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第2825回 グルテン危険?(2)



 以前はグルテンの危険性を語る際、グルテンが急激に血糖値を上げてしまう事や、アレルギー反応を引き起こして小腸の壁を壊して栄養の吸収を妨げたり、毒素を吸収して体に悪影響を与えるという事がいわれていたのですが、最近では麻薬のような働きをして、強い依存性を発揮するとするものが増えてきたように感じています。

 グルテンが分解される際に生成される成分に麻薬様作用があり、そのために依存性が生じてしまうというのですが、小麦粉のタンパク質であるグルテンを抽出したような食品、麩によって幸福感や高揚感が得られたり、中毒になって麩なしでは生きられなくなったという話は聞いた事がありません。

 急激な人口の増加を危惧して食料増産を目的に行われた小麦の品種改良、「緑の革命」によって遺伝子操作された小麦に含まれるグルテンの前駆体であるグリアジンに原因があるとも言及されているのですが、やはり麩やパンの中毒者はいないように思えます。

 麻薬が作用するには脳神経に存在するオピオイド受容体が深く関わっていて、オピオイド受容体とモルヒネやアヘンなどの成分が結合する事で神経を興奮させて鎮静作用や高揚感、快楽感などが生じています。

 オピオイド受容体は日常的には内因性オピオイドとも呼ばれるエンドルフィンと結合し、疼痛などを和らげる働きをしています。エンドルフィンはアミノ酸が複数連なったペプチドと呼ばれる物質で、ペプチドにはホルモンなどのさまざまな生理作用を持つものがある事が知られています。

 ペプチドはタンパク質を消化吸収する際、完全にアミノ酸の状態にまで分解されず、幾つかが連なった状態でも吸収される事から、普段、食べている食品の中にもペプチドとして吸収され、オピオイド受容体と結合するタンパク質があるのではないかという仮説の下に研究が行われた事があります。

 多くの食品由来のタンパク質を分解してペプチドを得る実験が繰り返された後、小麦のグルテンの元になるグリアジンと牛乳のカゼインからオピオイド受容体と結合するペプチドが得られる事が判り、小麦や牛乳のタンパク質が完全に分解されずに吸収された場合、麻薬様作用が生じるのではと考えられました。

 小麦や牛乳のタンパク質が実際に完全に分解されずに小腸から吸収される事が確認されたため、そのままの状態を保って脳内へ届く事ができればオピオイド受容体と結合して、何らかの生理作用が得られるという期待の下に多くの研究が行われています。

 しかし、多くの研究によって得られた結論は、グルテンやカゼイン由来のペプチドが脳内に届き、オピオイド受容体と結合するという事を実証する事はできずに終わっています。

 おそらくグルテンの麻薬様作用や強い依存性の話は、そうした研究が存在していた事に由来すると思うのですが、やはり荒唐無稽なように思えてきます。


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