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第2879回 憧れの頭巾(1)



 以前、遊びに来てくれた知り合いから我家の猫、坊ちゃんは無口だと指摘された事があります。あまり実感がないので、坊ちゃんの事を知る妹に話をしてみると、確かに妹も坊ちゃんを静かな猫だと思っていたといいます。坊ちゃんと暮らす以前に一緒にいた猫たちも同じような印象だったので、私が無口にさせているのではないかと少々心配になってしまいます。

 そんな無口な坊ちゃんですが、たまに私の顔を見詰めながら後ろ脚を踏み踏みし、何かを訴えかけてくる事があります。何かを真剣に要求しているようなのですが、その意味するところが判らず困惑しながら、子供の頃に読んだ昔話に出てくる「聞耳頭巾」が欲しいと思ってしまいます。

 聞耳頭巾の物語は正直で慎ましく暮らす翁が毎日の日課である氏神様への祈りを捧げていた際、貧しいまま時を重ねてきたために良いお供え物一つ用意できない事を詫びていると、貧しくても正直に生きる翁に氏神様が不思議な頭巾を授けてくれる事から始まります。

 翁が試しに頭巾を被ってみると不思議な事に回りの動物たちや植物たちの声が聞こえるようになり、彼らの話を元に翁は数々のトラブルを解決していくのですが、クライマックスは謎の病に付して余命が僅かとなった長者の娘の病を快癒させ褒美をもらう事になります。

 褒美を受け取った翁は、念願のお供え物を氏神様に供える事ができ、ハッピーエンドとなるのですが、翁が主人公で聞耳頭巾が登場しながら物語自体には幾つかのバリエーションが存在しています。

 頭巾の入手方法については、氏神様に授けられる以外に助けた子狐の母狐から謝礼として受け取るというものや、竜宮城の土産物に含まれているといったものもあり、後の展開に影響を与えています。

 長者の娘のエピソードはクライマックスとして共通して登場しますが、娘の病気の原因が異なっていて、長者が家の屋根をふき替えた際、蛇を巻き込んでしまっていて、苦しんだ蛇が娘に祟っていたとするものや、蔵を建てた際に蔵の一部が庭木に触れて庭木を苦しめていたとするものも存在します。

 褒美を得た翁は念願のお供え物を氏神様のために購入したり、頭巾が狐由来である場合はたくさんの油揚げを狐にプレゼントするなど、利益を独占しない翁の人柄を感じさせて終わるという部分は共通しています。

 子供の頃は正直な翁が報われる楽しい話として受け取っていたのですが、大人になった今は頭巾によって得られる褒美の数々よりも、動物たちの話が理解できるという事が羨ましくて仕方なく思えます。


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