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第3059回 朝の赤、夜の白



 もともと大好きという事もあったのですが、健康管理の面からも具たくさんの味噌汁を毎日のように食べるようにしています。かつては塩分の多さから高血圧の原因となるといわれていた事もあったのですが、今ではむしろ高血圧を予防するとまでいわれるようになり、厚生労働省の研究では、一日に3杯以上の味噌汁をいただく事で、乳ガンの発生リスクが40%も低下するともいわれています。

 味噌は発酵調味料である事から、発酵によって原材料にはない成分が含まれています。味噌の色合いや風味に深く関係しているメラノイジンはそうした成分の代表格の一つという事ができ、味噌が持つ多くの効能に関係しています。

 メラノイジンは発酵、熟成中のメイラード反応によって作り出され、味噌に限らずしょうゆやビールなどにも色合いと風味をもたらす物質として知られていました。近年、強力な抗酸化作用を持つ事が知られるようになり、腸内環境を整えるなど、健康効果も期待できる成分としても研究が進められるようになってきています。

 メラノイジンの優れた抗酸化作用は、脂質の酸化を防いで動脈硬化を予防したり、血中のコレステロール値を下げて血糖値を正常に保つといった効果に繋がり、脂質異常症や糖尿病の発症を防ぐともいわれています。

 そんなメラノイジンの働きの一つとして代謝を活性化させるというものがあり、その働き故にメラノイジンを含む味噌汁は朝食に最適とされます。忙しい朝に味噌汁を作るのは大変という感じがしますが、前の日の晩に水を入れた鍋に頭とお腹の部分を除いたイリコを浸しておき、朝、適当な大きさに切っておいた根菜類を加えて沸騰させ、根菜類が柔らかくなったら火を止めて味噌を加えたら出来上がります。

 また、味噌にはGABA(γアミノ酪酸)が多く含まれており、神経伝達物質としてストレスに対抗する力を高めたり、興奮を抑える働きがあるとされる事から穏やかな眠りを誘う効果があるとされ、夜向きの食べ物のようにも感じられます。

 朝と晩、どちらが味噌汁には最適かと考えてしまうのですが、メラノイジンが多い赤味噌を朝に、GABAが多い白味噌を夜にと味噌を上手に使い分けながら毎食というのが正しいように思えます。


 
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第3058回 老化の核心



 この数年、著しく発展を遂げている分野の一つにアンチエイジングがあると思います。老化を遅らせて健康寿命を延長する。誰もが願う事ですが、なかなか実現するのは難しい事でもあります。

 老化は死に至る病と捉える事ができます。地球上のほびすべての生き物が感染していて、生まれたその時から病状の進行が進んでいきます。生き物は進化の過程で致命的な疾患への対抗措置を手に入れてきているのですが、老化という病に対して無力な背景には成長とセットになっていたためともいわれます。

 最近の研究で老化を進める原因物質の一つが特定されつつあるとされ、「オステオポンチン」と呼ばれる物質が老化に深く関わっていると考えられています。まだ研究の途上で仮説段階とされますが、オステオポンチンを人為的に減らす事ができれば若返りも可能とされます。

 2016年4月に発表された疫学研究の論文によると、100歳を超えて大きな病気も抱えていない健康長寿グループと一般の70代のグループとの間で血液中のオステオポンチンの量を比較したところ、健康長寿グループではオステオポンチンの量が圧倒的に少ない事が判っています。

 健康的に年を取っている人、体の老化が進みにくい人は、体内のオステオポンチンの量が少ない事が判り、オステオポンチンこそが生物の老化を進めている原因物質という事ができ、老化が進んでいる人とそうでない人では、血液中のオステオポンチンの量は3倍近くも血中量に差がある事も観察されています。

 オステオポンチンは死に至る病を進行させてしまう悪者かというとそうでない一面を持ち、オステオポンチンの「オス」は「骨」を示し、「ポンス」は「橋」の意味を持っていて、その名の通りカルシウムとコラーゲンを結合して骨を形成する重要な役割を持っています。

 80年代にはすでに骨を作る物質として発見されており、健康の維持には欠かせない物質とされながら、腎臓の周りで増え過ぎると尿路結石になりやすくなるという傾向も知られていました。

 オステオポンチンの重要な機能の一つとして、免疫力を活性化するというものがあり、体のさまざまな臓器、部位で必要に応じて作られています。ケガをした際は傷口付近で作られ、免疫力を活性化させて傷を治癒する事に貢献しています。

 そんなオステオポンチンが老化を進めてしまうメカニズムのカギは、免疫に関わるTリンパ球にあるとされ、加齢に伴って異常化するTリンパ球の性質がオステオポンチンを悪玉に変えてしまいます。

 本来、Tリンパ球はオステオポンチンを作る事はないのですが、異常化すると大量のオステオポンチンを作り出すようになってしまいます。免疫力を高めて傷を治すオステオポンチンは、通常であれば傷が治るとその場からなくなり、炎症も鎮まるのですが、Tリンパ球によって大量に作り出されるオステオポンチンは免疫を活性化し続け、体の各所に小さな炎症を長期間にわたって作り出してしまいます。

 長期にわたる慢性炎症は体にジワジワとダメージを与え、血管で起こった慢性炎症は動脈硬化へと繋がっていきます。これまでの研究で慢性炎症は動脈硬化だけでなく、糖尿病やガンなどの発症に関わっている事も判っており、アルツハイマー病の発症にも影響を与えている事が明らかにされてきています。

 加齢と共に増加し、老化を進めてしまうオステオポンチンですが、最新の研究で内臓脂肪型の肥満によって増加する事が明らかにされています。内臓脂肪をコントロールする事でオステオポンチンの量を少なくし、アンチエイジングに繋げられる事が判り、アンチエイジングとダイエットが意外な接点を持つ事が確認された事になります。

 いずれオステオポンチンの量を有効にコントロールする手法が見付かるのかもしれませんが、それまでは健康的な生活を送る事が健康寿命を延ばすという基本に忠実である事が大切と思えてきます。


 

第3057回 パスタでダイエット



 ダイエットの主流が脂肪の摂取を抑えてカロリーを削減する事から糖質の制限に移り、糖質を摂らないようにと寿司屋でシャリのみが残されるという奇妙な現象にはいき過ぎたものを感じてしまいます。そんな中、糖質の代表の一つでもあるパスタの消費量と肥満が比例関係にない事が示されています。

 イタリアの医学研究機関の研究チームが発表した研究結果によると、イタリア国内の2万3000人の食習慣を分析したところ、パスタの消費量が多い地域では健康的な痩身型の人が多い事が判り、パスタがスリムな体型に関係している事が示唆され、パスタの摂取が肥満を防止している可能性も考えられています。

 論文の主筆者のジョルジュ・ポウニス氏によると「食欲に応じてパスタを食べる事は、健康的な体型に繋がり、細いウエスト、メリハリのあるボディ曲線に貢献しているのです」と語り、主流となっている糖質制限ダイエットにおいて悪者視されがちなパスタが、実はダイエットの味方である事をアピールしています。

 残念なのは、今回の研究はデータの分析のみで具体的にパスタに含まれるどのような成分が健康的なスリムな体型に結び付いたかが判っていない事で、パスタを多く摂取する地域は地中海の食文化の影響が色濃く、地中海式ダイエットが関係しているようにも思えます。

 地中海地域では地元で獲れる新鮮な魚介類や野菜、果物、鶏肉などをバランスよく多品目食べる習慣があり、その食文化はヨーロッパにおいて群を抜いて健康的とされています。そのメニューの一つであるパスタがダイエットに貢献するとなると、単純に糖質制限を行うよりバランスが大切という事が示されているようにも思えてきます。


 
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にんにく卵黄本舗の健康コラムです。
食と健康をキーワードに最新の医療情報から科学技術、食文化や献立まで毎日更新で幅広くお届けします。是非ご覧ください。

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