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第2713回 加糖と無糖(2)



 子供の頃、トーストにコンデンスミルクを塗って食べるのが大好きで、たくさん塗ってしまうとトーストが傾いた時にコンデンスミルクが垂れてしまうので、食べにくくなってしまうのですが、ミルクの風味が好きでいつもたくさん塗って食べたいと思っていました。

 それに対しエバミルクの存在を知ったのは自分で料理を作るようになってからの事で、何となく名前は知っていても使い方が判らず、必要となる場面も出てこない謎の乳製品という印象が強かったように思えます。

 エバミルクは日本の乳等省令では、「乳脂肪分7%以上、乳固形分25%以上、細菌数0」と成分が決められ、「濃縮乳であって直接飲用に供する目的で販売されるもの」と定義されています。しかし、エバミルクを直接飲用する話はあまり聞かれず、コーヒーや紅茶に加えるには生クリームの方が主流となっている事から、ホワイトソースやクリームシチュー、タイ風カレーやクリーム煮などの料理に使われている方が多いように思えます。

 エバミルクの製法は牛乳を加熱殺菌した後、半量になるまで煮詰め、成分を均一化して容器に充填します。コンデンスミルクのように殺菌成分となる高濃度の糖分を含まない事から、充填後の容器ごと加熱殺菌が施されて完成となるのですが、この製法は1885年にスイスのメインバーグによって確立されており、ニュートンによるコンデンスミルクの発明から50年、ゲイル・ボーデンの工業化からは29年という遅れに牛乳という栄養価の高い食品を細菌から守る事の難しさを感じてしまいます。

 省令によって細菌数が「0」であるように定められているのですが、食品の原料として加工される際は殺菌が行われる事から、あえて細菌数を一般的な食品と同じ程度の緩やかなレベルにした製品も存在し、成分的にはほとんど同じでもエバミルクではなく「濃縮乳」と呼ばれ、大規模な容器への充填や厳密な殺菌工程の省略でコストダウンした乳製品として販売されていて、エバミルクの名前は見掛けなくても意外と接しているようにも思えます。

 今日では脱脂粉乳やカゼインなどの粉末の原料や植物性脂肪、増粘多糖類などを加えて濃度や風味を調整した製品が一般的となり、単純に生乳を煮詰めるというメインバーグの製法とはかけ離れてしまったのですが、コンデンスミルク同様、優しいミルクの風味に溢れた食材として接していきたいと思っています。


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