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第3063回 害か益か?



 薬の王様といわれると、何が該当するのかと効能面や利用率の高さなどを考えてしまうのですが、百薬の長といわれると、すぐに酒の事と判ります。発酵食品でもある酒は、適量を守っていれば多くの効能に与かれると昔からいわれてきました。

 その反面、酒は微量であっても身体にとっては毒物であり、適量といわれる量を守ってはいても、体にダメージを与えてしまうという主張はこれまでも根強くされていました。

 酒が体にダメージを与えるという理由の一つは、アルコールが分解される過程でできるアセトアルデヒドの存在で、二日酔いの際の頭痛の原因物質として知られていましたが、DNAやタンパク質に結合して付加体となり、さまざまな疾患の原因となっている事が示唆されています。

 特に幹細胞のDNAへの損傷は深刻とされ、幹細胞のDNAにアセトアルデヒドが作用して付加体となるとその損傷は不可逆的とされ、いろいろな細胞に変化するという幹細胞はその役割を果たせなくなるとされます。

 そうした研究結果だけを見ていると、酒を飲む事は体に非常に大きなダメージを与える事と思えてくるのですが、体もそうした脅威に対して無防備ではなく、アセトアルデヒドを無害化する酵素、アルデヒドデヒドロゲナーゼやDNAの修復システムも備わっています。

 修復機能を無視したままで脅威をいうのも一方的に思え、また、防御はどこまで有効なのだろうと気になりながら、酒は百薬の長なのか、それとも害毒なのかと考えてしまいます。


 
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第3062回 筋トレの効用

 

実家に同窓会の案内が届いたと母親から連絡があり、これまでも幾度か届いているはずなのですが、今回に限って熱心に出席するように促された事もあり、卒業後、初めて出席してみる事にしました。

 ずいぶんと久々にお会いした恩師は、思っていたよりも年を取っておられず、その事に一安心しながら、一度体を傷められたらしく、「人はケガをしてから筋力トレーニングの大切さを知るが、筋力トレーニングは体が自由に動くうちにやっておかなければいけない」という一言に妙に納得させられてしまいました。

 筋力トレーニングは筋肉に負荷をかけ、筋繊維を太く成長させる必要がある事から、普段から心掛けて全身の筋力を鍛えておくと、万が一のケガなどの際も慌てて筋力不足を補うという事がなく安心できると思えます。

 そうして筋力トレーニングの必要性を考えていたのですが、それ以上に筋力トレーニングを行う事のメリットが最近の研究で判ってきています。筋力トレーニングを行っている人とそうでない人では、全ての死因において死亡リスクが23%低く、特にガンに関しては31%もリスクが低下するといいます。

 オーストラリア、シドニー大学の研究プロジェクトがイングランド健康調査及びスコットランド健康調査の1994年から2008年までのデータを用い、30歳以上の成人、約8万人を対象に筋力トレーニングと全死因における死亡、ガンによる死亡の関連性を分析したところ、週二回以上、筋力トレーニングを行っている人に関して明らかな死亡リスクの低下が確認されています。

 筋力トレーニングと死亡リスクとの因果関係については、完全には解明されていないとされますが、同様の結果はアメリカのペンシルバニア州立大学の研究でも示されていて、65歳以上の高齢者で筋力トレーニングを行っている人は、そうでない人と比べて全死因による死亡リスクが31.6%も低いとされていて、筋力トレーニングを行う価値の高さを窺わせてくれます。

 筋力トレーニングというとジムで行うウェイトトレーニングが思い浮かんでしまいますが、腹筋や腕立て伏せなどの日常的にできる簡単なものでもよく、仕事や勉強、家事などの合間を使って無理のないペースで行えば充分とされています。手軽で大きな効果を上げられる事から、行わないと損なようにも思えます。


 

第3061回 青の秘密



 坊ちゃんとは猫の里親探しのサイトを通じて出会いました。とても小さな子猫でしたが、将来、大きく育ってくれそうな雰囲気とどこか微笑んでいるような表情に、この子と一緒なら幸せな日々を過ごせると思えて、急いで申し込みをしました。

 それから我家に来てくれるまで少し時間が掛かったのですが、その間もいろんなやり取りをさせていただき、画像もたくさん送っていただきました。どの画像も青い瞳が印象的で、以前一緒に暮らしていた猫の瞳は緑色だった事から、初めて青い瞳の猫と暮らす事になると考えていました。

 隣県とはいえ立地的には遠い長崎からの長旅を経て、坊ちゃんは我家へ来てくれました。慣れない長距離の移動に疲れたのか、私が抱くとそのまま眠ってしまい、青い瞳は閉じられていました。

 そんなお気に入りの青い瞳でしたが、気が付くと緑色に変わっていて、先猫と同じ色に南阿蘇の太陽にはこの色が良いのかと納得しながら、気になって調べてみた事があります。

 幼い坊ちゃんの青い瞳は「キトンブルー(子猫の青)」と呼ばれるもので、坊ちゃんに限らず全ての子猫は青い瞳で生まれてくるとされます。それが成長に伴って瞳の色が変化し、生後2~3ヶ月頃には、本来その猫が持つ色になります。

 全ての子猫が青い瞳で生まれてくる理由は、生後間もない子猫ではメラニン色素が充分に働いていないためで、目の虹彩の部分がメラニン色素の影響を受けないと透明感のある青い色になります。

 その後、成長に伴ってメラニン色素が働き始めると瞳は本来の色となり、青系のサファイヤブルー、ブルー、アクア。緑系のグリーン、ヘーゼル。黄色系のイエロー、ゴールド。褐色系のオレンジ、カッパーといった9種類に分かれるとされます。

 ごく稀に左右の瞳の色が違う「オッドアイ」と呼ばれる状態になる事があり、特に白猫に多いとされます。一説には白猫の25%はオッドアイともいわれ、生き物の中では最多の比率ともいわれます。

 オリーブグリーンのように見える坊ちゃんの瞳は、陽射しが弱い冬の朝などに青く見える事があり、成長によってどのように色合いが変化したのか、もっとしっかり観察しておけばよかったと後悔しています。


 

第3060回 グルテンの市場



 随分と前の事なのですが、アメリカの知人から日本の煎餅がヘルシーなスナックとして人気が高まってきていると聞かされた事があります。その後、しっかりと根付いたのか独自の発展を見せ、日本ではあまり見掛けない類の製品も作られているようで、その一つにグルテンフリーの柿の種があります。

 日本でも最大手となる米菓のメーカーが2013年から現地で製造、販売しているとの事なのですが、最初に存在を知った時は米が原料の柿の種であればグルテンとは無縁なのではと、少々違和感を覚えてしまった事が思い出されます。

 しかし、柿の種は味付けにしょうゆが使われており、しょうゆは原材料として小麦を使っている事からグルテンとは無縁ではなく、小麦を原料としないしょうゆを使って初めてグルテンフリーの柿の種が実現したといわれます。

 グルテンは、小麦やライ麦などの胚乳に含まれるタンパク質の一種であるグルテニンとグリアジンが水分を吸収しながら結合してできたもので、グルテンの素となるグルテニンとグリアジンの含有量によって小麦粉の強力粉、中力粉、薄力粉といった性質を決めています。

 日本では古くから小麦粉を練ってグルテンを生成し、水洗いする事で余分な成分を洗い流したものを焼き、「麩」として利用してきました。世界的には生地を発酵させる事でふっくらと柔らかいパンが焼けるようになっていますが、発酵によって生じた炭酸ガスを閉じ込めて生地を膨らませてくれる役割を担っているのがグルテンとなっていて、食文化に深く関わっている事が窺えます。

 世界中の食に根差しているグルテンですが、食物アレルギーの原因となってしまうタンパク質の一種という一面も持っています。特に近年は「グルテン関連障害」として研究が進んだ事もあり、予想よりも広範囲で体調不良を引き起こしていた事がいわれるようになってきています。

 世界各地でグルテン関連障害が増えている原因として、食の欧米化が進み、主食としてのパン食が増えた事や近年、品種改良された新たな品種に細胞毒性の高いグルテンペプチドが多く含まれている事、パンを製造する際、発酵時間を短くするためにグルテンの量を多く含ませるようになっている事などが考えられています。

 グルテンフリーに関する市場は、先駆けとなったアメリカ一国だけでもすでに一兆円を超える規模にまで成長しているとされます。もともとは食療法の一つであったものが付加価値として誕生し、大きな市場を形成する過程で情報が過度に誇張されてしまい、必要以上に恐怖が語られているという印象は否めませんが、日常的な食、健康に関わる事でもあり、正確な情報を求めてしまいます。


 
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にんにく卵黄本舗の健康コラムです。
食と健康をキーワードに最新の医療情報から科学技術、食文化や献立まで毎日更新で幅広くお届けします。是非ご覧ください。

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