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第2076回 下り坂の知性



 人類が食料を安定的に得る手段として農耕を始めるのは、人類の歴史からみると随分と後の事で、それまでの食料確保の手段といえば狩猟が中心となっていました。しかし、人類は狩人としては優れた存在とはいえず、その事が道具をはじめとするさまざまなものを発展させる原動力となったと考える事ができます。

 獲物を追い詰める速い足も風景に紛れてしまう擬態、油断させた獲物を一瞬のうちに獲り押さえる俊敏性も強力な力もなく、とどめとなる一撃を加える牙も爪も毒も持たない人類にとって、狩猟を行うには道具の存在は不可欠なものとなっていました。

 大きな獲物を狩るには集団が必要となり、集団を養うにはより大きな獲物、大きな集団を狙う必要が生じます。集団で確実に狩りを行うにはコミュニケーションが不可欠となり、コミュニケーションの手段として言語が生まれました。

 獲物を探しに出掛け、獲物を見付けて仲間を集めて狩りに行く際、見付けた時はそこにいた。多分、今はこの辺りにいるだろうと言語に過去形、未来形、仮定形が使われるようになり、捕獲した獲物を仲間とその家族に行き渡るように分配するという数学も発生しています。

 人類は狩猟によって単に食料を得たというだけでなく、その後の繁栄に繋がる多くのものを得ていたという事ができます。道具や言語、集団性によって捕食者としての立場を確立していた人類ですが、本来の姿は捕食する側よりも捕食される側の方に近く、大自然の中では食物連鎖の頂点に君臨するライオンのようには悠々としていられなかった事が考えられます。

 常に獲物を探し、獲物とならないように細心の注意を払い、家族の安全を気遣いながら時には強大な捕食動物やマンモスにも挑んでいく。全ての感覚を研ぎ澄ませ、持てる能力を使い切って日々を生きていく、当時の人類は今よりもはるかに鋭敏な感性の下、日々の生活を送っていたように思えます。

 そんな当時をピークに人類の知性は低下しているという、少々ショッキングな学説が発表されていました。スタンフォード大学のクラブトリー博士によると、人類の知性には2千から5千という多数の遺伝子が関わっており、ランダムに起きる遺伝子の変異によりその働きが低下している可能性があるとされています。

 確かに日々最新のデジタル機器に囲まれて生活してはいますが、一瞬の判断によって自分自身や家族の生命や生活が危険にさらされるという事は遠い昔のものとなり、穏やかな生活が続く中では当然の成り行きかなと思いつつ、自分を高め続ける努力をしなければと反省したりもしています。


 
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