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第1891回 昆布いろいろ



 子供の頃、汁物に入れられたとろろ昆布の独特な食感が好きで、うどんなどに入れられていると嬉しく思えていました。その頃は煮物などで目にする真っ黒い昆布と灰色がかったとろろ昆布が同じ物とは思えず、とろろ昆布はそうした種類の海藻なのだと思い込んでいて、後にその事を母親に話すと、とろろ昆布は普通の昆布から作られる加工食品である事を教えられました。

 その後、細かく刻んでお湯をかけるととろろ状になる事から、「トロロコンブ」の名を持つ海藻、チヂミコンブの存在を知ったのですが、通常はとろろ昆布といえばマコンブやリシリコンブの表面を削り出した物となっていて、糸状に削られていれば「とろろ昆布」、帯状に削られていれば「おぼろ昆布」と呼ばれています。

 昆布の繊維は非常に固いため、とろろ昆布に加工する際は「漬け前」と呼ばれる酢に漬けて柔らかくする事から始められます。一回5分程度の漬け込みを数回繰り返して一晩寝かせ、異物などを取り除いてから更に2日ほど寝かせてとろろ昆布への加工が開始されます。

 削りの工程を始める前に形を整えるために昆布の両端が切り取られ、切り取られた部分は「耳昆布」として扱われます。昆布の表面部分から削り始められ、表面部分は昆布の色素によって黒い色をしている事から「黒とろろ昆布」「黒おぼろ昆布」となります。

 表面近くの黒い層を削り終えると昆布は白くなる事から「太白地」と呼ばれ、表面のべた付きをなくして削りやすくするために数日おいて乾燥させ、削り出して「太白とろろ昆布」「太白おぼろ昆布」となります。

 太白地を削っていくと、やがてそれ以上削れない芯となる部分が残り、「霜地」もしくは「雪地」と呼んで正月の飾りやバッテラ寿司などに使われる「白板昆布」として扱われています。

 とろろ昆布の起源は、一説には江戸時代、文化・文政の頃(1804~1830年)、昆布の両端を中へ折り込んだ「島田結束」という状態で運搬されていた事から、乾燥が充分ではないと内側にカビを生じさせてしまう事が多く、カビが生じた部分を酢に漬けて柔らかくし、包丁で削り落としていた事が、昆布を薄く削ってとろろ昆布とする加工法に繋がったとされます。

 昆布を薄く均一に削るには熟練の技が必要であり、鋭利な刃物も必要となります。そのため、最終的な白板昆布を得る事ができる技術が確立されるのは「引き刃」という加工技術が確立されてからの事で、大正時代以降の事となっています。

 昆布とそれを削っただけのとろろ昆布ですが、固い繊維を削っている事から栄養素の吸収という点では、とろろ昆布の方が優れているとされます。最近では、血液中の中性脂肪の上昇を抑える働きやダイエット効果が注目され、常備する家も増えてきているとされます。食べ方が限られている印象があるので、何か新しいレシピでも考えてみなければと思ってしまいます。


 
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