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第2750回 飲不飲(2)



 牛という生き物の進化の過程を考えると、常に肉食獣に襲われる危険が付きまとっていて、群れを成してうまく逃れる事が何より重要である事が判ります。そのため母牛は妊娠してもできるだけ脚力に影響しないように胎児は小さい方が良く、無防備となる出産を短い時間で済ませるためにも仔牛は小さい方が良い事になります。

 生まれた仔牛は、可能な限り早く大きくなって小型の肉食獣の脅威を遠ざける方が良いため、小さく産んで大きく育てる事が理想となり、仔牛を育てる牛乳には豊富な栄養素と骨を育てるカルシウムが多く含まれています。

 牛乳に豊富に含まれているカルシウムは吸収されやすい状態にあるとされ、その牛乳由来のカルシウムが思わぬ効果に繋がる事が判ってきています。

 幾つかの研究によってカルシウムを多く摂る事で脳卒中の発症リスクが下がる事が示されていて、カルシウムの摂取量ごとに5つのグループに分けると、最も少ないグループの発症率を100とした場合、最も多いグループは70と30%もリスクが下がる事が確認されています。

 カルシウムの内訳を乳製品から摂ったものとそれ以外のものに分けてデータを再分析したところ、乳製品以外から摂られたカルシウムでは5つのグループの間で統計的に有意と認められる差がない事が確認され、牛乳由来のカルシウムのみが脳卒中のリスクを下げていた事が判りました。

 カルシウムというと高血圧の治療に「カルシウム拮抗剤」が処方される事から、マイナスイメージがあるのですが、カルシウム拮抗剤は血管の筋肉を動かすカルシウムチャンネルに作用して血管が広がりやすくして血圧を下げる薬剤で、カルシウムは高血圧患者に必要とされ、カルシウムの不足は高血圧を招くといわれます。

 カルシウムの働きとしては血液中の止血因子である血小板が集まる力を弱め、食べ物に含まれるコレステロールの吸収を阻害する事が判っているため、吸収されやすい牛乳のカルシウムがそうした働きを発揮して、血管障害を防いでいた事が考えられます。

 血液への作用の高さを考えると、脳卒中と共に考えられる事のある心筋梗塞にも効果があるようにも思えてくるのですが、心筋梗塞に関しては明確な関係は認められなかったとされ、脳卒中に限定的な事となっています。

 脳卒中に限定的となった理由については、牛乳にはカルシウムと同時に飽和脂肪酸が多く含まれていて、それが血管障害のリスクを上げてしまい、カルシウムの効果を相殺してしまっていると考えられています。

 脳卒中に限るとなると効能的には少ない感じがしてしまいますが、健康への影響の大きさを考えると牛乳を飲む価値があるのかもしれないと、少しだけ飲む方へと傾きつつある事を感じてしまいます。


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