第1747回 新潟のイタリアン



 蒸した太めの麺をもやしやキャベツと共に多めにひいた油で炒め、ソースで味を付けるというと「ソース焼きそば」と思えるのですが、仕上げにさまざまな具材が入ったトマトソースをかけると新潟県の中越地方や下越地方特有のご当地グルメ「イタリアン」になります。

 イタリアンといっても麺にデュラム小麦のセモリナ粉が使われている訳でもなく、オリーブ油もワインも使われてはいません。小麦粉にかん水を加えて練り上げ、こしとつやのある麺を蒸して仕上げる典型的な中華麺が使われ、強いて上げれば最後にかけるトマトソースがイタリアしているというところでしょうか。

 イタリアンの歴史は1959年、新潟市の甘味喫茶「みかづき」から始まります。みかづきのオーナー、三日月晴三が箱根で行われる経営者セミナーに参加するために上京した際、東京都中央区京橋の甘味処「中ばし」で出された大阪風の焼きそばをアレンジしたソース焼きそばにヒントを得て、パスタ料理のようにフォークで食べる焼きそばをイメージしてイタリアンを考案しました。

 翌年の1960年にはみかづきの正式なメニューとなったイタリアンは、同じ商業セミナーで学ぶなど以前から三日月氏と親交があった「長岡饅頭本舗」の経営者である木村政雄にレシピが伝えられ、長岡市の甘味処「フレンド」でも販売されるようになり、新潟市のみかづき、長岡市のフレンドの二店によって初期イタリアンの普及が図られてきました。

 1961年、新潟市内の小学校で開かれる文化祭でみかづきがバザーに模擬店を出す事となり、イタリアンを売り出したところ口コミで評判が広まり、イタリアンはみかづきの売り上げの中心的存在にまで成長しています。

 その後、みかづき、フレンドの両社から麺やソースなどの一般向け販売が行われ、イベントなどへの出店強力も展開された事から、1960年代の後半にはイタリアンの知名度が一気に上昇し、中越、下越地方の文化祭やバザーの模擬店でイタリアンを見掛ける機会が増え、両社のチェーン展開もあって地元で親しまれるご当地グルメの一品となっています。

 元は一つであっても新潟市と長岡市という離れた土地で成長してきたみかづきとフレンドのイタリアン、似ているようで微妙な違いがあり、独自性を発揮しているとされます。

 みかづきのイタリアンは、断面が角型の太麺を使ったソース焼きそばに、トマトの酸味とタマネギの甘味がベースとなったソースをかけ、塩漬けにされたショウガの千切りが付け合せとして添えられ、基本コンセプトの一つであったフォークで食べる物となっている事に対し、フレンドのイタリアンは、断面が丸型の中細麺が使われ、仕上げにかけられるトマトソースも挽肉入りのミートソース、付け合せも紅ショウガとなっていて、割り箸が添えられています。

 また、基本的なセットにした場合、みかづきのイタリアンにはフライドポテトと飲み物が添えられる事に対し、フレンドの基本セットはギョウザと飲み物が添えられるという違いがあります。フライドポテトとギョウザという違いは、使用する食器にも影響を与え、みかづきがフォークというコンセプトを守り通した事に対し、フレンドはギョウザゆえの割り箸となっています。

 みかづき、フレンドをはじめ、それ以外の店舗からも新潟県外への普及が図られ、イタリアンだけでは判り辛いためか「新潟イタリアン」「イタリアン焼きそば」と称して販売されていますが、まだまだ全国的な知名度は低くなっています。ソース焼きそばにトマトソース、誰からも好まれる物の組み合わせなので、いずれ全国的な人気メニューとなるのではと思いながら、ご当地グルメとしては地域性が強い方がと相反する事を思ってしまいます。


 
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B級グルメ

イタリアンは余り美味しいとは思えない。 新潟には もっと旨い物があるのだから、他を普及させた方が良いと思う。
新潟市の「蒸気パン」とか…、地元アイスの「桃太郎」や「金太郎」も旨い!
長岡の「醤油おこわ」「新潟おこわ」(小豆ではない豆使用)等も…

コメント、ありがとうございます。

トキ様

 コメント、ありがとうございます。

 中華麺で、どう見ても焼きそばなのにイタリアンというのが面白くて採り上げてみました。イタリアンって、あまり美味しくないのですか...?B級グルメ好きとしては、興味をそそられてしまいます。

 米どころでもある新潟には、美味しい物がたくさんありそうですね。今回、お教えいただきました物についても、いろいろと調べてみて今後に活かさせていただきたいと思っています。

 今後とも、よろしくお願い致します。

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にんにく卵黄本舗の健康コラムです。
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