FC2ブログ

第1918回 不人気牛脂



 肉類というと真っ先に牛肉が思い浮かび、続いて豚肉、鶏肉の順で思い浮かんできます。肉類をイラストに描く場合も牛肉のサーロインステーキ、豚肉のロース、鶏肉は骨付きのモモ肉がイメージとして浮かんできます。

 最近は飼育法も普及したのか、驚くほど見事な「さし」が入った牛肉を見掛けます。本来、赤身であるはずの筋肉にそれだけの脂肪が入り込むのであれば、脂身の方はどうなっているのだろうと思ってしまうのですが、その答えの一環という感じで肉類の売り場の片隅にご自由にお持ちくださいという感じで小分けされた牛脂が置かれています。

 豚の脂身はラードやラーメン屋で見掛ける背脂として目にする事もありますが、牛の脂はそのような利用例があまり見られないように思えます。牛の脂をラードと同じように精製した物を「ヘット」と呼びますが、その言葉自体一般的でないと感じる事にも牛脂の利用が定着していない事を伺えます。

 ヘットはラテン語が語源となっているのですが、一般化していない事や、響きから「ヘッド」と呼ばれている例も多々見られています。牛の脂という事で売り場の片隅に置かれた脂身と混同されがちですが、厳密には精製された物を指す事からヘットを一般的に見掛ける事はかなり稀な事ではと思えています。

 ヘットの融点は35~55度とされ、常温での外観は非常にラードに似ており、動物由来の油脂という事で同一視される事もありますが、ラードほどにはヘットの利用は進んでいません。

 ラードの利用は揚げ物をカラっと揚げる事や炒め物などのこくを出す事に役立つとされ、揚げ物や炒め物用の油にラードを加えるという利用例をよく聞かされます。豚骨を由来としたスープのこくを出す事にも利用されていて、こだわりのラーメン屋の隠し味となる事も聞かされます。

 基本的にラードは豚の背脂を精製して作られ、100%豚の脂のみで作られた物は「純製ラード」と呼ばれます。精製した豚の脂にパーム油や牛脂を混ぜた物は「調整ラード」と呼ばれ、どちらも融点が低く、すぐに液状になる事から幅広い料理に利用されています。

 ラードが利用される理由として、融点の低さからくる使いやすさと特有の風味が上げられます。ラード特有のこってりとしたこくのある風味は、フライやラーメンに限らずハンバーグや餃子に練り込んだりしても使われています。風味という点では背脂よりも腹脂の方が優れているとされますが、原料の確保や使い勝手などの理由があるのか腹脂の利用はほとんど見られていません。

 ヘットがラードのように利用されない理由の一つに融点が高く、ラードのように使いやすくないという事があります。そのため食品としてよりも石鹸やろうそく、研磨剤などの工業原料として使用される事が多くなっています。

 脂肪という事で非常に不健康な物のように思えますが、オレイン酸などの不飽和脂肪酸が多く、コレステロール量はバターよりも低くなっています。風味付けという役割にも良い働きを果たしてくれ、特に牛肉の赤身を美味しくしてくれます。

 牛肉の美味しさは香りが大きく関わっています。和牛の美味しさを作り出している香りは、「ラクトン」と呼ばれる成分が元となっているのですが、ラクトンは赤身と脂肪が接する部分に生成されます。輸入牛肉は味わいに欠けるとよくいわれますが、表面に和牛の牛脂を塗っておく事でラクトン量が増え、味わいを改善する事ができます。売り場では無料にも関わらず持ち帰る人をあまり見掛けない牛脂ですが、使い方によっては面白い食材なのかもしれません。


 
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

kcolumnist

Author:kcolumnist
にんにく卵黄本舗の健康コラムです。
食と健康をキーワードに最新の医療情報から科学技術、食文化や献立まで毎日更新で幅広くお届けします。是非ご覧ください。

リンク
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR