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第2937回 みりんの違い(2)



 みりんのルーツには諸説があり、有力なところでは古くから飲まれていた練酒や白酒などの甘味のある酒に、腐敗防止の目的でアルコール度数が高い焼酎を加える事で誕生したとする日本発祥説と、中国で作られていた甘味が強い「蜜酒(ミイリン)」が伝えられてみりんとなったとする中国渡来説の二つがみりんの由来とされています。

 いずれにしてもみりんが登場するのは戦国時代の事とされ、江戸時代には女性でも愉しむ事ができる甘い高級酒として飲まれています。当時のみりんは、米に含まれるデンプンを糖に変える麹を作る技術が充分に発達していなかった事から、現在のものよりも甘味も味わいも薄いものであったと考えられています。

 砂糖が貴重だった事もあり、身近な甘味料でもあるみりんは甘味や旨味を加える調味料としても使われるようになり、甘味や旨味といったエキス分をより多く含む製法が発展する事となります。今日のような濃厚なみりんが作られるようになるのは、大正時代の末期から昭和の初期とされていて、飲料としてよりも調味料としての色合いを濃くしていきます。

 蕎麦のつゆや蒲焼きのタレ、割烹料理などには早くから使われていたみりんですが、一般家庭に普及するのは第二次世界大戦以降の事となっていて、普及に伴う様々な事情に翻弄される事となってしまいます。

 戦中、戦後の米不足に見舞われた日本で、米を原料とするみりんは贅沢な酒とみなされて酒税の対象品となり、課税が行われる事となってしまいました。何とか高額な酒税を逃れるために考案されたのが米ではない雑穀を原料とした「新みりん」と、塩水の中でアルコール発酵をさせた後に甘味を加える「塩みりん」で、酒税の対象とならないみりんとして販売が開始されました。

 そうした製造側の努力もあり、昭和30年代には料亭やうなぎ屋での使用に留まっていたみりんが一般家庭にも普及し始める事となります。一般家庭という新たなニーズが生まれたみりんですが、酒類の販売免許のないスーパーでは本みりんを販売する事ができず、販売の主力は新みりんや塩みりんが多くなっていきます。

 昭和50年に公正取引委員会によってみりんとは内容が異なる商品として、本みりん以外の商品を「みりん風調味料」に統一され、売り場では本みりんとみりん風調味料の二種類の調味料を見掛ける事となります。

 アルコールを含まないみりん風調味料の中で、塩みりんはアルコールを含んでいる事や塩味がある事から、区別する意味からみりんタイプ調味料という名称を使う事が多くなってきていて、現在では本みりん以外にみりん風調味料、みりんタイプ調味料と、少々難解なネーミングが存在する事となっています。

 平成8年には販売に関する免許の要件が緩和されて「みりん小売業免許」が新設され、ビールやウイスキーなどの酒類の取り扱いがないスーパーでも免許を取得する事で本みりんの販売が可能となっています。10年後の平成18年には一般酒類小売業免許に統合されるかたちでみりん小売業免許は廃止されてしまいますが、酒類販売業免許の申請要件が大幅に緩和された事から、かつてのような販売の難しさもなくなってきています。

 ペットボトル入りのものを気軽に購入して使っていますが、高級飲料から庶民の調味料、販売のための工夫など、時代に合せてみりんも頑張ってきたのだと改めて思ってしまいます。


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