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第1720回 外国ライス(3)



 謎に包まれたボルガライスですが、その原形となったのではといわれる洋食があります。その名は「ボストンライス」と呼ばれ、東京の浅草付近の洋食店で出されていたメニューであったとされ、内容はほぼボルガライスと同じ物となっています。

 もしボストンライスがボルガライスの原形であるのならば、カフェド伊万里のオープンの際、店主が東京で料理修行をした知人から教わったメニューの中にボルガライスが含まれていたという説が裏付けられる可能性が出てくるようにも思えてきます。

 ボストンが何故ボルガにという謎は残されるにしても、ボストンライスについて知る事ができれば、謎に包まれたボルガライスの起源についても知る事ができるように思えます。しかし、ボストンライスはボルガライス以上に謎に包まれています。

 一説には、ボストンライスは浅草のひさご通りにあった洋食とケーキの店、「クスノキ屋」で出されていたメニューが元になったとされ、クスノキ屋の美味しさを忘れられなかった客がクスノキ屋と似たような浅草の老舗洋食屋を訪れ、ボストンライスとして注文してみた事が始まりとされます。

 ボストンライスというメニューはないという答えに客は落胆し、その落胆ぶりが気になった店主が客から詳しい内容を聞き取り、再現したのがボストンライスの起源となったされ、それはどことなくボルガーナ地方の料理を懐かしがった客によって生まれたジャムハウスのエピソードを彷彿とさせます。

 クスノキ屋でのボストンライスは、「ボルガ」と呼ばれていたともいわれ、当時はさまざまな外国の都市名を付けた洋食が存在していたともいわれます。クスノキ屋で何故、ボルガの名前を使ったのかについては謎ではありますが、チキンドリアを使った「ワシントンライス」も存在したとされ、テーブルの上に繰り広げられる世界旅行が存在していたのかもしれないと思えてきます。

 また、ボルガライスを見た際、「黒いハントンライス」と表現される事があります。ハントンライスとは、金沢市のご当地グルメとして知られた存在で、ケチャップライスを薄焼き卵で包んだ上に白身魚のフライをのせてタルタルソースをかけた物となっていて、とんかつと白身魚のフライ、ドミグラスソースとタルタルソースという部分がボルガライスとの相違点で、ドミグラスソースの色合いがタルタルソースの白と比べて黒っぽいところから「黒い」と表現されてしまいます。

 ハントンライスの起源については、1960年代の金沢市における「ジャーマンベーカリーグリル」の出店に際し、洋食部門のシェフたちによって考案されたとされ、パプリカで赤く色付けされたバターライスに余ったマグロをフライにした物を添えたまかない料理を元に考案されたメニューとされます。

 メニュー化に伴い、パプリカライスは若者に人気のあるケチャップライスとなり、マグロのフライは白身魚のフライへと変更されています。名前の由来については、ハントンライスの元となった料理が、スクランブルエッグの上に魚のフライをのせてケチャップで味付けしたハンガリーの家庭料理とされる事から、ハンガリーの「ハン」とフランスでマグロを「トン」と呼ぶ事から「ハントン」となったといわれています。

 ハントンなる言葉が何処かの都市名でない事を少々残念に思いながら、スクランブルエッグに魚のフライをのせる料理はハンガリー料理には存在しない事や、ハンガリーでもマグロはトンと呼ばれている事から、わざわざフランス語を持ち出さなくてもと軽く突っ込みを入れたくなるものを感じつつ、ハントンライスが日本独自の洋食である事が嬉しく思えてきます。

 姿は酷似していながら、ハントンライスとボルガライスは別系統の起源と発展を遂げてきた物といえます。それぞれに関連性はないにしても同じ内容を持つ事は、ケチャップライスをふわとろの卵で包み、フライをのせて贅沢にソースをかけるという構成が、時を超えて普遍的に人々に愛されるものである事を証明してくれています。誰がどのようにして考案したのか、それはとても気になる事ではあるのですが、皆が求めていた、それも答えの一つになるのかもしれない、ご当地うグルメの枠を超えて全国へと広がっていく姿を見詰めながらそう思えてしまいます。


 
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