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第3078回 ITとカカオ豆



 先日、いつも聞いているお気に入りのラジオ番組の毎回変わるテーマが仮想通貨で、それまで理解する事ができなかった「マイニング(発掘)」という行為が何に当たるのかを理解する事ができました。

 最近は下落して注目される機会が減った感じの仮想通貨ですが、一時期は投機的な扱いで高騰し、初期の頃に手に入れていた人が膨大な資産を形成して「億り人」と呼ばれるなど、大きな話題となっていました。

 仮想通貨は貨幣や紙幣といった実態を持たず、国や中央銀行が発行している訳でもなく、どこか掴みどころのない存在のように思えるのですが、不確かなはずの仮想通貨を確かなものとして存在させているのがブロックチェーンと呼ばれるシステムであるといわれます。

 ブロックチェーンは「分散型台帳」とも呼ばれる事もあり、文字通り分散型ネットワークを構成しているたくさんのコンピューターに公開鍵暗号などの暗号技術を組み合わせ、取引情報などのデータを同期させて記録する手法で、仮想通貨に用いられる基盤ともなる技術となっています。

 一部のコンピューターで取引データの改竄が行われても、他のコンピューターとの多数決によって正しいと思われる取引データが選ばれ、修正が行われる事から不正を行う事が困難となっていて、取引情報の履歴が鎖状に繋がれている事からブロックチェーンと呼ばれるようになっています。そんなブロックチェーンが意外な場所、ガーナで社会問題を解決するテクノロジーとして注目を集めています。

 ガーナの経済を支える産業というと農業で、重要な輸出品の一つにカカオ豆があります。生産量世界一のコートジボワールと合わせて、世界に流通するカカオの大半を占めてるガーナのカカオですが、両国合わせて210万人もの子供たちがカカオの生産に従事させられているとされ、児童労働として社会問題化しています。

 児童労働を無くすためのアプローチの一つとしてフェアトレードがあり、フェアトレードを確実に履行し、広めていく上でブロックチェーンの技術が役に立つといわれています。ブロックチェーンの技術を使えばカカオ豆の生産地や生産者、中間のバイヤー、支払金額などの多くの情報を記録、管理する事が可能になり、信頼できるトレーサビリティを確立する事ができます。

 生産から消費までの流通情報に誰でもアクセスできるようになれば、児童労働をはじめとする課題の解決に繋がり、名ばかりのフェアトレードも駆逐できる事も考えられます。将来的にはカカオ農園で働く人がチョコレートメーカーと直接取引できるようになる事も、分散型システムとして機能するブロックチェーンは可能にするともいわれます。

 カカオ豆、バニラビーンズ、コーヒー豆。一見、無縁なように見えるブロックチェーンは、多くの第一次産業の在り方を変えてくれる存在なのかもしれません。


 
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第3077回 事業展開



 昔の自動車レースの画像を見ると、レースカーの車体には大きくタバコの銘柄のロゴが記載され、それが一つのデザインとなっていて、一般の車両との大きな違いのようにも見えていました。やがてロゴは形を残しながら文字では銘柄名を表記しないものに変わり、ヨーロッパを中心にはじまったタバコの広告規制の存在を感じさせてくれます。

 今ではレースを支える企業は通信会社やIT企業、エナジードリンクのメーカーなどに替わり、タバコメーカーの潤沢な収益がレースに注ぎ込まれるという事は過去のものとなったような感じがして、喫煙者の減少や喫煙可能な場所の減少、さまざまな規制などタバコメーカーには逆風が吹き荒れる時代が続いているようにも思えてきます。

 そんなタバコメーカーに、新たな事業展開の可能性を感じさせるような研究結果が発表されていました。タバコがインフルエンザのワクチン作りに利用でき、タバコを使う事でこれまでよりも早く安価にワクチンの製造が可能になるといいます。

 これまでワクチンは鶏の有精卵を使って作られてきました。卵の胚にウィルスを感染させ、卵の中に溜まる液体の中から抽出する事でワクチンは製造されています。うまく卵の中でウィルスを増殖させたとしても、成人男性一人分のワクチンを製造するには1、2個の卵が必要とされ、インフルエンザが流行する時期に向けたワクチン製造では、膨大な量の卵が消費されている事になります。

 また、卵を使ったワクチン製造では時間が掛かってしまう事から、その間にウィルスが変異してしまい、正しく製造されていたにも関わらず有効に作用しないという事も見られていました。タバコを使ったワクチン製造では卵に比べて安価なだけでなく、製造自体も早くできる事からウィルスの変異が起こる前に製造を終えられる事も可能とされます。

 卵の中でワクチンを作る際は、不活性化されたウィルスが用いられてきましたが、新たな製造手法では「VLP(ウィルス様粒子)」と呼ばれるインフルエンザウィルスの構造を持ちながら完全な遺伝子情報を持たない粒子を使う事で、ウィルスが変異しても感染した細胞を発見、排除できるような免疫細胞を作る事も可能とされ、より効果の高いワクチンを作る事ができるようになります。

 そうしたワクチンの製造を可能にするバイオリアクターを数年に渡って探し続けた結果、「ベンサミアナタバコ」に辿り着いたそうで、タンパク質を高速で生成する能力を持ち合わせている事から、卵を使った従来の手法では半年ほどの期間を掛けて作られていたワクチン製造が6週間にまで短縮できています。

 タバコを使ったワクチン製造の特許はカナダのバイオテクノロジー企業、メディカゴ社が保有していて、すでにメディカゴ社の株の40%はタバコ界の巨人、フィリップモリス社が所有しています。一見、斜陽に直面したように感じられたタバコメーカーですが、まだまだ世界経済の中心部に君臨し続けるのかもしれません。


 
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にんにく卵黄本舗の健康コラムです。
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