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第1939回 とろみの有無



 ポタージュというと、ブイヨンなどで野菜を柔らかくなるまで煮込み、ピューレにして生クリームで仕上げるとろみのあるスープが思い浮かんできます。ピューレを使わない澄んだとろみのないスープはコンソメで、スープに関する2大スタイルという感じがします。

 本来、ポタージュとはフランス語でスープの総称であり、とろみのない澄んだコンソメもポタージュの一種となります。つい「ポタージュスープ」といってしまいますが、ポタージュがスープの意味である事から、「スープスープ」と同じ意味の言葉を重ねている事となり、「踊る」という意味の「フラ」にダンスを付けた「フラダンス」、大型のカップの意味を持つ「マグ」にカップを付けた「マグカップ」、砂漠の意味の「ゴビ」に砂漠を付けた「ゴビ砂漠」などと同じ使い方をしている事となります。

 ポタージュという言葉は鍋を意味する「Pot(ポ)」が元になっていて、鍋で素材を煮込んで作るという意味が込められています。鍋で素材を柔らかく煮て食べる料理は、村の共同の窯でまとめて焼き、時間が経って硬くなったパンを浸して柔らかくして食べる物として伝統的に食べられており、フランスにも「Soupe(スプ)」として伝えられています。

 スプは次第に料理として洗練され、パンを柔らかくする田舎料理から素材の旨味を充分に煮出した汁物へと変化し、汁と具が別々に供されるようになっていきます。柔らかく煮た具のみを供する料理は「火にかけた鍋」を意味する「ポトフ」と呼ばれるようになり、汁の方は伝統的なスプと区別する意味からポタージュと呼ばれるようになっています。スプにおいて主食となっていたパンは、ポタージュにおいてはクルトンとなり、硬いパンがふやけて粥状になった状態は、柔らかく煮た具材を裏ごしする事で全体にとろみを持たせて再現されています。

 ポタージュは大きく2つに分ける事ができます。ポタージュというと真っ先に思い浮かぶとろみのある物とコンソメのようなとろみのない澄んだ物ですが、とろみがある物を「ポタージュ・リエ」澄んだ物を「ポタージュ・クレール」と呼び、ポタージュ・クレールは温かい「ショー」、冷たい「フロア」、煮凝りなどのゼリー状の「ジュレ」に分けられます。

 ポタージュ・リエの方はさらにバリエーションが豊かで、馴染みのある野菜を裏ごししたりミキサーでピューレ状にして加えた「ピュレ」、小麦粉をバターで炒めたルウを使ってとろみを付けた「クレーム」、卵黄や生クリームを使ってこくととろみを加えた「ヴルーテ」、田舎風の素朴なごった煮のような「スプ」、エビやカニなどの甲殻類から取れる出汁を使う「ビスク」、野菜の形を整えて煮込み、そのまま供される「タイュ」などが存在します。

 イタリアのミネストローネやアメリカのクラムチャウダー、ロシアのボルシチ、日本の味噌汁などもポタージュの範疇に収められていて、「外国のスープ」という意味から「ポタージュ・エトランジェ」と呼ばれていて、日本の味噌汁のバリエーションの豊富さが加わるとなると、ポタージュの世界は無限に広がるように思えてきます。

 メニューの豊富さという点では本場のフランスに遠く及ばないように思えますが、小分けされたカップスープの粉末や缶詰、テトラパック入りやレトルト、自動販売機で缶入りの物が売られている事など、日本はポタージュの手軽さという点では世界でもトップクラスにあるといえます。それも一つの文化と思いながら、しっかりと日本の食に浸透している事を改めて実感してしまいます。


 
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