第2989回 意外な不足



 日々、身近にさまざまな食材があり、偏りを生じなければ栄養は足りているように思えます。そんな現代社会にあって、一部の栄養素が不足しているという問題を聞かされると、その背景にあるものが気になってしまいます。

 以前から現代人には亜鉛が不足していると聞かされていて、日本の食生活では亜鉛はあまり不足しないのではと疑問に思えてきます。亜鉛というと牡蠣を使ったサプリメントのイメージが強いのですが、うなぎや牛肉、チーズ、卵黄、大豆などに多く、そばや胡麻にも含まれています。

 さまざまな食材に含まれている亜鉛ですが精製された食品には含有量が少なくなる傾向があるとされ、市販のパンやインスタント食品、スナック菓子など普段からよく接している食品には含有量が少なく、摂取量の不足が亜鉛不足の一因ともいわれます。

 現代社会に蔓延するストレスも亜鉛不足に拍車を掛けている原因とされ、ストレスにさらされると肝臓ではストレスに対抗するための物質、メタロチオネインが亜鉛を原料にして生成される事から、日常的にストレスを感じる事は体内の亜鉛の消費量を多くしてしまいます。

 また、最近では食物繊維を多く摂取して血糖値の上下動を緩やかにする事が健康やダイエットの秘訣のようにいわれますが、食物繊維にはミネラル類を吸着して吸収を阻害してしまう物があり、食物繊維の日常的な大量摂取は亜鉛の吸収を阻害してしまっている可能性があるとされます。

 コーヒーやお茶、紅茶などの普段口にする事の多い嗜好品の中にはタンニンが多く含まれていて、亜鉛の吸収を阻害しているともいわれ、野菜類に多く含まれるシュウ酸、玄米などに多く含まれるフィチン酸も同じく亜鉛の吸収の阻害や排出を促してしまうといわれます。

 食品添加物として使われるポリリン酸にも体内でイオン化した金属を封じ込めて排出させてしまう働きがあり、日常的に接している事で思わぬ亜鉛不足を引き起こすとも考えられています。

 意外な理由で生じてしまう亜鉛不足ですが、必須ミネラルとして体内に存在する亜鉛の多くは脳の海馬に集まっているともいわれ、記憶を掌っているとも考えられています。記憶障害や認知症の増加が懸念される現代、亜鉛不足がその根底にあるのかもしれないと考えてしまいます。


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