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第1758回 合わせとシベリア



 漁港牛深へドライブすると、新鮮な魚介類以外にもいろんな楽しみがあり、その一つに牛深の郷土菓子「合わせ羊羹」があります。合わせ羊羹は白いんげんの一種である「大手亡」を使い、赤く着色された羊羹を和菓子に合うように工夫された白いスポンジで挟んだ和菓子で、パッと見は生のマグロの赤身をパンで挟んだサンドイッチのようにも見えるのですが、豆の豊かな風味がして、素朴で美味しい和菓子となっています。

 その合わせ羊羹によく似た物として、「シベリアケーキ」があります。シベリアケーキは羊羹をカステラで挟んだもので、色合い的に黒い合わせ羊羹のように見えます。

 シベリアケーキは、単純にスライスした羊羹をカステラで挟んだ物かというと、実はそうではなく、薄く焼いたカステラをトレーに敷き、まだ固まっていない溶けた状態の羊羹を流し入れた後、カステラを被せて冷して固めます。

 そのため、シベリアケーキのカステラは羊羹によって接着された状態にあり、容易に剥がす事はできなくなっていて、カステラを焼き、羊羹を準備するという非常に手のかかる和菓子である事が判ります。

 シベリアケーキが主に食べられているのは、首都圏を中心とした東日本と中部地方となっていて、西日本ではあまり見られない食べ物となっています。大手製パン会社から全国的に販売されていますが、出荷の中心は東日本に偏っているといわれます。

 特定の店において考案された物ではなく、地方の名産が広まった物でもないとされ、かなり歴史は古く、大正時代には喫茶店の前身となるミルクホールで食べられていた事が確認されています。

 シベリアと名乗っていますがシベリア原産ではなく、名前の由来については羊羹をシベリアの黒い永久凍土に見立て、カステラで氷を表現したとも、シベリア鉄道の線路を現しているともいわれ、シベリア出兵にちなんだともいわれます。

 シベリアケーキの原点には、愛知県松山市の郷土菓子、「タルト」があるのではとする意見もあり、薄く焼くか焼いたカステラを薄くスライスした生地で餡を巻くというタルトを、より庶民的にした物がシベリアケーキであるとされ、タルトがロールケーキのようば外観を持つ事に対し、羊羹カステラと呼ばれる羊羹の四方をカステラで巻き寿司のように巻いた物も存在する事から、タルトが羊羹カステラを経由してシベリアケーキとなったとも考える事ができます。

 タルトは長崎探題職にあった松山藩主の松平定行によって、長崎から伝えられています。天保4年(1647年)に国の統治者が代わった事を伝えるために、入港したポルトガル船によって伝えられた南蛮菓子に原点があるとされます。

 今のところ酷似するシベリアケーキと合わせ羊羹の間に関連性を示す資料は存在していませんが、ポルトガル船によって長崎に伝えられた南蛮菓子が原点にあるのであれば、両者は同じ進化の過程を経てきたように思え、その成立について詳しく記した資料はないものかと大いに興味をそそられてしまいます。


  
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