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第2293回 梅漬け仮説



 毎年、梅のシーズンを迎えると、「今年は梅干しを漬けようか」と悩んでしまいます。結局、今年は土用の時期に3日も梅干しに関わっている暇がなさそうに思えたので断念したのですが、その後、あまりに見事な梅に出会ってしまい、衝動買いしてしまった事から「梅漬け」を作っています。

 梅干しも梅漬けも梅が完熟していた方が美味しくできるので、購入後に風通しの良い場所に置いて追熟させます。購入後、3日ほどでとても良い果物のような香りがしてくるので、その段階で水に漬けてアクを抜きます。

 一晩かけてアクを抜いた後、丁寧に水気を拭き取りながら塩をまぶし、保存容器に入れて重しをしておくと塩の浸透圧で梅酢が大量に出てきます。今回はシソを使わずに仕上げる事にしたので、その段階で出来上がりなのですが、シソを使う場合はシソのアクを抜きながら梅酢を使って赤く発色させて漬け込みます。

 暑さの盛りを迎える土用の頃、「三日三晩の土用干し」と呼ばれる梅とシソを梅酢から引き上げて干す工程を経て、梅漬けは梅干しとなるのですが、今回はこの工程を省略する事からお手軽な梅漬けとなっています。

 漬け込んでしばらく様子を見ながら、充分に梅酢が出てきたので油断していると、表面に白い膜が張ってきて塩分が充分ではなかった事が判ります。急ぎ梅を引き上げて焼酎をまぶし、梅酢は鍋で沸騰させて消毒します。

 産膜酵母の働きによって梅酢に甘いにおいが着いてしまった事を後悔しながら、さらに塩を追加して産膜酵母が繁殖できない塩分濃度とします。その際、ふと思い出したのが減塩タイプの梅干しを作る際は産膜酵母が発生しやすく、製造業者の中にはわざわざ産膜酵母を発生させて梅の果肉を柔らかく仕上げていると聞かされた事があります。

 気になって産膜酵母に触れていた梅と梅酢に深く沈んでいて触れていなかった梅を食べ比べてみると、確かに触れていた梅は果肉がとろけるように柔らかくなっていて、高級品とされる梅干しの食感となっています。

 消費者の健康志向から塩分を減らし、それによって産膜酵母が繁殖するリスクが高まってしまったのですが、そのリスクすら有効に活用するのかと感心しながら、産膜酵母が作り出す甘ったるいにおいは不快に思えるし、産膜酵母が膜を張るとその上にはカビが発生して全体をダメにしてしまう事を考えると、制御可能なノウハウなのかと疑問が湧いてきます。

 衝動買いした1kgの梅でもいろいろと考えさせられて楽しめるものだと思いながら、来年はもう少し多めに漬けてみようかとも考えています。


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