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第2769回 象の恵み



 象は人間よりも大きな体を持っていますが、体を構成する細胞の大きさは人と象では大差がないため、象の方が遥かに多くの細胞を持っていて、それが大きな体を構成している事になります。

 細胞の数が多くなるという事は、細胞分裂が行われる総数も多くなり、細胞分裂の際の異常による突然変異の発生や細胞内の遺伝子が傷付いて損傷してしまう可能性も高くなり、象は人間よりもガンを発症するリスクが高くなってしまう事が考えられます。

 しかし、象の間でガンが少ない事は医師や生物学者の間では広く知られていて、長年、象がガンを発症しないメカニズムについては謎とされてきました。

 細胞の中には「p53」と呼ばれるタンパク質があり、傷付いてしまった遺伝子を修復したり、修復が困難なまでに傷付いてしまった際はアポトーシス(細胞死)を起こすように促す働きを担っています。

 人に限らずガンを患ってしまった動物の半数近くはp53タンパク質を作り出す遺伝子に異常が見られ、正常なp53タンパク質を作り出せない事がガンの発症に繋がった事を示唆しています。

 多くのデータから人がガンを発症してしまう割合は11~25%とされ、それに対し象は5%と非常に低い事が示されています。そこで人と象の遺伝子を解析した結果、p53を作り出す遺伝子の数が人に対して象は少なくとも10倍近くも多い事が判り、象のガンを抑制する力の強さが覗われています。

 また、人と象の細胞に放射線などを使って損傷を与えたところ、アポトーシスが起こる割合は健康な人の細胞の場合、8%程度である事に対し、象の細胞では14~22%と倍以上も高い事が確認されています。

 損傷した遺伝子を修復する力や異常な細胞を見付けて排除する力の高さが象のガンリスクを下げている事が判ったのですが、今回の結果を受けて新たなガンの予防や治療法の確立が望めるとの事から、象の恵みを享受したいと期待しています。


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