第3013回 大顎の秘密



 子供の頃、クワガタムシには序列があって、希少性が高く、姿も派手なミヤマクワガタを頂点にノコギリクワガタ、小さくて地味なヒラタクワガタという順に評価されていました。

 個人的には派手なミヤマクワガタよりも曲線が綺麗に見えるノコギリクワガタの方が好きだと思えたのですが、ミヤマクワガタ一匹とノコギリクワガタ三匹が交換されている場面を見ると、ミヤマクワガタの価値の高さを見せ付けられたような感じがしていました。

 そんなクワガタムシには幼虫期の栄養状態によって最大の特徴ともいえる大顎の大きさが変化するといった現象が見られるそうなのですが、未解明だった詳細なメカニズムが最近の研究によって明らかにされています。

 東大で行われた研究では、遺伝子のさまざまな働きを制御する「エピゲノム」と呼ばれる仕組みに着目し、エピゲノムの働きを順番に弱めるという方法を繰り返し、エピゲノムのスイッチとなっていた「HDAC(ヒストン脱アセチル化酵素)」が大顎の大きさを決定する遺伝子を制御している事を突き止めています。

 大顎に関係したHDACは2種類あり、一方の働きを弱めると大顎が小型化して羽が大型化、もう一方を弱めると大顎が大型化する代わりに羽が小型化する事が観察されています。

 幼虫期の栄養状態で2種類のHDACの働きが決まり、大顎の大きさも決まってしまうのですが、この仕組みは栄養状態が良い環境下では大顎という武器を巨大化させて競争力を確保し、栄養状態が悪い環境下では羽を発達させる事で移動能力を高めて、新たな環境へと移動する事に適した体になる事を示していて、クワガタムシの種の保存や生存に適した能力と思えてきます。

 大きな顎は如何にも強そうで歴戦のつわものという感じがするのですが、解明された仕組みを考えてみると、意外に坊ちゃん育ちだったのかと思えてしまいます。


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