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第2116回 有害論?(2)


 カルシウムを含むサプリメントの宣伝などでよく「牛乳○○本分の・・・」といういい方をされることがあります。水分の中にカルシウムが分散している牛乳と凝縮したサプリメントとでは状態のレベルが違うので比較するには無理があり、聞くたびに牛乳が気の毒に思えてきます。

 サプリメントの場合はそれだけの大量の牛乳を毎日飲用する事は不可能なので、このサプリメントを利用しましょうという話になるのですが、牛乳有害論においてはもっと辛辣に牛乳を批判する話が展開されています。

 牛乳は虫歯を助長するとして、子供の虫歯の原因を成長に必要となるカルシウムを確保するために牛乳を率先して飲ませるせいという意見を聞かされた事があるのですが、牛乳を日常的に飲用する事で虫歯の子供が増えたという学術的なデータは存在しないとされます。

 牛乳は栄養豊富である事から虫歯の原因となるミュータンス菌の増殖を助ける事は考えられるのですが、そうなると牛乳が原因というより口内に食物がある状態を放置しているという生活習慣の方が原因という事ができ、牛乳が有害とする事には根拠が薄い気がしてきます。

 牛乳には乳糖が含まれる事から、消化するには乳糖を分解する酵素が必要になります。乳糖を分解する酵素がないと牛乳をきちんと消化する事ができず、飲んだ後にいわゆるお腹がゴロゴロするといわれる状態になってしまいます。

 乳糖不耐性と呼ばれる状態ですが、乳糖不耐が体が牛乳を拒絶している事の表れという事も聞かされます。乳糖不耐は繰り返し牛乳を飲む事で、失活していた酵素が活性を取り戻し、以降はゴロゴロしなくなるので、牛乳を飲まない事による弊害のようにも思えます。

 牛乳を飲むとカルシウムの補給どころか、かえって体内のカルシウムの排出を促してしまい、骨粗鬆症を悪化させてしまうともいわれ、牛乳に含まれる悪いカルシウムが体内の良いカルシウムを一緒に連れ出してしまうというおとぎ話的なものから、飲用後、血液中のカルシウム濃度が上がり、一定のカルシウム濃度を保つために過剰にカルシウムが排出されてしまうという一見科学的な根拠を添えたものも見掛けられます。

 血液中のカルシウム濃度が上がった場合、確かに一定レベルを保つような仕組みは働くのですが、誤って必要以上のカルシウムが排出される事はなく、カルシウム濃度が高い状態では骨からのカルシウムの取り出しも行われない事から骨粗鬆症が悪化する事は考えられない事が判ります。

 牛乳の普及が進んでいる国では股関節の骨折が多く、普及がそれほどでもない日本では少ないとされますが、畳の生活で上下動が少なく、直に座る事による股関節の強化をはじめとする生活習慣の違いや、魚食をはじめとする食生活を考慮に入れると単純な比較はできないようにも思えます。

 牛乳には母牛のホルモンが含まれる、もしくは搾乳期間を少しでも長く、乳量を多くするために投与したホルモン剤が含まれていて、それが健康や子供の成長に悪影響を与えるともいわれます。

 ホルモン剤、特に人工的に合成されたホルモン様剤は微量でも影響が及ぶことがあるので、もっともらしく思えてくるのですが、かつて日本が子沢山だった頃、授乳期間中に次の子供を妊娠してしまったり、乳量が多い母親のために年長の子供が母乳を飲んでいるという話はよく聞かされ、人そのもののホルモン濃度が高まった母乳に接していても影響はなく、必要な期間を過ぎた後でも問題はないという事ができ、種が異なる牛の母乳の場合、より影響は少ないと考える事ができます。

 さまざまな角度から眺めてみて、飲用するかどうかは個人の好みの問題として、少なくとも有害論が唱えられるほどの事はないように思えるというのが現在の結論で、これから新たな何かが見付かるのかと興味深く思えています。


 
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