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第2695回 けんちんへの想い(1)



 キクラゲをたくさんいただき、どのようにして食べようかと調べているうちに不思議な和菓子を発見しました。から揚げ普及協会公認のから揚げニストとしては聖地ともいえる大分県中津市に伝わるその和菓子は、「巻蒸(けんちん)」という不思議な名前で、細切りのキクラゲが入ったういろうのようにも見えます。

 けんちんというと豆腐や野菜を煎り付けて煮込んだ具沢山の汁物、けんちん汁が思い浮かんでくるのですが、巻蒸はけんちん汁とは大きく異なる存在となっています。

 けんちんの語源は普茶料理の「巻繊(けんちゃん)」にあるといわれます。巻繊は刻んだ野菜に豆腐を混ぜて炒め、油揚げか湯葉で巻いて油で揚げる料理で、油で揚げる部分がアレンジされて汁物になったとされます。

 巻蒸は江戸時代、中津藩の医師であった田中信平が蘭学を学ぶために長崎を訪れた際、現地に伝えられた清国の料理を元に地元の菓子職人と共に作り上げたといわれ、田中信平が天明4年(1784年)に著した料理書「卓子式」の中に、長崎時代に目にした普茶料理に関する記述があり、「巻繊(けんちん)」として細切りにした野菜やキノコを煮てあんかけにする料理が登場し、あんかけにする際の葛粉の量を増やす事で巻蒸となった事が伺えます。

 長崎の卓袱料理の中にも「巻蒸(けんちん)」という料理がありますが、こちらは伊勢海老を茹でて身を解し、キクラゲやゴボウ、銀杏などと共に薄焼き卵で巻いて油で揚げる料理で、普茶料理の巻繊のアレンジ版のように思えます。

 葛粉特有の透明感の中に黒いキクラゲが浮いて見え、控えめな甘さとキクラゲのコリコリした食感が特徴といわれ、中津市では慶長時に広く食べられているそうですが、日本中に伝わる「けんちん」と名の付く食べ物の中では、かなり変わった部類に入るのではないかと思えてきます。


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