第3028回 傘の歴史(3)



 遺言状に誰に継がせるかが明記されるほど高価な贅沢品であり、資産というだけでなく富と権力の象徴でもあった傘。一部の限られた人にしか使えなかったものが一般の人にも使われるようになったのは、古代ギリシャのアテナイの事だったといわれます。

 一般の人とはいっても王族や神像ではないというだけで、貴族の婦人である貴婦人が従者に持たせて使う様子が絵画に残されていて、相変わらず高貴な人にしか使う事ができないものであった事が窺えます。

 傘が贅沢な存在であり続けた理由の一つは、傘が天蓋から派生したものであった事が考えられ、もう一つの理由は当時の傘は閉じるという機能がなく、携帯性が低い事から従者に持たせるという使い方にあったように思えます。

 ヨーロッパで今日のような開閉式の傘が作られるのは13世紀のイタリアの事で、骨にはクジラの骨を削ったものが使われていました。1533年にフランスのアンリ王子にメディチ家のカトリーヌが嫁いだ際、開閉式の傘も持参され、その後、ヨーロッパ中に広がっていきます。

 今日の傘に近い構造のものが開発されるのは18世紀のイギリスの事となるのですが、その当時でも傘の役割は陽射しから女性を守るためのもので、雨の日には成す術もなく濡れるという事が続いていました。

 ヨーロッパで雨傘が使われるようになったのは1750年、旅行家で著述家、商人でもあったジョナス・ハンウェイがペルシャを旅行した際、中国製の雨傘と出会い、衝撃を受けた事がきっかけとなっています。

 雨傘を持ち帰ったハンウェイはロンドンの街で雨傘を使う事となるのですが、その当時、傘は日除けのために女性だけが持つものと考えられていた事から、雨の日の男性の傘は非常に奇妙なものとして受け止められてしまいます。

 それでも彼は変人扱いをものともせずに傘を使い続け、30年も経過する頃には雨を防いで濡れずに済む雨傘を使う男性が普通に見られるようになっています。

 一人の紳士の行動によって広まった雨傘という文化ですが、天蓋から派生した権力の象徴、高貴な女性が使う富の象徴、資産という歴史的背景や、一般化した後もお洒落アイテムn一つといった側面がヨーロッパにおける傘の高価な位置付けを決めているようにも思えます。


 
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