FC2ブログ

第3015回 サビ抜きの標準化



 牛深を訪れた際、必ずスーパーの鮮魚コーナーを訪れて新鮮なコウイカが売られていないか確認します。パック詰めされたコウイカにラップの上から軽く触れると、コウイカの表面の色が流れるように変化して、まるで液晶のような色合いに新鮮さを感じる事ができ、帰宅してからの調理が大変になると思いながらつい購入したりもします。

 その後、横の寿司のコーナーを見てお気に入りの寿司を買って帰るのですが、訪れた時間が遅かったり、何かお祝い事がありそうな時期はお目当ての寿司が売り切れていて、かろうじて「サビ抜き」と書かれたパックが残されていたりします。

 仕方なくサビ抜きを購入して帰宅し、食べてみると明らかに臭みが違い、ワサビには臭みの軽減や鮮度の保持、食中毒の防止といった役割があった事を思い出します。

 ワサビの辛味成分の中心は大根と同じアリルイソチオシアネートとなっていて、唐辛子などのカプサイシンとは異なる事から激辛ブームの際にもあまり好んでワサビを増量するとった話は聞かれず、寧ろ苦手という人が増えて、ワサビ抜きの寿司を見掛ける機会も増えてきています。

 大手の回転寿司チェーンでもサビ抜きの状態が標準となっていて、ワサビは小袋に入れられたものが用意され、ネタの上に乗せたり、しょうゆに溶いたりしてワサビの味を加えるシステムとなっています。

 流通が発達した事でかつてのワサビが必須であった理由の喪失と、ワサビの辛味を苦手とする人の増加、入っているワサビを抜く事は困難ですが、入っていないものに加えるのは比較的容易という選択への円滑化が主な理由と考えられ、合理的な変化のようにも思えるのですが、どこか味気ないものを感じてしまいます。

 そんな事を考えながらサビ抜きの寿司を食べていると、ワサビに残されたもう一つの役割に気付き、やはりワサビは必要と思えてきます。ネタとシャリに挟まれたワサビには両者を接着する役割もあり、サビ抜きでは寿司が崩れてしまう可能性が高まってしまいます。寿司という日本独自の食文化のためにも、サビ抜きの標準化には歯止めが掛かってほしいと思っています。


 
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

kcolumnist

Author:kcolumnist
にんにく卵黄本舗の健康コラムです。
食と健康をキーワードに最新の医療情報から科学技術、食文化や献立まで毎日更新で幅広くお届けします。是非ご覧ください。

リンク
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR