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第3040回 絶滅危惧店



 人気のアニメで主人公が乗る車のドアに家業の豆腐店の名前と、「(自家用)」と書かれたものが登場します。そういえば以前は(自家用)と書かれた車を見掛ける事があったのに、最近ではあまり見掛けなくなったと思えてきます。

 車両には対価を受け取って荷物を運ぶ「業務用」の車両と、自社の荷物のみを運ぶ「自家用」といった区別が存在し、豆腐店の車両で店で作った豆腐のみを運んでいる場合、(自家用)と記載していたようなのですが、制度が変化したのか見掛けなくなっています。同じく見掛けなくなったものに、(自家用)の前の部分、豆腐店があるのではと思ってしまいます。

 豆腐は日本の食文化にしっかりと根付いていて、豆腐自体の需要は今も昔も変わらないといいます。しかし、豆腐を買う場面を考えると、近所の豆腐店へ行って買ってくるというよりスーパーの売り場で名の知れたメーカーのものを選んでしまいます。

 そうした消費者の変化が町の豆腐店を減少させたと考える事ができるのですが、それだけではない深刻な問題が豆腐店の減少には関わっています。多くの食品に影を落とす問題、過剰な安売りが豆腐店の存続にも影響しています。

 街の豆腐店が減少しているといっても、物心付いた頃には豆腐店自体をそれほど見掛けた記憶がなく、あまり実感が沸いてこないのですが、最盛期とされている1960年代には全国で5万軒を超える豆腐店が存在していたとされ、その数は今日のコンビニエンスストアとほぼ同じであったといわれると、驚くほど多くの豆腐店が営まれていたと思えてきます。

 大規模な機械生産の手法の確立や薄い豆乳からでも豆腐を作る事のできる凝固剤の採用、流通の発達などが豆腐の価格を引き下げ、最盛期の豆腐一丁の価格が平均で100円以上であった事に対し、今日では60円を下回るともいわれ、変化しない需要、上昇する物価の中でも豆腐価格が下落していった事が窺えます。

 価格の低迷によって充分な利益の確保が難しくなる中、手作業による豆腐の製造には体力が要求され、製造者が高齢化していった事、後継者を確保できない事が豆腐店の廃業に繋がったとされ、豆腐とは大手メーカーの工場で生産されるものという消費者の意識の変化に拍車を掛けたとも考える事ができます。

 今後、更に生産者の高齢化、後継者不足に合わせ、多くの豆腐店が製造機械の耐用年数の限界を迎える事が考えられ、古い製造機械は修理用の部品の確保が難しく、新たな機械を導入しても設備投資を賄うだけの利益が確保できないという問題から廃業へと向かう流れが本格化するとも考えられます。

 一部の豆腐店では売り方を変えて差別化を図り、新たな販路を確保するという動きも見られ、実際、実家の近くにあった豆腐店では二代目が後を継いだ事を契機に、名前も「豆腐店」から「豆腐工房」と改められ、店構えもモダンにした事で繁盛していました。

 価格破壊、後継者、設備投資といった大きな流れの中、座して廃業を待つのか、新たな世界へと舵を切るのか、豆腐という身近な存在も激流にさらされているのだと思えてきます。


 
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にんにく卵黄本舗の健康コラムです。
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