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第3093回 毒と無毒



 暖冬といわれながらも寒さが本格化してくると、店先に並ぶ食材が鍋物に適したものに変わってくるように思えます。そんな事を考えながら鮮魚店に並ぶ魚介類を眺めて楽しんでいたのですが、その中に気になる存在、フグが並んでいるのを発見しました。

 敷き詰められた氷の上に寝かされた1尾丸ごとのフグ。アジやタイならともかく、フグを自宅で調理というのは問題があるように思えてきます。フグの調理は条例が制定されていて、フグ調理の免許取得者、もしくは免許保持者の監督の下に行う必要があり、毒を含んだ内臓は施錠できる専用の箱に保管し、専門業者に引き渡して処理してもらう必要があります。

 そのため素人の私がフグを購入して持ち帰り、家で調理するのは法律違反に問われないかという感じがするのですが、フグの調理に免許が必要なのは人に提供する場合の事で、購入して食べるのが自分だけである場合は必要ないとされます。

 磯釣りなどでフグが釣れてしまい、それを持ち帰って調理して食べても法的には問題ないのですが、年間数件は中毒が確認されている事を考えると怖い事とも思え、フグが持つ毒、テトロドトキシンは経口摂取した場合、青酸カリの850倍の毒性を持つ事や、300度という高温で調理しても変化しない事を考えると、素人が手を出してはいけない魚とも思えてきます。

 フグの毒として知られたテトロドトキシンはフグだけに限らず、アカハライモリやヒョウモンダコ、ツムギハゼ、名前がユニークなスベスベマンジュウガニなどの生物も持っています。その毒性の強さばかりが目立ちますが、鎮痛薬としても使われていて、習慣性がない事から医療現場では活躍しているともいわれます。

 テトロドトキシンはもともとフグによって生成されたものではなく、細菌によって作り出されたものが環境の中で生体濃縮され、フグの餌となるヒトデや貝類を通じてフグの体内に入り、蓄積されています。そうしたメカニズムを逆手に取り、フグを毒のない環境で養殖する事によって無毒のフグも販売されるようになってきています。

 完全養殖の無毒フグが主流となると、いずれフグ=毒というイメージも薄れ、魚屋で気軽に買える魚となるのではと思える反面、フグの毒に関しては困った問題が起こってきているともいわれます。

 近年の温暖化を受けてフグの生息域が変化し、種類の異なるフグが交配した雑種のフグが増えてきているといいます。フグは種類によって毒の在り処が異なるため、皮と筋肉に毒を持つショウサイフグと皮に毒を持つゴマフグが交配した場合、雑種のフグではどの部分に毒が含まれるのか不明となるとされます。

 現在、雑種のフグは水揚げ量の2割程度にまで増えてきているとされ、今後もその比率は増え続けると考えられています。今でこそ「天然のフグ」といわれると高級品という感じがしますが、やがては天然=危険、養殖=安全となってしまうのかと、フグをめぐる問題の深刻さを考えてしまいます。

 
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