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第1823回 ドングリ食



 子供の頃、家から近所の寺院へ向かう途中に大きな墓地と公園があり、蚊などの虫がいなくなる秋から冬にかけては、よく遊びに行っていました。

 墓地公園は両脇にモミジが植えられたコンクリート道路の坂道が入り口になっていて、坂を上ると途中で道は左右に二手に分かれ、左へ行くと寺院へ通じ、右へ行くと寺院の裏山へ出る事ができます。

 右へ曲がって墓地公園を抜けて裏山へ出て、300段もある長い階段を上ると地元で人気の戦国武将、加藤清正の銅像がある公園へと行く事ができ、熊本市内を一望にする事ができます。

 秋から冬にかけてその辺りで遊んでいると、ドングリや椎の実が大量に手に入ります。きれいな椎の実がたくさん手に入った時は、フライパンで乾煎りするとほんのりとした甘味ともちもちした食感で美味しくいただく事ができ、自分で拾ってきた木の実が食べられるという事がとても楽しかったように思えます。

 椎の実と形状が似ているのにドングリは食べる事ができず、似ているのに何故食べられないのかと不思議に思えた事があります。ドングリも椎の実と同じように食べる事ができれば、椎の実よりもたくさん手に入るし、粒も大きい事からお得感があります。

 そんな事を考えながらドングリの味見をしてみると、渋味が強く、とても椎の実のように食べられる物ではない事が判ります。後にドングリに関する定義を知った際、広義にはブナ科の木の実を総称した物としながら、狭義には「食用に適さない堅果」とされていた事から、ドングリが美味しくない事に納得してしまいます。

 今日、ドングリを日常的に食べる話はほとんど聞きませんが、縄文時代には盛んに食べられていたとされます。ドングリを味見した際に感じた、とても食べられる物ではない渋味はドングリに含まれるタンニンやサポニンといった成分によるもので、それを上手く取り除かなければドングリを食べる事はできません。

 タンニンやサポニンは水溶性であるため、水に長時間さらす事によって取り除く事ができます。縄文人は経験的にその事を知っていたらしく、集めてきたドングリを土器の鍋に入れ、浮いてきた虫喰いのある物を取り除き、しばらく煮た後、乾燥させる事で固い外皮に割れを生じさせ、中の渋皮を剥きやすくしておきます。

 中身を取り出したドングリは、石などを使って粉砕して粉にして、容器に入れて水にさらします。毎日水を取り替えながらタンニンやサポニンが取り除かれるまで根気よく水にさらし、得られた渋味のない粉を使ってクレープやクッキーのような物を焼いて食べられていたと考えられています。

 縄文人というと、最近の研究でハンバーグを食べていた事が判ってきています。ドングリのクレープとハンバーグ、意外なほど豊かな食生活が行われていたように思えて、縄文時代の食生活が楽しげななものであった事が思えてきます。


 
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