FC2ブログ

第1914回 国産不可


 黄色い麺というと、真っ先に中華麺が思い浮かびます。かん水のアルカリが小麦粉に含まれるポリフェノールに反応して、独自の黄色い色の発色に繋がっているのですが、それ以外の黄色い麺となるとパスタが思い浮かんできます。

 パスタはうどんや素麺、中華麺などと同じく小麦粉を主原料としていますが、他の麺類とは明らかに質感が異なる物となっています。原材料に卵を使う点は他の麺類とは異なっているのですが、それ以上にパスタを他の麺類と異なる物としているのは、主原料となっている小麦粉にあるという事ができます。

 パスタに使われる小麦粉は「デュラムセモリナ」と呼ばれる特殊な物で、デュラムとは小麦の品種を、セモリナは小麦を粉に挽く際の挽き方を指している事から、デュラム小麦を粗挽きにした粉がデュラムセモリナとなっています。

 デュラム小麦はガラス質と呼ばれる半透明の硬い胚乳を持ち、超硬質ともいわれるほど硬い麦として知られています。タンパク質が非常に多く含まれ、デュラム小麦から作られる小麦粉は強力粉よりもはるかに粘りを持つ超強力粉となり、うどんや素麺、中華麺や天ぷらなどには向かない小麦粉となります。

 手打ちの生パスタの場合、うどんや素麺などと同じように全ての材料を混ぜ合わせた後、空気を抜くように捏ね上げて仕上げられます。機械を用いる場合は一旦捏ね上げられた生地を機械に入れ、空気を抜きながら圧力を掛けて押し出しながら成形されます。空気を抜いて圧力を掛ける事で独自のこしと粘りや透明感が出るとされ、パスタの特徴の幾つかを形作る事となっています。

 デュラム小麦の生産は、イタリアを中心としたヨーロッパかカナダが主要な産地となっていて、ヨーロッパで採れた物はほとんどが現地でパスタに加工される事から、小麦粉として輸出しているのはカナダ産が中心となります。

 日本でも困難が伴うとされますが、デュラム小麦の栽培は可能となっています。しかし、日本で栽培を行うと地質や気候の関係からか、収穫されたデュラム小麦に本来の性質が見られず、強力なグルテンの生成もない事から国産のデュラム小麦では美味しいパスタ作りは不可能と考えられています。

 パスタの普及がはじめられた頃は、パスタがそれまで日本人が馴染んできた麺類とは性質が異なるため、日本人の好みに合わせられるようにデュラム小麦のセモリナ粉に通常の小麦粉である強力粉が混ぜて製造されていました。

 その後、パスタが広く普及するとデュラム小麦のセモリナ粉100%で作られるようになり、今日、ほとんどの製品がデュラムセモリナ100%で作られた物となっています。茹でる際の水質が本場のイタリアと日本では大きく異なる事から、日本の軟水を使って茹でる場合はデュラムセモリナ100%ではなく、通常の強力粉を若干含んでいた方が美味しいという意見もあり、一理ありとも思えます。

 イタリアでは1967年に施行されたパスタ法580条によって、乾燥パスタを製造する際はデュラムセモリナを原料とするように製造業者に義務付けています。日本ではそうした制約はありませんが、一つの食文化としてデュラムセモリナ100%を尊重するのか、美味しさへの工夫や食文化の多様性として日本生まれの強力粉ブレンドとするのか、一度並べて食べ比べてみて、美味しい方を結論としたいように思えています。


 
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

kcolumnist

Author:kcolumnist
にんにく卵黄本舗の健康コラムです。
食と健康をキーワードに最新の医療情報から科学技術、食文化や献立まで毎日更新で幅広くお届けします。是非ご覧ください。

リンク
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR