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第2016回 古くて新しい味覚



 昨年あたりから急速に人気が高まってきた「塩麹」。日本では古くから漬物用の床として使用されてきていましたが、急に人気が高まった事もあり、どこか新しい食材のようにも思えて来ます。

 麹とは発酵に必要なコウジカビをはじめとする有用な微生物を米や麦、大豆などを蒸した物に繁殖させたもので、米を使うと「米麹」、麦を使えば「麦麹」、大豆では「豆麹」と呼ばれてきました。塩麹とは塩に繁殖させた物という訳ではなく、米麹に塩を混ぜ、水で緩く溶いた物となっています。

 麹の主要な微生物であるコウジカビは菌糸の先端からデンプンやタンパク質を分解するさまざまな酵素を放出する事から、培地となる米や麦、大豆に含まれるデンプンやタンパク質が分解され、糖質や旨味の素となる遊離アミノ酸が生成されるため、発酵食品を製造する際の重要な存在となっています。

 麹を利用する発酵技術は日本をはじめ東南アジアやヒマラヤ周辺といった東アジア特有の技術とされ、酒から調味料、保存食といった食と深い関わりを持ち、食文化を語る上で欠かす事のできないものという事もできます。

 一言で麹といっても繁殖させるコウジカビにはさまざまな種類があり、加工する食品に応じた麹が用意されています。酒造りにはアルコール発酵の準備として糖類が必要となる事から、デンプンを分解して糖に変える働きが強いコウジカビが使われ、日本酒の場合は「黄麹」、泡盛には高い気温の中、クエン酸を多く生成して雑菌の繁殖を抑えながらデンプンを分解する「黒麹」、焼酎には黒麹よりも扱いやすい「白麹」などが使われています。

 しょうゆや味噌を作る際は、糖よりもタンパク質を分解して旨味成分を生成する働きが求められる事から、「醤油麹」と呼ばれる独自のものが使われ、鰹節には脂肪を分解する働きが強いものが使われています。

 麹は発酵によってデンプンやタンパク質を分解して糖やアミノ酸を生成するだけでなく、クエン酸などの有機酸やビタミンB群、GABA(γアミノ酪酸)なども作り出す事が知られています。米麹の場合、米にはGABAがほとんど含まれていない事から、コウジカビによって発酵した事によって有用な成分が増えた事を伺う事ができます。

 また、有機酸やビタミン類、GABA以外にも最近では体重の増加を抑える働きがある「αーエチルグルコシド」や血圧降下作用のある各種ペプチドなども生成されている事が判り、日常的に麹を使った発酵食品に接する事は健康を考える上で有益な事であるといえます。

 塩麹その物が製品化されて売られている物も見掛けるようにはなってきましたが、塩を1に対して麹を3を基本として好みで塩の量を加減し、塩と麹を混ぜ合わせて水を加え、一日に一度程度のペースで混ぜ合わせて空気に触れさせるようにして1週間から10日ほど発酵させるとオリジナルの塩麹ができあがるので、我家の味として用意するのも楽しい事かもしれません。

 できあがった塩麹は野菜や肉、魚などに直接かける調味料として利用できるだけでなく、肉や魚を事前に漬け込んでおく事で旨味が増す事から、食材の下処理として利用する事もできます。新しいようで実は古い日本の知恵を活用してみるのも日々の食の彩りとなる事と思います。


 
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