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第2848回 触らぬ...



 殺人タコといわれると、ファンタジー小説に出てきそうな帆船を海中に引き込む事ができそうな巨大なタコを思い浮かべるのですが、最近、地球温暖化の影響で北上が懸念されるヒョウモンダコは体長10cm程度と小さく、可愛らしい姿をしています。

 タコというとどこかユーモラスで、瞬時に体の色を変化させて隠れたり、黒々とした墨を吐いて逃げる姿が思い出され、あまり危険という認識はないのですが、ヒョウモンダコはフグの毒として知られたテトロドトキシンを唾液中に持っていて、噛まれる事による死亡例も報告されています。

 体は小さく泳ぐ事が苦手で、吸盤の力も弱く、墨を蓄える墨汁嚢も退化してしまっていて、海底を這うようにして移動する事から、あまり生存能力に長けているようには思えないのですが、強力な毒を得た事で他のタコのような力が必要なくなった故とも考えられます。

 普段は周囲の岩や海藻などの色に合せたカムフラージュをしているのですが、一旦、刺激を受けると明るい黄色に体の色が変化して、鮮やかな青い輪の模様が浮き上がって自らが毒を持つ危険な生物である事を知らせてきます。輪になった模様が大型ネコ科動物の豹を連想させる事からヒョウモンダコの名前が付けられていて、他のタコとの明確な違いとなっています。

 タコは危険な生物という認識が薄く、磯などで見掛けるとつい手を伸ばしてしまいそうになるのですが、外敵に対しては噛み付いて攻撃してくる事から、思わぬ危険を被る事となります。運良く噛まれずに捕獲したとしても、小さなイイダコなどと勘違いして料理してしまうと、テトロドトキシンは300度の熱でも分解されない事から、経口摂取による中毒を起こす可能性があります。

 元々は温暖な海に棲息していたそうですが、近年、日本海側でも目撃例や捕獲が相次いでおり、生息域が北へと広がっている事や越冬できる環境が整ってきている事が考えられています。

 かつては千葉県以南の太平洋側の暖かい海や沖縄でしか姿が見られなかった事から、あまりヒョウモンダコについての知識も普及しておらず、漁師でさえもイイダコと見間違えてしまう事もあるとされ、今後、注意が必要な海の生物となっています。浜辺で小さなタコを見掛けると、つい可愛いと思ってしまうのですが、命に関わる事にも発展しかねないので、触らぬタコに祟りなしなのかもしれません。


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