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第1799回 味覚の所以



 味覚というと甘味、塩味、酸味、苦味、旨味の基本的なものに、最近では脂肪味、カルシウム味などが加わってきています。そうした味覚は、多くの動物に備わっているとされ、さまざまな味を特徴としている物質を知覚できるように進化してきたと考える事ができます。

 味覚は栄養となる成分を選択し、毒物を避ける事に有効に働く事から、動物にとってより良く安全に生存するための基本的な機能という事ができます。

 甘味は植物が蓄えた栄養を示し、直接的なエネルギー源となる糖分の存在を示唆しています。果実や蜜をはじめとした植物の甘い部分を食べる事によって、動物は活動に必要なカロリーを得る事ができ、植物は動物のそうした嗜好を利用して種や花粉の運搬を行わせています。

 塩味は動物の健康を維持するために不可欠なミネラルの存在を示し、内陸部では貴重なナトリウムは体内での吸収率が高く、植物を通じて摂取できるカリウムは吸収率が低い傾向があります。

 酸味は腐敗や発酵によって生じた酸の存在や果実の未成熟を感じさせ、苦味は毒素の存在を感じさせる事から、本来は動物は好まない味覚とされます。特に免疫力や解毒力が未熟な子供が酸味や苦味を避ける傾向が顕著で、子供が嫌う代表的な食材であるピーマンが成長と共に食べられるようになる事は、成長によって解毒力が高まり、毒素として認識味覚していた苦味を許容できると判断するようになるためといえます。

 旨味はさまざまなタンパク質の原料となるアミノ酸の存在を示し、カルシウム味は細胞の活動に不可欠なカルシウムの存在を感じ取っています。カルシウムというと骨を連想しますが、骨は生存に不可欠なカルシウムを体内に貯蔵する事が起源となっている事を考えると、カルシウム味が味覚に含まれている事にも納得がいきます。

 脂肪味はより栄養価が高い物を食べるという嗜好に繋がり、栄養が豊富な穀類や充分な栄養を獲得している獲物を選別し、より豊かな栄養の確保のための味覚といえるのですが、栄養が溢れている今日では困った味覚ともいえます。

 よく「犬は甘ければ食べるが、猫は甘さに見向きもしない」といわれますが、それには犬は肉食に近い雑食性で猫は肉食という食性の違いが関係しています。雑食性であれば植物性の食材を口にする可能性があるため、より多くのエネルギーが得られる糖質を選別して求める事が必要であり、肉食であれば甘味を感じる事はそれほど重要ではなくなってしまいます。

 それぞれのライフスタイルに応じて求める味覚が独自に進化した事が考えられるのですが、かつては貴重だった糖質や脂質を求める性質が今日、肥満という健康の大敵となってしまっている事が、何とも皮肉に思えてしまいます。


 
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