第1719回 外国ライス(2)


 長崎のトルコライスと良く似た存在に福井の「ボルガライス」があります。ボルガライスは武生市と今立町が合併して誕生した越前市の旧武生地区を中心に食べられてきた、40年近くの歴史を持つご当地グルメとなっています。

 ボルガライスの主な構成はオムライスの上にとんかつがのせられ、ドミグラスソースをかけて味付けがされていて、出される店によってはオムライスの中身が単なるケチャップライスではなくチキンライスであったり、ケチャップを使わない炒飯であったり、とんかつの厚さやかけられるソースにもバリエーションがあります。

 ボルガライスの起源や名前の由来については、トルコライス同様不明のまま諸説が存在し、どれもそれなりの説得力を備えていながら決め手に欠けている事から、いまだに定かにはされていません。

 諸説が語られる中、越前市内の「カフェド伊万里」、「ジャムハウス」、「カプチーノ」という三軒の老舗レストランのいずれかにおいて考案されたという説が有力視されています。

 カフェド伊万里でのボルガライスの考案は約30年ほど前とされ、店をオープンする際、店主が東京で料理修行をしていた知人から幾つかのメニューを教えてもらい、その中にボルガライスが含まれていたとされます。知人が修行をしていた店でまかないとして出されていた物との事ですが、名前の由来については知人が若くして病死してしまったために不明なままとなっています。

 ジャムハウスは前身を「ローマ」といい、40年ほど前、ローマにおいて店主が手元の材料を盛り込んでまかない料理を作っていたところ、そのまかない料理を見た客に同じ物をメニューとして出してほしいと頼まれ、店のメニューに取り入れられたとされ、その際、客が同じような料理をイタリアのボルガーナ地方で食べたと懐かしがった事から、「ボルガライス」と命名されたとされています。

 カプチーノでは店をオープンする際、シェフをはじめとした店のスタッフで何か店の目玉となるメニューを作ろうと話し合い、ボルガライスが開発されたとされます。ロシアのボルガ地方に似たような料理があるとして、「ボルガライス」と名付けられています。

 三軒の店の話はどれもそれらしく聞こえるのですが、三軒のうちのいずれかではなく三軒全てが開発に関わっていたとする説もあります。三軒を含む数名の店主が集まり、武生の名物となる食べ物を作ろうと話し合い、その中でボルガライスが考案されたとされ、ボルガライスが謎に包まれているのは、その際の話し合いで由来を謎のままにしておくとした取り決めがあるからといいます。

 また、すでに閉店した食堂、「いろは支店」において店主がサービスとしてオムライスにとんかつをのせて出していたところ、裏メニューにも関わらず評判となり、定番化したという説もありますが、これではボルガライスの名前の説明ができなくなり、実際、いろは支店において出されていた裏メニューは、「中年ライス」と呼ばれていたとされます。

 ボルガライスは大手コンビニエンスストアによって採用され、メニュー化されています。その際、ラベルにオムライスをボルガ河を渡る舟に、とんかつを荷物に見立てたという説明が記載されています。ボルガというとすぐにボルガ河が思い浮かぶのですが、ジャムハウスで誕生したとなるとボルガーナ地方が語源となります。

 同じボルガ河由来でも河そのものではなく、ボルガ河の漁師達が食べていたローカルメニューを真似たためとするものや、旧ソ連で作られていた高級車「ボルガ」に因んだ、浅草の洋食店、「ボルガ」で出されていた「洋風カツ丼」が原形となったと、今後も謎を残したまま美味しさだけが伝えられていくのかもしれません。


 
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No title

どうも!ボルガライスをこよなく愛する日本ボルガラー協会のボルガチョフです!

ボルガライスの謎のことが本当によく調べられており、驚きです!!!

最近でてきた、秘密会議説やいろは支店説もさっそく取り入れられておりすばらしいリサーチ力!!これもにんにく卵黄のなせる技なのでしょうか?

ぜひ機会があれば皆様でボルガライスを食べに来て下さい!

やっぱり武生に来たらボルガライスです!!

Re: No title

日本ボルガラー協会
ボルガチョフ 様

 はじめまして、こんにちは。コメント、ありがとうございます。

 今回、ボルガライスの事をより詳しく知るために日本ボルガラー協会様のHPを参考にさせていただいておりましたので、コメントをいただきました事、大変光栄に存じております。

 日頃から食べ物や食文化に関する由来を知る事が大好きで、ボルガライスの謎もとても興味深く触れさせていただきました。私的には、もし起源が明らかにされる日が来るのであれば、「秘密会議」説であってほしいと思っています。武生の未来を思う店主さん達のちょっとした遊び心によって謎の存在となったボルガライス。その美味しさと深い謎に翻弄され続ける自分でありたいと思います。

 トルコライスにはじまりボルガライス、ボストンライス、ハントンライスと展開し、本当はボルガライスに似た大阪、神戸のトルコライス、同じボルガの名を持つ菓子パンのスイートブールまで話を進めたかったのですが、あまりにも話が長くなってしまう事から、今回はハントン止まり、その他はまた別の機会にしたいと思っています。

 ボルガライスは知れば知るほど魅力的で、オムライスが得意料理となっている私としては、近いうちに手作りしてみたいと思いつつ、武生へ赴き、老舗のレストランにて正統なボルガライスを食べてみたいと強く思っています。

 当地、熊本には某私立大学の学食にとんかつをのせた「かつラーメン」が存在し、カツカレーやトルコライスを含め、日本のカツのせ文化について触れてみたいと考えています。その際にも是非ボルガライスに登場していただきたいと考えています。

 これからもケチャップライス、卵、とんかつ、ドミグラスソースという私が愛して止まない物の融合によって生まれるボルガライスの美味しさを、たくさんの人に伝える活動を頑張って下さい。遠く離れた熊本から、微力ながら応援させていただきます。


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にんにく卵黄本舗の健康コラムです。
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