くという事が行われ、ハレの日の食として赤飯は定着しています。そんな意識があるためか、葬儀の日に赤飯を炊くというのは故人が亡くなった事を祝っているかのようで不謹慎な事のように思えますが、かつて赤飯は葬儀の日に炊かれていたという記録が残されています。

 江戸時代の文献、「萩原随筆」には「凶事に赤飯を用いる事は民間のならわし」と記され、家族が亡くなるなどの不幸があった際に赤飯を炊いて振舞う風習があった事を覗う事ができます。

 また、八王子城の周辺地域では、八王子城が落城した際に多くの落人となった藩士が御主殿の滝付近で自刃したという言伝えから、赤飯を炊いて備える「あかまんま供養」という風習も根付いていて、赤飯が供養のためのものであった事が判ります。

 赤という色は、紅白の横断幕からも連想できるようにおめでたい色という事ができる反面、古くから邪気を祓う効果がある色とされてきました。凶事の際に赤飯を炊くのは、凶事に遭うという不幸を祓ったり、凶事の中で弱った状態の身を邪気から守るという意味があったように考えられ、そうなるとハレの日に赤飯を炊く事が不自然にも思えてきます。

 一説には江戸時代に猛威を奮った疱瘡を引き起こしているのが疱瘡神と考えられ、疱瘡神が赤い色を好む事から赤い着物を着たり、部屋を赤く塗るなどして疱瘡神を喜ばせようとして赤飯も食べられるようになり、疱瘡から回復した際も命を奪われなかった事に感謝して赤飯を食べた事が、快癒した祝い事の部分が残されたとされますが、別な由来も考えられるように思えます。

 日本に稲作が入ってきた際、インディカ米とジャポニカ米の中間的な種類の赤米が伝えられ、今日の赤飯のような色合いだったとされます。神道は稲作信仰を基盤として持つ事から、非常に価値の高いお供え物として赤米を蒸して神に供える風習が生まれ、赤米は稲作の中心的存在となっていました。

 その後、江戸時代に入る頃から稲作技術の発展や米の品種改良によって育てやすく、収量も多くて味も良い白米が作られるようになると、食味が劣る赤米は年貢として領主が受け取らなくなってしまい、栽培する意味がなくなっていきました。

 田の神に捧げるためにのみ年貢の対象とならず、食味も劣る赤米を作る事はされなくなり、捧げ物として小豆と一緒にもち米を炊く事で蒸した赤米と同じような色合いの赤飯を使うようになったと考える事ができます。赤飯の上にごまをふるのは、白いもち米を小豆で着色した事をごまかすためともいわれ、凶事の際に小豆の赤い色で邪気を祓おうとした赤飯と神への捧げ物であった赤米がこの時点で結び付き、神へ捧げるハレの日の食べ物としての色彩が強くなったように思えます。

 今でも一部の地域では長寿を全うして大往生した人の葬儀では、参列者に赤飯がふるまわれる習慣が残され、由来は不明とされていますが、長寿の後の旅立ちを祝う、長寿が閉ざされた凶事を祓う、両方が考えられ、赤飯が持つ世界観の奥深さを感じさせてくれます。


 

第2753回 効能の素



 自分で料理を作るようになった頃、ドレッシングを作ろうと思い、せっかくなら体に良い物をとエクストラバージンのオリーブ油を購入しました。参考にしたレシピに書いてある通りの分量でドレッシングを調合し、味をみてみるとあまりのオリーブ油のクセの強さに驚き、作った物が食べられないという事がありました。今では特有の風味にも馴染んでいて、味見のために直接オリーブ油を試飲するという事も平気なのですが、当時は青臭い香りが受け入れ難いものと思えた事が懐かしく思い出されます。

 本場、イタリアでの使われ方を見ていると、料理を作りはじめる際にフライパンや鍋にひいて熱するというだけでなく、料理ができあがってから仕上げとしてふり掛けられている場面を多く見掛ける事があり、我々日本人がオリーブ油をサラダ油などの油脂類の一種と捉えている事に対し、イタリアではしょうゆやごま油といった風味付けや味付けを行う物と位置付けられている事が判ります。

 オリーブ油は体に良い油としての認識が定着していて、動脈硬化をはじめとする生活習慣病を改善する働きがあるとされます。オリーブ油にはオレイン酸が多く含まれていて、体内のオレイン酸が多くなる事で肝臓はHDL(高比重リポタンパク)コレステロールを多く作るようになり、LDL(低比重リポタンパク)コレステロールの生成量が少なくなる事から、HDLコレステロールの余分なコレステロールを回収して肝臓へ戻す働きがLDLコレステロールの体の隅々までコレステロールを届ける働きに勝るようになり、結果的に動脈硬化を防ぐと考えられてきました。

 エクストラバージンのオリーブ油を口に含むと、油の香りやオリーブの青臭さ以外に「辛い」「苦い」という印象を持つ事があります。そうした辛味や苦味はオリーブ油に含まれるポリフェノールによるもので、オリーブの一番搾りともいえるエクストラバージン油で強く感じる事ができます。最近の研究でオリーブ油による動脈硬化の改善効果は、オリーブ油に含まれているオレイン酸よりもポリフェノールの方が強い事が示唆されてきていて、オリーブ油の選び方も注意が必要と思えてきます。

 先日行われた研究では20歳から58歳までの男性を対象に、ポリフェノールの含有量が違う3種のオリーブ油を用意し、3つのグループで毎日25ml、3週間に渡って飲用してもらい血液中の脂質の変動を測定してポリフェノールが及ぼす影響について検討を行っていました。

 3週間の飲用の結果としてポリフェノールの濃度が高いオリーブ油を飲用したグループほど善玉とされるHDLコレステロールの濃度が高くなり、動脈硬化の予防や改善に効果的な状況が作り出されていました。

 それに対しLDLコレステロールは一部だけが減少する事が判り、全てのLDLコレステロール量が低下するのではない事が観察され、低下していた一部のLDLコレステロールは、最も悪玉とされる酸化LDLコレステロールである事が判っています。

 酸化LDLコレステロールは体内では異物としてマクロファージによって攻撃の対象となり、血管壁に溜まって動脈硬化を引き起こすため、オリーブ油のポリフェノールは直接動脈硬化のリスクを低下していた事になります。LDLコレステロールは全身にコレステロールを運ぶ役割があるため、全てのLDLコレステロールを減少させてしまう事は血管を材料不足の脆い状態にしてしまう事から、酸化LDLコレステロールのみを減らすという事は理想的なリスク削減と思えます。

 あまり馴染みのない人が25mlとはいえ直接オリーブ油を飲用する事は、それなりに抵抗のある事と思えます。お薦めは納豆に加える事で、良くかき混ぜて粘りを出した納豆に回しかけ、良く混ぜ合わせると意外なほど多めでも抵抗なくいただく事ができます。血管を守るオリーブ油のポリフェノールと血栓を溶かして血液をサラサラにする納豆、理想的な血管ケアかもしれません。


 

第2752回 ギリシャのヨーグルト



 市販のヨーグルトをコーヒーをドリップするようにペーパーフィルターの中に入れて冷蔵庫に一晩放置します。するとヨーグルトの水分がサーバーに落ちて、ドリッパーには水分量の低いヨーグルトが残されています。それをカッテ―ジチーズ代わりに食べていたのですが、私が簡易カッテ―ジチーズとして食べていた物は最近、「ギリシャヨーグルト」と呼ばれて人気になっていると聞かされ、驚いてしまうという事がありました。

 ギリシャヨーグルトはその名の通りギリシャで作られ、食べられているヨーグルトで、通常のヨーグルトを布などで包んで水分を除く形で作られています。水分が除かれている事で旨味が凝縮されているので、初めて食べた人はその濃厚な美味しさに驚くとされますが、その他の成分も凝縮されている事から通常のヨーグルトよりもタンパク質やカルシウムなどの量が多くなっているとされます。

 口あたりの滑らかさではクリームチーズと比べて若干劣ると感じながら、風味は近いものがあると思ってサラダやサンドイッチなどで食べていたのですが、サーバーの中に残されたヨーグルトから分離された水分は、もったいないと思いながら捨てていました。

 ヨーグルトから分離される少し黄色みを帯びた水分は「ホエイ(乳清)」と呼ばれる成分で、ヨーグルトを放置していると上澄みなどでも見る事ができます。

 栄養価の高い牛乳を発酵させて作られるヨーグルトから分離されるという事もあり、ホエイには多くの栄養素が含まれています。中でもラクトフェリンやラクトグロブリン、ラクトアルブミンといったタンパク質には免疫力を高める働きがあり、ストレスを軽減させたり、ダイエットに役立つともいわれます。

 ホエイに含まれるアミノ酸のグルタチオンには強力な抗酸化作用があり、高血圧や動脈硬化を防いだり、脳を若い状態に保ってアルツハイマー病を防ぐといった働きもあるとされています。

 ホエイは消化吸収に優れたタンパク源でもある事から、筋肉の増強を必要とするアスリートにも最適といわれ、捨ててしまうのは非常にもったいない事と思えてきます。

 どのように使用すればと考えているうちに、このまま使わないのではと思えて捨てていたのですが、シチューを作る際に使うと美味しくできるという情報があったので、近いうちに試してみなければと思っています。

 私の中ではギリシャヨーグルトではなく簡易カッテ―ジチーズなのですが、これからも上手に接していかなければと考えています。


第2751回 草むらの恐怖



 今では猫好きとして周りに人には知られているのですが、子供の頃は犬を飼っていて、その犬が近所の竹やぶで遊んで帰ってきた際、ダニを連れてきたといって母親が犬の首筋から小豆のような物を摘み上げ、踏み潰してしまうという事がありました。

 踏み潰された場所には犬の血が広がっていて、首筋に取り付いたダニが血を吸っていた事が判るのですが、身近な吸血生物である蚊とは比べものにならない量に驚き、近所とはいえ竹やぶには思わぬ危険が潜んでいると思えた事が今も強い印象として残されています。

 ダニというと布団や絨毯の中にいて、顕微鏡を使わないと姿を見る事ができないのに、死骸や糞がアレルギーの原因ともなる厄介な存在と思えてくるのですが、大きく分けると体長1mm以下で屋内に棲息していて、ほこりやフケなどの有機物をエサにして生涯を屋内で過ごす「屋内ダニ」と屋外で動物の血を吸って成長する「マダニ」に分ける事ができます。

 栄養価の高い動物の血を日常のエサとして生活しているように思われがちなマダニですが、卵から孵化すると幼ダニ、若ダニ、成ダニと成長する中、各ステージから次のステージへと成長する際に一回ずつ、もしくは成ダニのメスが産卵する際のみという限られた機会にしか血を吸う事はありません。

 マダニは前脚の先端に「ハーラー氏器官」と呼ばれる特殊な器官を持ち、その器官を使って二酸化炭素や熱、振動などを検知して動物の接近を察知する事ができます。草の先端に登り、前脚を広げて動物の接近を待ち、動物が近くを通過すると動物の体に飛び移って寄生し、時間を掛けて体がパンパンに膨れ上がるまで血を吸ってから地面へ落下します。

 動物に取り付いたマダニは毛の少ない薄い皮膚を探し、唾液に含まれる酵素で皮膚を溶かして柔らかくし、鋏角を使って切開して口下片と呼ばれる突起を差し込んで血を吸います。その際、唾液と共に特殊な成分を分泌し、接着剤としてマダニと動物の皮膚を固定しています。

 血を吸う際に体内に入ってしまうマダニの唾液によってアレルギー性皮膚炎や麻痺などの神経症状が起こる事もあるのですが、それ以上に怖れられているのがマダニが媒介するウィルスなどによる感染症となっています。

 ペットがマダニによって感染する病気としてはパベシア病やライム病が知られていますが、最近では人が感染するSFTS(重症熱性血小板減少症候群)が知られるようになり、重篤な場合、死に至るとして怖れられています。

 SFTSの怖ろしいところは、マダニに血を吸われたペットがウィルスに感染しても何も症状は生じず、人にのみ症状が発生する事から、不用意にペットに付いていたマダニを手で潰してしまうと、その際に飛び散ったマダニの体液によって感染してしまう事があります。

 マダニの活動は草丈が10cm以上に伸びる晩秋まで活発とされるので、行楽シーズンを迎えてはいますが充分な注意が必要と思えてきます。


第2750回 飲不飲(2)



 牛という生き物の進化の過程を考えると、常に肉食獣に襲われる危険が付きまとっていて、群れを成してうまく逃れる事が何より重要である事が判ります。そのため母牛は妊娠してもできるだけ脚力に影響しないように胎児は小さい方が良く、無防備となる出産を短い時間で済ませるためにも仔牛は小さい方が良い事になります。

 生まれた仔牛は、可能な限り早く大きくなって小型の肉食獣の脅威を遠ざける方が良いため、小さく産んで大きく育てる事が理想となり、仔牛を育てる牛乳には豊富な栄養素と骨を育てるカルシウムが多く含まれています。

 牛乳に豊富に含まれているカルシウムは吸収されやすい状態にあるとされ、その牛乳由来のカルシウムが思わぬ効果に繋がる事が判ってきています。

 幾つかの研究によってカルシウムを多く摂る事で脳卒中の発症リスクが下がる事が示されていて、カルシウムの摂取量ごとに5つのグループに分けると、最も少ないグループの発症率を100とした場合、最も多いグループは70と30%もリスクが下がる事が確認されています。

 カルシウムの内訳を乳製品から摂ったものとそれ以外のものに分けてデータを再分析したところ、乳製品以外から摂られたカルシウムでは5つのグループの間で統計的に有意と認められる差がない事が確認され、牛乳由来のカルシウムのみが脳卒中のリスクを下げていた事が判りました。

 カルシウムというと高血圧の治療に「カルシウム拮抗剤」が処方される事から、マイナスイメージがあるのですが、カルシウム拮抗剤は血管の筋肉を動かすカルシウムチャンネルに作用して血管が広がりやすくして血圧を下げる薬剤で、カルシウムは高血圧患者に必要とされ、カルシウムの不足は高血圧を招くといわれます。

 カルシウムの働きとしては血液中の止血因子である血小板が集まる力を弱め、食べ物に含まれるコレステロールの吸収を阻害する事が判っているため、吸収されやすい牛乳のカルシウムがそうした働きを発揮して、血管障害を防いでいた事が考えられます。

 血液への作用の高さを考えると、脳卒中と共に考えられる事のある心筋梗塞にも効果があるようにも思えてくるのですが、心筋梗塞に関しては明確な関係は認められなかったとされ、脳卒中に限定的な事となっています。

 脳卒中に限定的となった理由については、牛乳にはカルシウムと同時に飽和脂肪酸が多く含まれていて、それが血管障害のリスクを上げてしまい、カルシウムの効果を相殺してしまっていると考えられています。

 脳卒中に限るとなると効能的には少ない感じがしてしまいますが、健康への影響の大きさを考えると牛乳を飲む価値があるのかもしれないと、少しだけ飲む方へと傾きつつある事を感じてしまいます。


第2749回 飲不飲(1)



 摂るべきか、摂らないべきか。相変わらず答えが見付からないままいろんな研究結果や論説に出会い続け、結論に達しないものの一つに牛乳があります。牛乳は完全栄養食という肯定派から、現代に蔓延するさまざまな疾病の隠れた原因となるという否定派までいて、どのように捉えるべきか迷ってしまいます。

 否定派が主張する有害説の根拠の一つとして、牛乳をはじめとする乳製品の消費量が非常に多い北欧において骨折が非常に多いというものがあり、大腿部の付け根という骨の強度が直接関与する部分での骨折が多いと聞かされると、牛乳の摂取によって急激に上昇した体内のカルシウム濃度を正常化させるために過度にカルシウムを排出してしまう、牛乳に多いリンがカルシウムの排出を促してカルシウム不足を起こさせてしまうという話に説得力が生じる理由を感じてしまいます。

 骨の健康を保つには食生活のバランスが非常に重要である事が示されていて、タンパク質を多く摂る事で体内の硫黄含有アミノ酸であるメチオニンやシステインの量が増え、体内の酸度が高まってくるとそれを中和するために骨に含まれるカルシウムが使われる事から、乳製品の中でもチーズなどのタンパク質が多い食品を多く摂る事や、体内の酸度を調節するカリウムが不足する事は骨の健康にはマイナスに作用する事が判ります。

 北欧では日照の不足から骨の健康維持に欠かせないビタミンDの生合成が円滑に行われない事や、野菜の育成が良好ではなく、慢性的な野菜由来のカリウム不足になっている事が骨の健康を損ない、骨折に繋がっていると考えられ、牛乳の消費量が多い事は無関係と思えてきます。

 人は成長すると乳糖を分解する酵素、ラクターゼが減少して消化吸収できなくなり、多量に摂取するとお腹が緩くなる事があるため、体が必要としていない、体に有害であるという意見もありますが、あくまでも分解できないのは乳糖であって牛乳ではなく、牛乳に含まれるその他の栄養素は消化吸収されています。

 酵素の不在、もしくは不足によって分解されない乳糖も小腸で分解、吸収されないだけで、大腸に届くと腸内細菌のエサとなって体に役立っています。腸内細菌が体に及ぼす影響の大きさが解明されてきている昨今、牛乳の評価は変わってくるのかとも思えています。


 

第2748回 回避方法



 おそらく分解酵素が少ないなどの理由があると思うのですが、非常に酒が弱く、健康的に推奨されている範囲内でも二日酔いしてしまう事があります。そのため、外で飲むという事は皆無となっていて、それが付き合いの悪い人という評判に拍車を掛けているようにも思えます。

 元来、日本人はアルコールを分解する酵素が少ない人が多く、欧米人のように飲酒を行うと二日酔いしやすい。二日酔いをするという事も、生まれながらに体に備わっている事なので、二日酔いを楽しむべきだといった意見に出会った事もあるのですが、二日酔いは不快な状態である事は否定できないと思います。

 先日、そんな二日酔いの不快な状態を軽減するための飲酒後の行動に関する研究が行われ、どうすれば二日酔いを回避できるかについての結論が得られていました。

 オランダのユトレヒト大学で行われた研究では、二日酔いの経験がある826人の学生を対象に調査が行われ、二日酔いの回避に有効かもしれないと考えられている飲酒後の食事や水分補給の効果について検討が行われています。

 二日酔いの程度を最も軽い「0点」から最も重度の「111点」に数値化し、アルコールの摂取量と飲酒後の食事、水分補給の状況、翌日の二日酔いの程度について回答してもらい解析したところ、飲酒後の食事の有無は翌日の二日酔いの程度に影響を与えない事が判っています。

 翌朝の食事の状況についてもしっかりとした内容の食事をした、脂っこい食事をしたなどの食事内容も二日酔いの程度には影響せず、水分分摂取も飲酒中、飲酒後、就寝前など、いずれも大きく結果に影響を与えない事も確認されていました。

 今回の研究結果が示している事は、二日酔いを回避するためには飲酒後の食事や水分補給などではなく、単純に飲み過ぎない事しか方法がない事を示していて、適量を知り、それを超えない事の大切さを伺わせてくれます。


 
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にんにく卵黄本舗の健康コラムです。
食と健康をキーワードに最新の医療情報から科学技術、食文化や献立まで毎日更新で幅広くお届けします。是非ご覧ください。

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