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第2957回 紫の愛



 学生の頃、パルフェ・タムールという名のリキュールに出会い、その美しい色合いがお気に入りとなっていたという事がありました。その当時はスミレを使ったリキュールと聞かされていた事もあり、正式にはバイオレット・リキュール、もしくはクレーム・ド・バイオレットという名前だろうと思っていたのですが、後にパルフェ・タムールが正式な名前であり、商品名ではない事を知りました。

 パルフェ・タムールは「完全な」という意味のパルフェとパルフェの綴りの最後の一文字の「T」をリエゾンしたアムール(愛)からなる言葉で、「完全なる愛」というのは随分とすごい名前だと思えていました。

 1760年頃のフランス、ロレーヌ地方で誕生したとされ、地中海沿岸で採れる柑橘系の果実をベースにスイートバイオレットとも呼ばれるニオイスミレ、バラ、アーモンド、バニラなどを使って独自の風味を出しています。

 中でもニオイスミレは重要な素材とされ、他の種類のスミレを使っても特有の香りを出す事はできないそうで、重要、不可欠な存在となっています。

 美しい色合いと「飲む香水」とまで呼ばれた香りのお陰で、誕生当時は多くの貴族たちに愛され、25度という高めのアルコール度数もあって媚薬の効果があると考えられた事がパルフェ・タムールの語源となったともいわれます。

 そのままストレートやロックでという飲み方もされるそうですが、日本ではカクテルとして使われる事が一般的なように思えます。中でも綺麗な色合いを活かしたバイオレットフィズは良く知られたカクテルとなっていて、炭酸で割る事からアルコール度数も下がって、比較的接しやすい飲み方ではないかと思います。

 そんなパルフェ・タムールを最も愉しむ事ができるカクテルといわれると、「ブルームーン」ではないかと思えます。ドライジンとパルフェ・タムール、レモン汁を2:1:1の配合で混ぜたシンプルなものですが、ブルーと名の付くカクテルのほとんどがブルーキュラソーを使うのに対し、あえてパルフェ・タムールを使った月を表現する色合いにカクテルという文化の粋を感じてしまいます。

 残念な事に酒とは縁遠い事から、かなり長い間、ブルームーンそのものを見るという事はないのですが、フランスの貴族に愛された気高い紫色は、今も鮮烈に思い出の中に残されています。


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