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第3019回 身近な美味しい危険物



 子供の頃、さまざまな戦争当時に関する話を聞かされていて、徴兵検査を免れるために多量のしょうゆを飲んで体調不良に陥っていたという事を聞き、しょうゆは身近の存在する危険物のように思えていました。

 漫画の中にも同じ事を示す場面が登場し、コップ一杯のしょうゆを一気に飲み干していたのですが、飲み過ぎて命を落としたり、怖れから飲む量が足りず、気分が悪くなった程度で徴兵検査を通過してしまった人もいたと聞かされると、適量には個人差もあり、扱いが難しい毒物のような印象を受けます。

 しょうゆを多量に飲用すると何故、体調不良に陥るのか。それは体内のナトリウムとカリウムのバランスが崩れてしまう事にあります。体液中のナトリウム濃度は約0.9%ですがしょうゆの濃度は5%程もあり、またナトリウムは摂取したほとんどが吸収されるため、しょうゆを多量に摂取すると体内のナトリウム濃度が急激に上昇してしまいます。

 ナトリウム濃度の急激な上昇を感じると体は「喉が渇いた」という指令を出し、水分を摂る事でナトリウムの濃度を下げようとします。その段階で充分な水分を摂取する事ができれば問題はないのですが、水分の摂取が間に合わず、ナトリウムを排出する事も出来ない場合、体液の浸透圧が上昇してしまって細胞内の水分が体液側へと移動してしまい、細胞が障害を受けてしまう事になります。

 そうした細胞内脱水によって細胞の中心、核に障害が及ぶと細胞自体の崩壊が始まり、それが脳細胞に起こると神経の異常や痙攣、昏睡といった脳症を引き起こし、最悪の場合、死に至る事になってしまいます。

 成人が高ナトリウム血症を起こした場合の死亡率はあるデータでは約50%ともいわれ、その危険度の高さを伺う事ができます。そのため身近な塩であっても致死量は体重1kgあたり3~3.5gとされ、体重が60kgの大人の場合、180~210gとなります。

 しょうゆに含まれる塩分の濃度は16~18%とされる事から、1リットルのしょうゆであれば致死量となる塩分を含んでいる事になります。実際、2003年にはアメリカで19歳の少年が1リットルのしょうゆを飲み、昏睡状態に陥って治療を受けるという事故が起こっており、医師たちの懸命の治療によって一命を取り留め、一か月後には大学に復帰したそうですが、身近なしょうゆも量次第では危険物となる事が判ります。

 コップ一杯のしょうゆとなると200ccと仮定して36gの塩分を含む事となり、致死量には届きませんが、何が起こるのか試してみるといった事は絶対に避けた方が良いと思えてきます。


 
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