第3060回 グルテンの市場



 随分と前の事なのですが、アメリカの知人から日本の煎餅がヘルシーなスナックとして人気が高まってきていると聞かされた事があります。その後、しっかりと根付いたのか独自の発展を見せ、日本ではあまり見掛けない類の製品も作られているようで、その一つにグルテンフリーの柿の種があります。

 日本でも最大手となる米菓のメーカーが2013年から現地で製造、販売しているとの事なのですが、最初に存在を知った時は米が原料の柿の種であればグルテンとは無縁なのではと、少々違和感を覚えてしまった事が思い出されます。

 しかし、柿の種は味付けにしょうゆが使われており、しょうゆは原材料として小麦を使っている事からグルテンとは無縁ではなく、小麦を原料としないしょうゆを使って初めてグルテンフリーの柿の種が実現したといわれます。

 グルテンは、小麦やライ麦などの胚乳に含まれるタンパク質の一種であるグルテニンとグリアジンが水分を吸収しながら結合してできたもので、グルテンの素となるグルテニンとグリアジンの含有量によって小麦粉の強力粉、中力粉、薄力粉といった性質を決めています。

 日本では古くから小麦粉を練ってグルテンを生成し、水洗いする事で余分な成分を洗い流したものを焼き、「麩」として利用してきました。世界的には生地を発酵させる事でふっくらと柔らかいパンが焼けるようになっていますが、発酵によって生じた炭酸ガスを閉じ込めて生地を膨らませてくれる役割を担っているのがグルテンとなっていて、食文化に深く関わっている事が窺えます。

 世界中の食に根差しているグルテンですが、食物アレルギーの原因となってしまうタンパク質の一種という一面も持っています。特に近年は「グルテン関連障害」として研究が進んだ事もあり、予想よりも広範囲で体調不良を引き起こしていた事がいわれるようになってきています。

 世界各地でグルテン関連障害が増えている原因として、食の欧米化が進み、主食としてのパン食が増えた事や近年、品種改良された新たな品種に細胞毒性の高いグルテンペプチドが多く含まれている事、パンを製造する際、発酵時間を短くするためにグルテンの量を多く含ませるようになっている事などが考えられています。

 グルテンフリーに関する市場は、先駆けとなったアメリカ一国だけでもすでに一兆円を超える規模にまで成長しているとされます。もともとは食療法の一つであったものが付加価値として誕生し、大きな市場を形成する過程で情報が過度に誇張されてしまい、必要以上に恐怖が語られているという印象は否めませんが、日常的な食、健康に関わる事でもあり、正確な情報を求めてしまいます。


 
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