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第2813回 長寿の問題



 一番の願いは?と聞かれると、やはり一緒に暮らす猫の「坊ちゃん」の健康と長寿となるのですが、昔と比べて長寿となったといわれる猫たちにも人間と同じある困った変化が生じている事が判ってきています。

 推定では日本人の100万人余りが罹っているとされ、認知症の原因の半数を占めるとされるアルツハイマー病。いまだに有力な治療法は確立されておらず、長寿を謳歌する人間特有の病気と考えられてきましたが、猫もアルツハイマー病になる可能性がある事が東京大学大学院農学生命科学研究科の研究チームによって明らかにされています。

 認知症の原因となる疾患には脳血管性認知症やレビー小体型認知症が知られていますが、それらを抑えて最も多くの認知症の原因となっているのがアルツハイマー病で、日本の患者数は65歳以上の15%を占めているにも関わらず、予防法や根本的な治療法は見付かっておらず、認知機能の低下を遅らせるといった対症療法が行われるのみとなっています。

 そんなアルツハイマー病の患者の脳をCTやMRIを使って観察すると、精神機能に関係した「大脳皮質連合」や記憶を掌る「海馬」を中心に特殊なタンパク質であるアミロイドβが神経細胞に付着した「老人班」や神経細胞の脱落、高リン酸化タウタンパクが神経細胞内に蓄積した「神経原繊維変化」が確認でき、アルツハイマー病と診断する事ができます。

 今回の研究ではペットとして飼育されていた25匹の猫を対象に、死後に脳の組織を詳しく解析したところ、8歳を超えた頃から猫の脳にもアミロイドβの沈着が確認され、14歳頃から高リン酸化タウタンパクの蓄積も起きる事が観察されていました。

 高リン酸化タウタンパクの蓄積の結果としては神経原線維変化も認められ、病変が確認された猫では海馬の神経細胞の脱落も見られていました。

 アミロイドβの蓄積は犬などでも確認されていますが、タンパク質の形が同じなのは猫だけとされ、高リン酸化タウタンパクの蓄積が確認されているのは猫のみとされています。

 記憶や言動、性格の変化、場所や日時などの基本的な状況の理解といったアルツハイマー病特有の変化を確認する事が困難なために、ほとんど気付かれないままとなっていますが、長寿化が進んだ猫の間にも認知症といった困った問題が生じているのかもしれません。


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