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第2176回 不景気の効能



 最近は明るい話をよく耳にするようになり、景気は良い方向へ向かっているのだろうかとニュースを眺めたりしてしまいます。かつてはバブル経済崩壊後の「失われた10年」といわれていたものが、いつのまにか「失われた20年」といわれるようになり、自動延長されている事にいつまで失われ続けるのだろうと不安になったりもしていました。

 人々の生活に暗い影を落とす不景気ではありますが、全てにおいて「負」の影響ばかりではなく、中には良い方向へと作用する事もあるというレポートが報告されています。

 経済不況が健康に及ぼす影響についての研究の舞台となったのは1980年から2010年にかけてのキューバで、ソ連産の石油と自国産の砂糖を物々交換していたキューバが1991年のソ連崩壊によって甚大な経済的打撃を被り、新たな経済改革によって95年以降の経済回復、その後の経済発展という社会の変化が背景となっています。

 研究を行ったのはスペインのアルカラ大学医学部の研究チームで、キューバ全土の都市部のデータを検討し、国民の体重やBMI(肥満指数)、糖尿病の罹患率、死亡率などの変化を評価しています。

 経済危機によって燃料や食料が不足すると、ガソリンの価格が高騰し、品切れとなる事も見られた事から自動車の利用率が減少し、徒歩や自転車といった移動手段が増える事となり、消費カロリーの増加が見られています。そこに食料の不足から摂取カロリーの減少が加わり、国民全体で平均5.5kgの体重の減少、BMIでは1.5の減少が見られています。

 経済不況が続いた91年から95年の間に小太り(過体重)や肥満の割合も全体の33.5%となり、国民の8割が週に5日程度の充分な運動を行った計算になると分析されています。しかし、そうした傾向は95年以降の経済状況の回復に合わせて変化が見られるようになり、BMIは2.6の増加が見られ、95年当時は国民の半数以上(56.4%)が正常体重であった事に対し経済発展を遂げた2010年には42.1%と半数を切る結果となり、小太りや肥満の割合も52.9%と高い比率になっています。

 ソ連崩壊という経済危機の始まりから5年後の96年に糖尿病や心臓病、脳卒中による死亡率の減少が観察され、その後、6年に渡って同じような傾向が続きますが、経済が回復した2002年以降は経済危機以前の状態に戻ったとされ、経済危機が健康面ではプラスに働いた事が裏付けられています。不況というとさまざまな閉塞感からくるストレスなどのマイナス面しか意識されませんが、プラスの面もある事を意識して前向きに考える事が脱却に繋がるのかもしれないとも思えてきます。


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