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第2296回 眠りの効用



 中世のヨーロッパでは、眠りは死に繋がるものと解釈されていた事から、少しでも死を遠ざけるように座ったまま眠るという事も行われていました。今とはずいぶんと違う眠りの認識に驚いてしまうのですが、意外と近年まで何故眠るのかについてはよく判らないともいわれていました。

 夜行性でなければそれほど暗い中でも目が利くという事がないため、暗くてよく見えない中を行動する危険を避けるために、安全な場所を見付けてその中で大人しく日が昇るのを待つ。そうした行動の中で活動しない時間帯を使って有効に体を休ませるために眠るようになったという考え方があり、眠りのはじまりについて興味深く思えてきます。

 また、逆の考え方をする事もでき、眠っている状態が通常であったものが、食料を得るために短い時間だけ動くようになり、食料を得る事が困難であるために少しずつ活動時間が長くなって眠りに費やす時間が短くなったとも思えてきます。

 いずれにせよ限られた人生の中でかなりの時間を使う事になってしまう睡眠ですが、研究が進むにつれてパソコンなどの電子機器のスリープモードのように機能を低下させて消費するエネルギーを抑えている訳ではなく、眠っている間も脳をはじめさまざまな器官が活動している事が知られるようになってきています。

 脳は眠っている間に情報を整理して記憶の定着などを行っている事は広く知られるようになっていますが、眠りは脳にとってさらに重要な役割を持っている事が最近の研究によって明らかになっています。

 脳は頭の中に満たされた脳脊髄液に浮かんでいるかたちになっているのですが、脳に直接触れている脳脊髄液を通して脳細胞は栄養を得ています。また、神経細胞の活動によって発生する老廃物も脳脊髄液を使って排出している事が事が判っていましたが、就寝後、脳から老廃物を排出するための循環が活発化し、一気に脳内の清掃が行われるている事が確認されています。

 そうした老廃物の中にはアルツハイマー病の原因と見られている特殊なタンパク質、アミロイドベータも含まれていて、就寝中に活性化される清掃活動の重要性が伺えます。

 起きている間に活発に活動した事によって生じた老廃物をは就寝中に盛んに排出するというのは、人生の多くを費やす睡眠の意味を理解する事には成りますが、脳を清掃するために眠るのか、眠っているからその間に清掃するのか、睡眠が生まれたきっかけを解き明かす鍵にはならないかと考えてしまいます。


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