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第2271回 天津の謎(1)


 「天津飯」と「天津丼」、どちらもご飯の上にカニの身を入れた玉子焼きであるカニ玉を乗せ、とろりとしたあんをかけた料理ですが、両者の間に明確な違いを示す定義はなく、私の中では皿に盛り付けられていれば天津飯、丼に入れられた場合のみ天津丼となっています。

 カニ玉やあんのせいで見るからに中国天津市生まれの中華料理という感じがするのですが、実は天津飯は中国生まれの中華料理ではなく日本が発祥の地となる料理で、スパゲティナポリタンと同じく本場と思って天津市へ行っても食べる事ができない料理となっています。

 天津飯の誕生については有力と見られている説が二説あり、それぞれ関東と関西で後の発展に独自の影響を与えていて、今日の天津飯は関東風、関西風と分ける事が可能という事ができます。

 関東における発祥説は、しょうゆラーメンの草分けとしても知られる名店、「来々軒」の三代目店主が東京駅に近い八重洲の店を再開させた際、銀座の中華料理店「萬寿苑」からコックを派遣してもらっていたところ、そのコックが客から「手早く食べられる物を作ってくれ」と注文を受け、ご飯にカニ玉を乗せて酢豚用のあんをかけて出したところ評判が良く、後にそれをメニュー化したものが今日の天津飯のはじまりとされます。

 関西説は第二次世界大戦後の大阪で大阪城の近く、馬場町で営業していた「大正軒」の主人が食糧難の中、お腹いっぱい食べてもらおうと中国の食習慣の一つであるご飯におかずを乗せた「蓋飯」にヒントを得て、天津でよく獲られていて大阪でも獲れていたワタリガニを使う事を思い付き、ワタリガニの身を炒めた物を卵でとじ、ご飯に乗せてあんをかけて天津飯を考案したとされます。

 当時、ワタリガニは大阪でよく獲られていたとされますが若干高価であった事から、川津エビを使ったエビ玉の天津飯も作られるようになっています。エビはカニと比べてわずかに風味が弱いところがあるため、関西ではエビを使用する事を念頭にあんの味付けを甘味と酸味を抑えたしょうゆや塩味をベースとした物が使われるようになったとされ、関東風は甘酢あん、関西風は甘味と酸味を含まないあんという棲み分けに繋がったともいわれます。

 また、呼び名に関しても関東では主に天津丼と呼ばれ、東海以西で天津飯と呼ばれる事が多くなっています。そのため甘酢風味の関東風が天津丼、関西風のしょうゆ味が天津飯と規定しても良いのではと思えてきます。九州育ちのせいで関東風の甘酸っぱい天津丼は食べた事がないのですが、メニューを見て丼か飯かであんの味を選べるのは素敵な事だと考えてしまいます。


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