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第2810回 ノロの話(1)



 冬場を迎え、寒さが本格化してくると、ノロウィルスの流行という怖ろしげな話を聞くようになって久しいように思えます。以前から冬場の魚介類の食中毒では中心的存在ではあったのですが、いつの頃からか魚介類を食べた本人だけの問題ではなくなってきていて、人から人へという感染症に変わってきています。

 元来、ノロウィルスは感染力が非常に強く、インフルエンザウィルスの1000倍の感染力を持つだけでなく、体内に入り込んだウィルスはインフルエンザウィルスが8時間後に一個のウィルスが100個になり、24時間で100万個にまで増殖して初めて発症する事に対し、ノロウィルスは10個~100個で発症するとされるなど、感染しやすいだけでなく感染すると発症するリスクも高くなっています。

 ノロウィルスの感染は経口感染となっていて、口から入り込んだウィルスは小腸へと進み、腸壁の粘膜に侵入して8時間ほどで数十万倍に増殖して小腸の腸壁を破壊します。そのため激しい嘔吐と下痢が生じるのですが、腸壁を破壊し尽くしたウィルスは増殖をストップさせて体外へと排出されていきます。下痢の症状にも関わらず下痢止めの薬を利用しない方がよいとされるのは、すでに増殖がストップしたウィルスを体外に排出するためで、止めてしまうと体内にウィルスが居座ってしまう事にもなりかねないとされます。

 通常、ウィルスの研究は適切な動物培養細胞を探して感染させ、増殖させる事で研究用のウィルスを得ていますが、ノロウィルスは実験室で培養して増殖させる方法が見付かっておらず、そのために検査や治療方法に関する研究が他のウィルスよりも大きく遅れてしまっています。

 研究が遅れている上にノロウィルスは数年ごとに新たなタイプが登場し、一旦、感染して免疫が確立されても1、2年で免疫の効果が失われてしまうとされ、ワクチンが開発できない上に感染した経験があるからといって安心できないという困った特徴を持っています。

 治療法も失われた水分を補って脱水症状を防ぎながら苦痛に耐え、ウィルスの排出が終わる事を待つしかなく、感染を防ぐ重要性を感じてしまいます。この冬は新型が登場し、大規模な流行が心配されています。何事もなく春を迎えられる事を願ってしまいます。


 
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