第3036回 美しき未知の毒



 梅雨が近付いてくるとさまざまな場所で鮮やかなアジサイの花を見掛ける事が多くなり、ホームセンターの植物コーナーではこれまでに見た事もない形や色合いのアジサイを見掛け、意外と品種が多い事にも新鮮な驚きを持ってしまいます。

 先日、食事をした店では、皿の隅にアジサイの花が飾り付けられ、季節の趣を感じさせられたのですが、食べられる花と勘違いして口にする危険性がある事から、できればやめた方が良いと思ってしまったりもしていました。

 普段、色鮮やかなアジサイの花を眺めている分には意識する事はないのですが、アジサイには毒があり、誤って飾り付けに使われたアジサイの葉を食べてしまったために食中毒が発生するといった事例も見られています。

 アジサイの毒が広く知られるようになったのは、2008年に茨城県と大阪府で起こった食中毒事件で、料理に添えられていたアジサイの葉を食べてしまい、嘔吐や吐き気、めまい、顔面紅潮といった症状が報告され、当時は料理の飾り物用としてアジサイの葉が流通していた事から、二次被害を防ぐためにも大きく報道されていました。

 アジサイには青酸配糖体と呼ばれる毒素が含まれており、食中毒の原因もアジサイに含まれている青酸配糖体が引き起こしたと考えられました。しかし、アジサイに含まれる青酸配糖体は少量であるため、大規模な食中毒を引き起こすとは考えられないという意見が出され、本当に青酸配糖体が原因であったのかについては、未だに謎のままとなっています。

 青酸配糖体が原因ではないにしてもアジサイによって食中毒が引き起こされた事は確かな事実なので、アジサイに毒が含まれている事は確かなように思えるのですが、その毒が何であったのかについては未解明のままとなっています。

 毒素の発見は極めて困難とされ、抽出した毒素が不安定な場合、空気や光に触れた瞬間に分解してしまい、毒性を失ってしまう事も考えられます。古い書物にはアジサイの葉を食べる事で、食べたものを吐き出す事を促すという働きがある事が記載されていて、何らかの物質が含まれている事が覗えます。

 古くから解熱や咳止めの効能があるとして漢方薬として使用された実績はありますが、毒素の特定ができるまでは食からは遠のいていた方が良いと、美しい花を眺めながら思ってしまいます。


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