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第3106回 どことなく共通点

 侘び茶の大成者として知られる千利休。利休最晩年の天正18年8月から翌19年の正月までの間に利休は頻繁に茶会を開き、その回数は88回に上ったとされます。その88回の茶会中、68回も茶席に登場していた茶菓子が「ふの焼き」とされ、他の茶菓子と比べて極めて高い登場頻度から利休の好物であったともいわれています。

 最もよく知られたふの焼きは、小麦粉を水で溶いた生地を平鍋で薄く焼き、味噌を塗って丸めて仕上げられます。小麦粉を使った所謂「粉物」である事からお好み焼きのルーツのようにいわれる事もありますが、後に江戸時代に入ると江戸麹町の名物、「助惣焼き」のように薄く焼いた生地に餡を入れ、四角く巻くといったバリエーションを生む事になります。

 利休のふの焼きとの関連性は確認できないのですが、沖縄にもよく似た存在の「ポーポー」があり、同じように小麦粉を水で溶いた生地を平鍋で薄く焼き上げ、油味噌などを塗って巻いて仕上げられます。ポーポーによく似ているのが「チンピン」で、生地に黒糖が入って甘く仕上げられる部分が異なっています。

 ポーポー、チンピンに由来する可能性あるかもしれないといわれているのが新潟県の下越地方で見られる「ポッポ焼き」で、小麦粉に黒糖、水、炭酸、ミョウバンなどから作られています。

 ポッポ焼きの発祥の地は新発田市と見られていますが、確たるところは判っておらず、新発田市を中心とする阿賀北以北ではポッポ焼きではなく「蒸気パン」と呼ばれる事が多くなっています。

 蒸気パンと呼ばれるのは特有の焼き器から蒸気が立ち上っているためで、蒸気を使って蒸し焼きにしていると考えられがちですが、蒸気の役割は焼き器本体を炉の熱から守るためのもので、最近では蒸気の出ない焼き器も広く普及していて、蒸気パンという呼び名は少数派となってきているともいわれます。

 立ち上る湯気が蒸気機関車を彷彿とさせる事からポッポ焼きの名が付いた、蒸気の吹き出し口に笛を付けて「ポー、ポー」と音を出して客寄せにした、というのが名前の由来としては有力視されており、細長い形状やポーポーの名前、黒糖の使用などから沖縄との関連もいわれます。

 現存する資料としては1994年に新潟日報事業社から発行された「てくてくコレクション」に記載されているものが唯一とされ、そこではポッポ焼きは「カマ」と呼ばれる銅製の四角い箱にガス、または炭で火をおこし、タネを入れた焼き型を掛けて焼いたものであり、カマには小さな煙突が付いていて、そこからもくもくと絶えず蒸気が出ていて、その蒸気が出る様子からポッポ焼きと呼ばれるようになったと記されています。

 ふの焼きは巻いた姿が仏教の経典に似ている事から、古くから仏事に使われていたとされ、ポーポーは端午の節句に子供の成長を願って作られていました。ポーポーの生地に黒糖が加わるチンピンは琉球王朝の格式の高い宮廷料理であったとされ、それぞれ由緒正しいものであった事が伺えます。

 どこか共通点がありそうで繋がらないふの焼き、ポーポー、ポッポ焼きという三者ですが、素朴なお菓子として地域に根付いた存在となっています。詳しい由来を知る事ができなかったポッポ焼きですが、いつの日にか明らかになる事を願ってしまいます。



 




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