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第1716回 無茶苦茶の由来



 以前、用があってとある方のお宅へお邪魔した際、「これでも忙しいんですよ」と言いながらヤカンに水を入れて火にかけ、お茶を用意しようとされていたので、「どうぞお構いなく」と声をかけたところ、「そうですか、それでは」とガスの火を止め、何も出してもらえなかった事があります。

 喉が渇いていてお茶が飲みたいとか、長々と世間話をしたいという訳でもなく、簡単な用を済ませてさっさと帰りたかったので、それで充分ではあるのですが、意外な展開にそれなりの違和感を感じた事が思い出されます。

 日本では来訪した客にお茶も出さない事や苦くて飲めないようなお茶を出す事は、極めて失礼で通常はありえない事とされ、そこから転じたとして「無茶苦茶」という言葉があります。

 いかにもという感じがしますが、実は無茶苦茶という言葉の由来を探ってみると、意外にもお茶とは関係なく、使われた漢字から関連付けられただけという事が判ります。

 無茶苦茶の「無茶」は仏教の用語で「無為」を意味する「無作(むさ)」が元になっていて、「作」に同じ「さ」の響きを持つ「茶」が当てられて「無茶」となったとされます。

 また、南インドで使われているタミル語で疱瘡、痘痕を意味する「ムトゥ」という言葉があり、天然痘に罹患した結果、顔中に残されるアバタの不規則で乱雑な状態を指す意味でも使われるようになっていました。ムトゥには「無茶」、「滅茶」の文字が当てられ、不規則、乱雑、でたらめな事を指す言葉となり、今日の「無茶」へと繋がったという説もあります。

 苦茶については、無茶を強調するための言葉とされ、苛立った状態を表現する「むしゃくしゃ」と元を同じくすると考えられています。律儀な日本人の気質を考えると、お茶を出さない、不味いお茶を出す事こそ無茶苦茶と思えるのですが、仏教用語やタミル語と言われると変に説得されてしまうものを感じてしまいます。


 
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